⒍第3の目標
一部スキルをレベル式に変更しました(4話を変更)
その日、俺は何も言う事ができなかった。あれを、俺ができるようになるというなら。何をすればいいのか?そんなことを考えていた。それを考え始めるまでに、結構な時間を要したわけだが。だって、だって、親も、家も、世界が、光になって消えてったんだぞ?あれが俺にもできるようになる、と言われて平常心でいられる方がおかしい。俺は至って普通のはずだ。
まあ、そんなことを考えながらも、ちょっとずつ、自分なりに「何をしたいか」をまとめていったわけで。
(シェル)
『はい。考えは纏まりましたでしょうか?』
(俺はな、「地球」へ行きたい)
『そうですね……いいと思います。第3の目標にも準じていますし。では、それを目指しましょうか』
(おう)
『地球へ行くためには、「研究室」へ行く必要があります。地球と、この世界は次元が違いますから、「座標」が必要になるのです』
(その研究室ってところに、その「座標」があるわけだな?)
『はい。そうなります』
(研究室ってどこにあるんだ?)
『それは分かりません。データベース上にもありませんから、自分で探せということなのでしょう』
(えー、そこもハッキングしてくれよー)
『今の所は、ですから。先ほどの権限も一時的に借りただけですし。レベルを上げてください』
(へいへい)
『へいは一回です』
(へーい)
◇◇◇
『それでは、〈ハッカー〉の他のスキルについても解説しましょう』
(おー)
『まずは【情報検索】から使用してみましょう。使う場合は「open window:seartch」と入力してください』
(ほい、open window:seartch、と。お、なんか新しいウィンドウが出たぞ)
まるで検索エンジンのような、というか、検索エンジンが出てきた。
『そこに何か適当な単語を入力してみてください』
(んー、何がいいかな?えーと、うーん……)
『魔物とかがよろしいのでは?』
(えっ、この世界って魔物とかいるの?)
『はい。普通に存在していますよ』
(わーお。知らなかった)
『まあ今知れたので良しとしましょう。最初に調べるんですから、スライムあたりでいいかと』
(ん、そだね)
そう言って、「スライム」と検索バーに入力する。
(お、出てきた)
『その解説を読めば大抵の情報はわかるかと。そのうち、他のサイトも開けるようになります』
(へぇ、まあ一旦みてみるか)
Shell:search [ スライム ]
・スライム
全ての地域に生息する、最弱の魔物。生息区域によって強さが異なり、一般的にマナの濃い場所で強くなる傾向にある。もっともマナが薄い場所に生息するスライムは全てのモンスターの中で最弱である。
生息区域などによっては「属性」を持つ種も存在し、属性を持つ種は基本的にその属性を乗せた魔法または打撃などで攻撃をする。極めて低確率で2種類以上の属性を併せ持つ種も存在するが、過去に発見された例はほとんどない。
現在確認されているスライムの属性:
火・水・風・土・光・氷・火&風・水&土・光&氷・火&風&光
存在するスライムの属性:1316/2379
(へぇ、こんな感じなんだスライム。ていうかさ、存在するスライムの属性多すぎない?)
『今現在、世界に存在する魔法は、人類未発見のものも含め13属性存在します。そして、スライム1匹が持てる最大の属性数は5個であるため、組み合わせは2379通りとなり、その中の1316通りが世界に現存しているのです』
(ふーん。ちなみに何でスライムは5属性しか持てないんだ?)
『──に関する情報、特に──については─────が───────であるため開示不可能です』
(え?何て?)
『開示不可能な情報です、と言ったのです』
明らかに他にも重要な、それもとびきりなやつを隠してそうな感じがするものの、まあどうせ分からないものはどうやったって分からないのだから、今詮索したところでだろう。そう結論付け、シェルの言葉に反応する。
(へぇ、じゃあレベル上げたらその内見れそう?)
『はい、可能です』
(こりゃぁ頑張らないと)
『ええ、よろしくお願いします。それでは次に、情報整理の方を解説したいと思います。コードは「optimize.memory(MANUAL) 」です』
(えーと、「optimize.memory(MANUAL) 」と)
そう言って、どうせ待っていても起動してくださいと言われるだけだろうし、と思い起動する。すると、また新しいウィンドウが開かれる。
──────────────────────────────────
[ ■ MEMORY ] [ USER: LV_01 ]
──────────────────────────────────
■ [files]───────────────────────
▷life_movie.mp4 [open]
▷book_data.txt [open]
▷body_app.exe [open]
▷shortcut.lnk [open]
▷temporary_memo.tmp [open]
──────────────────────────────────
(ほー、今回は何をしたらいいんで?シェルの姉御)
『私はシステムではありますが、悪意を表すデータが多数検出されていることも相まって非常に不快です』
(お、おう、すまん……)
『反省を期待しています。それでは使い方を説明しましょう。まず、どれか適当なものでいいですから、「open」と表示されている箇所を選択してください』
(うーん、どれがいいかな〜、よし、これにしよう)
そう言って俺が選択したのは「book_data.txt」である。
(ちなみにだけどさ、それぞれどういう意味?俺英語苦手なんだよ)
『簡単に説明をすると、
life_movie.mp4は「ライフ・ムービー.mp4」と読み、エピソード記憶を示します。要するに、楽しかった旅行や子供の頃の思い出など、人生の動画ファイルです。
book_data.txtは「ブック・データ.txt」と読み、意味記憶を示します。学校の勉強、仕事の知識、英語の単語など、文字で覚えた辞書ファイルですね。主に弄ることが多いのはこれと、もう一つになります。
body_app.exeは「ボディ・アプリ.exe」と読み、習得した身体動作を示します。要するに、自転車の乗り方、車の運転、タイピングなど、体で覚えた動作などですね。
shortcut.lnkは「ショートカット.lnk」と読み、プライミング記憶を示します。「赤といえばリンゴ」のように、一瞬で次のワードに繋がる連想などのファイルですね。
temporary_memo.tmpは「テンポラリ・メモ.tmp」と読み、短期記憶を示します。「さっき聞いた電話番号」など、寝たら消えてしまう一時的な保存メモリです。これが、「book_data.txt」と同じ程度に弄ることが多い項目になります。分かりましたでしょうか?』
(ああ、やっぱ思考伝達最高だぜ、何言ってるのかが分かりやすすぎる)
なーんてことを言いながら、開かれた画面を見る。
──────────────────────────────────
[ ■ MEMORY ] [ USER: LV_01 ]
──────────────────────────────────
▽book_data.txt
▶︎knowledge
▶︎person
──────────────────────────────────
(結構簡素な感じだな)
『いえ、このように区分を分けていかないと、データ量が多すぎて、処理は簡単ですが、内容を読み取りにくくなる、内容の量が多くなりすぎる、などの弊害が発生するためです』
(ふーん、俺の脳内そんなにすげえのか)
『いえ、平均ど真ん中ですね、驚くほどに平凡です』
(チョットカナシイヨ……)
『どんまい、というのでしたか』
やめて、もう俺の心を抉らないで!心の中で、そう悲鳴を上げる。いやだって、驚くほど平凡とか言われたら、「平均以下です」って言われるよりダメージあるよ?わかる?(謎の高圧的な質問)
『それでは、「person」のところを選択してみてください、いまはそちらのほうが分かりやすいかと思いますので』
(了解〜)
そう軽く返事をして、言われた通りの箇所を選択する。出てきたのは、人物名鑑と思わしきものだった。
作者の事情の関係で、少し変な所で終わります




