二つの意思
広く大きい一室には不気味な赤いランプの光量のみだったがその席につくものたちは全く苦にしている様子はなかった。
豪華な彩飾がされたシャンデリラの下には円卓と10の席があったがそのうち4つは空席だった。
そのうち眼鏡のような物を掛けた長身の青年が不意に言葉を発した。
「これ以上は集まらないようですね。それでは議会を始めましょう。」
その言葉に岩のように大きい体の男が反応した。
「おいおい、残りの三人は命令なんかに従うわけねーけどよ。マルナークはくるだろ。あいつは滅多に欠席しねーしよ。」
青年は眼鏡の位置を戻しながら答える。
「今日はそのとこについての議題です。我々九将の一人“剣魔”マルナークが殺されました。」
「まじかよ?」
「ふーん」
黒いサテン地のドレスをきた女が気だるげな声で言った。
「それは頂けないわね。やつは霧隠れの森で軍勢を配備させていたはずだわ。」
それに同調するように眠っているようにも見えた無地のマスクを被ったの少年が意見を発する。
「彼を倒せるとなると普通の冒険者じゃ無理でしょー。やつらの言うところのSクラス複数でも勝てるかどうか。」
「となるとやはり上位九人だろう!やつら複数ならモルナークがやられる可能性も高い。」
「あとグランデリア王国の“剣聖”とかもいるけどねー」
と顔に笑みを貼り付かせたようなマントの少女が愉しくて仕方がないとでもいうように上を見ていた。
そこで口を押さえたてはどう見ても人間の物ではなく様々な動物の皮が合わさったようなものだった。
そこでずっと沈黙を守っていた中央の玉座の男が口を開く。
「この事態は重く見るべきだが計画自体に変更はない。ただし進行を早めるように言え、目障りな蝿を潰すときがきた。」
豪華な燭台が並ぶなか大きな白亜のテーブルの上では議論が沸騰していた。
「国王陛下、エルザ王女のいわれていた魔族の九将が現れていたというのは本当なのですか?」
王は顔をあげると断言した
「ああ、そうだ。さらに大規模な軍をつれていたということだからついに始まるのかもしれん。」
「聖戦・・・ですか。」
そこで金のカフスボタンをした貴族が静かに言う。
「しかしあの魔族の九将を倒したのが無名の新人冒険者というのが信じられませんな。」
「いかにも、やつらの力は一人で小国の軍事力を超えると言われていますからして。」
同調するようにキイキイとした声の小さい貴族が叫ぶ。
「娘が嘘をついたとでも?」
小さい貴族が顔色を変えるが金のカフスボタンをした貴族は顔色も変えずに言う。
「そういうことになりますな。」
そのまま気取った仕草でハンカチを取り出すと手をふく。
無言の視線はしばらく続いたがどちらともなく目をそらす。
「この事態、上位九人を何とかして召集せねばならないかもしれぬな。」
「あの噂は本当だったのですか!?」
大陸全土に広がる組織、冒険者組合。
その中でも最高クラスのクラスSの上位にいるともクラスSを超える地位とも噂されるアドバンスナインだがそれを呼ぶという事態まで深刻化しているということだ。
「やつらに対抗するにはそれしかあるまい。」
「しかし彼らはかなりの有事でなければ召集できないはず。不確かな話ですがいいのですか?」
王は悠然と答えた。
「備えなくては滅びるのだ最悪の事態を考えるのは王として当然のこと。」
そして駒は出揃う。




