16話:手紙
二度寝をした所為か、身体が痛む。
いや、二度寝の所為だけじゃないな。きっと、この間の佐薙との戦いも響いている。
流技まで使ったからな。疲労するのは当然だ。魔法使いは、傷の回復は早くても、疲労からの回復は遅い傾向がある。魔法を使う時、精神力を多く使う。精神力を使えば、それだけ疲労も強くなる。
左手が痛む。一瞬だが、呪印が浮かぶ。
何で呪印が浮かんだのだろうか。別段、出そうと意識したわけではあるまいし。
眠気をつっぱらい、一階に下りる。どうやら、もう、十二時らしい。
「学校始まってるな」
そう思い、リビングに入ると、置手紙と昼食(本来は朝食だったと思われる)が置いてあった。
「なになに?『起こしても起きないから先に行く』、か」
ユキネの奴は、学校に行ったらしい。俺は、あえて、こういうときは、行かない。と言うか、面倒だから行きたくない。
ポストを漁ると、手紙が入っていた。
宣伝広告系が三通。それと名無しの封筒が一通。
「誰からだよ」
そう思って、封筒を開ける。中から出てきたのは、
「地図?」
そう、地図だった。どこかの家までの。まあ、いい。無視だ無視。どうせあの人からの手紙だろう。特に気にしてても意味ないだろう。




