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俺は世界をハックする!  作者: 黄金餅
Hello, World.
11/12

1⒈便利なのはいいけどハッカーとは

俺はフィリス・メトリオ(3)である。毎日のように本を【解析】し続け早3年。既に俺のレベルは5まで上昇した。1日に【解析】可能な量もかなり増えている。


レベル3に到達した時点でスキル【偽装】を獲得した。このスキルはその名の通り、自身の情報を偽装するスキル。ウィンドウには、スキル名の後にLv.1と表示されたため、レベルが上がればもっと様々なものを偽装できるようになるだろう。


レベル5に到達した時には【情報化・物質化】というスキルを獲得した。要するに、目の前にある物体を「情報」へと変換してギフト内に保存するのが【情報化】、そのデータか生成されたデータを「物体(物質)」へと変換するのが【物質化】というスキルだ。これはかなり有用で、おそらく保存可能なデータに限りはない。まあ一つ言うなら、フォルダ分けとかをできるようにして欲しいくらいだ。


「フィル、おはよう」


「かあ、さ、おはよ!」


そう、辿々しい言葉で母に挨拶を返す。最近ようやく話せるようになってきた。やっぱり話せるって素晴らしいんだなぁ、と、当たり前であることに感謝しながら活動を開始する。シェルが出てきたばかりの頃は眠気がとんでも無かったが、今はかなりマシになってきている。いや本当にこれはバカにならない、よーしやるぞー!って意気込んだら気づいたら4時間後でした……みたいなことも多々あったのだ。


ちなみに、普通の赤子と比べるとかなり睡眠量が多いため(いつだったか調べてみたことがある、おそらく親戚の赤ちゃんを見た時)、気になってシェルに聞いてみると、


『マスターの場合は、極端に魔力の使用量が多いためです。魔力は使いすぎると魔力切れを起こすことがあるのですが、完全に使い切ってしまわなくてもクラっとしてしまうことがあります。これは魔力を一度に使った割合が問題で、たとえば15分かけて1キロメートル走るのと、5分で1キロメートルを走るのでは疲れ具合に大きな差が生じますよね?それと同じで、マスターの場合、一度に全体の25〜30%ほどの量の魔力を使用しているため、「睡眠」を通じて魔力の回復を行なっているのです』


とのこと。まぁ今回の説明は分かりやすかった。つか15分で1キロってどんだけゆっくり走ってんだよ……いや、俺だって5分で走れるかって言われるとそうじゃないけどさ。


「じゃあね、フィル」


そんなことを考えているうちに、いつの間にか俺の身の回りの世話が終わっていた。つか俺こんなに沈黙してるけど大丈夫なんだろうか、と今更ながらに心配になってくる。


『おはようございます、マスター』


(おはよう、シェル)


『今日は何をなされますか』


(んー、そだなー。何しようか。あー、最近はずっとギフトと魔力についてしかやってなかったし、あの、なんだっけ、ほら。あ、そうそう。古代神話物語、解説してくれるんじゃなかったの?)


『承知いたしました。それでは、解説しますね』



◇◇◇



『一つ言っておきますが、現時点で言えることはかなり少なくなっております。また、この古代神話物語自体が簡略版ですから』


(りょーかい)



第一章:神々の誕生

およそ世界の始まりにおいて、神々は「無」よりでたもうた。


天地もいまだ分かたれぬ混沌の最中、一番最初にあらわれた孤高なる神は、その誕生の瞬間に、あまねく世界を覆う一筋の「白き光」を放ちたもうた。これこそが、万物の祖たる【創造神】の夜明けである。


やがて、その大いなる白き光の器より、すべての根源たる【七柱の神】が生まれ出でた。


七柱の神々は、おのおのが異なる色の光を世界に与え、その織り成す「七色の光」の調和の中から、さらに数多あまたの気高き神々が次々と産み落とされたのである。


しかし、世界の平穏は一様ならず。

創造神は、光と闇が激しく交わる最果てのさかいにおいて、すべてを無へと還す【破壊の力】をも密かにその身に宿しておられたのだ。



『まず、この神話は驚くほどに正確です。もちろん、全て現実に起こった現象とは異なりますが、それを全て人間という矮小な存在から見た時にはこのように見えて然るべき解釈がされています』


(じゃあさ、これをまた解釈し直したら正確にもできるってこと?)


『理論上は。ただし、人間という世界の中のたかが一種族ごときにできる話ではありませんが』


いやなんか人間ってちっぽけなんだなーと思いました。シェルって意外と毒舌……いや、考えないでおこう。



第二章:世界の創造

ここに産み落とされし神々、その頂点に君臨する至高なる【創造神】は、冷徹なる虚空へ向けて大いなる御手を掲げたもうた。


神の意志は万物を紡ぎ、世界の底へと果てなき広がりを持つ「大いなる大地」を創り出されたのである。


そして、天地の狭間に満ちる「光と闇」を美しく分かち、天には燃え盛る黄金の太陽と、夜空を静かに照らす二つの月を掲げたもうた。これにより、世界には初めて「昼」と「夜」という巡りが産み落とされたのである。


さらに、七柱の神々は大地を豊かにせんと、おのおのの光を地へと注ぎ込んだ。ある光は雄大なる山々を築き、ある光は乾いた土から瑞々しい緑の木々や花々を芽吹かせ、死せる世界であった大地は、すべての生命を育むための大いなる揺り籠へと姿を変えた。


万物の舞台が整いしとき、創造神は最後に、世界の万物に命を吹き込み、あらゆる奇跡の源となる力──「マナ」を解き放ち、この生ける世界を余すことなく満たされたのである。


そうして、この大いなるマナの恩恵のもと、世界を謳歌する数多の生き物たちが、大地へと一斉に解き放たれたのであった。



『この辺りはもっと完璧と言えるかもしれません。少し、言及が足りませんが』



第三章:神の祝福と聖なる掟

大地に解き放たれた数多の生き物たちの中から、創造神は特に高い知性を宿せし種族を選び抜き、彼らに世界を繁栄させるための大いなる役割と、神の恩寵たる──「祝福」を授けたもうた。


『ある者には剣を握りて調和を守る力を、ある者には土を耕して実りをもたらす知恵を、ある者にはマナを操りて天理を動かす術を与えん』


人々は神から与えられた己の「祝福」を深く尊び、日々の営みを幾重にも重ねるなかで、自らの内に眠る「技能」を磨き上げ、授かりしその祝福の真価を、余すことなく極限まで発揮せしめたのである。


しかし、世界の平穏は危うき均衡の上に成り立つもの。人々が力を過信し、世界の調和を乱さぬよう、創造神はすべての人の魂の奥底へ、自らの器を克明に映し出す透明な鏡──「聖なる刻印」を刻まれた。


神は『常に己の器を省み、己が力を超えてマナを乱用してはならない。秩序を破りしとき、世界は崩壊へと向かうであろう』と、絶対の掟を言い渡された。


人々は自らの「聖なる刻印」に刻まれた器のなかに生き、与えられた「祝福」と、自ら磨き上げた「技能」を駆使して、この世界に大いなる文明を築き上げていったのである。



『祝福とはギフトのことですね。自らのうちに眠る技能はスキルです。聖なる刻印はステータスこのと。ステータスには、この神話で書いてある通りにさまざまな力があります。ちなみにですが、この時点でまだ魔法は存在していません。この部分は不正確ですね』



第四章:一縷の黎明

世界は、神々の掟によって大いなる調和が保たれた。しかし、創造神がその身に宿せし破壊の力は、己が身をも滅ぼしかねぬほどに危うく、強大すぎる力であった。


やがて、創造神の奥底から漏れ出し、滴り落ちた破壊の力の影は、世界の美しい調和を少しずつ、されど確実に崩してゆく。その不浄なる力に侵されし生き物たちは、次々とその姿を醜く変貌させ、「魔物」となりて、我ら人類と数多の生物へ容赦なく牙を剥いたのである。


そうして混迷を極める世界の最中、魔物の頂点に君臨する、絶対の存在が顕現した。それこそが、溢れんばかりの暴虐を司る【魔王】である。魔王は、我ら人類と同じく高度な知性をその身に宿し、世界に暴虐の限りを尽くした。女子供は無惨に攫われ、男どもは勇敢に戦うも、次々と命を散らし、殺されていった。


人類が絶望の淵に立たされしその時、天の配剤か、あるいは世界の意思か、巨悪に対抗するかのように一人の【勇者】が、その一行と共に現れた。


勇者は、とある辺境の村に暮らす、しがない少年に過ぎなかった。しかし、少年は自らの身に宿せし大いなる力に気づき、人類へ仇なすモノを討つべく、その手に固く剣を握りしめたのである。


少年は、魔王を打倒するための遥かなる旅路へと立ち上がった。そうして旅の道すがら、同じく魔王を倒すための力に目覚めし気高き者たちを仲間に迎え入れ、人類の希望を背負いながら、今まさに魔王の膝元へと迫りつつあるのである。



『この部分もかなり間違いがあります。正しいと言えば正しいのですが、魔物や魔王は第一章の時点で起こった出来事に由来するものです。ただ、創造神から溢れ出した破壊の力が原因というのはあながち間違いとは言えませんが』



第五章:人類の勝利

ついに魔王の元へと辿り着いた勇者一行は、三日三晩に及ぶ凄絶なる激闘を繰り広げ続けた。


その果てに、少年は人類の祈りを乗せた刃を振るい、ついに魔王の首を討ち取ったのである。


人類は世界を救いし勇者一行に最大の感謝と敬意を示し、彼らを永遠に称えられるべき英雄として祀り続けた。


そして、人類はその後も大いなる調和のなかで往々にして進化を遂げ、今現在に至るまで、その尊き記憶と歴史が途切れることなく紡がれているのである。



『この部分で、かなり本来の神話が簡略化されていますね。他にも、これよりももっと酷いことなどザラにあったのですが』


(え、こわ)


というか、気になることが多すぎる。なんでそこ濁すかなぁ!?ってのが多々あった。


つまり、結果:腑に落ちない/釈然としない ということである。まぁそのうちわかるだろうし、今は気にしない気にしない。

ほんと思考誘導って怖いね

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