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俺は世界をハックする!  作者: 黄金餅
Hello, World.
10/12

10.イカれたルーティーンを紹介するぜ!とお庭

シェルが俺の前に現れてから3ヶ月。俺は着々とレベル上げに勤しんでいた。そこで、俺の毎日のルーティーンを紹介しようと思う。



◇◇◇



まず、目が覚めるのが朝の8時。何度でも二度寝できるため最高である。前世の同僚に自慢してやりたいよ、別にブラックだった訳じゃないけど、会社って早起きはしとかないとダメだからな。下手すりゃ保育園に通ってる赤ちゃんよりホワイトだぜ。



その後、だいたい8時30分くらいになると親とメイドがやってくる。いつも笑顔&別に意味をなさない言葉のサービスによって母と父を喜ばせております。この時間は授乳などの諸々のお世話タイムだ。あと父の抱っこタイム。最近は母さんの監視の目も優しくなってきました。父さんも結構慣れてきています。

20分ほどすると、全員が撤収していく。そしてここからは俺のレベル上げタイムだ。


まず行うのは、魔力の循環である。一応目が覚めた時から意識はしているのだが、母や父に悟られてはいけないため本格的に開始するのは基本的に出て行った後である。この3ヶ月、こうやって毎日魔力循環を行っていれば、やはり自然と身についてきた。当初、魔力を動かすだけでも苦労していたのに、今では日毎に循環の速度を上げているのだ。成長とは早いものである。うんうん。


そして、魔力循環を意識しつつ、【解析】を使用してやたらめったらに身の回りのものを解析している。といっても一日本4冊が精一杯だが。そうすることで、〈ハッカー〉のレベルも上昇し、ついでに【情報収集】に新しい情報をどんどん追加できるという一石二鳥なのである。

この前、俺が本を読みたそうな雰囲気を漂わせていると、何時間かおきにくるメイドがベッドの上に本を置いて行ってくれるようになったのである。しかも素晴らしいことに、俺は1日に3、4冊程度しか【解析】を使用できないのだが、メイドは1日4回1回一冊のペースで持ってきてくれるから完璧なペースである。ありがたい限りだ。後少しでレベルが2に上がりそうなのもいいことだ。シェルが言うに、レベル2に上がれば圧倒的に【解析】の回数が上昇するとのこと。ついでに言えば、5レベル以上になってくると他にももう一つレベリングの方法を増やすことができるらしい。これは頑張らねば……


睡眠は11〜12時、13〜16時、19〜23時、2〜8時といったところか。これがね、もう眠気がえげつなくてさぁ。起きるぞぉー!って気合い入れてもどうせすぐ寝落ちしちゃうんだよな。赤子の体は大変だぜ。まあ前世の俺にこの不満を言ったら間違いなく張っ倒されるだろうけどな。贅沢すぎる悩みってのも困ったもんだ。



◇◇◇



とまぁ、こんなふうに1日が過ぎていく。ただまあ、いつまでも部屋の中というものも飽きてきたところに、素晴らしい提案が降りてきたのだ。



◇◇◇



「フィル、お庭行こうか」


唐突に母が告げてきたのは、とある日の昼下がりのこと。俺結構微睡んで後ちょっとで寝れそうだったんだけどなぁ……いやまあいつでも寝れるけどさ。


そう思って、若干不機嫌そうにしているのに、母はそんなことを気にもせずに俺のことを抱き上げる。ただ、俺も飽きてきていた部屋から連れ出してくれたのには感謝している。できれば次は眠くない時に来てほしいけどね。

抱き上げられたおかげで、いつもよりも部屋の景色を見渡しやすくなった。ふーん、やっぱそれなりに広いんだなぁ、と感想を抱く。つかこれシェルに頼めば浮かしてくれそうじゃね?後で聞いてみよう。


そして、俺は人生初の部屋の外へといくことになる。できれば自分の力で出てみたかったけど。というか3ヶ月間放置し続けると言うのもいかがなものかと思うがね。


ギィッ、と音がして扉が開く。まず見えたのは、それはもうだだっ広い廊下。人が優に5人は並べそうなほどの広さだ。やっぱ辺境伯は違うねぇ、いい暮らしを期待できそうだ。

未来の暮らしに希望を抱きつつ、今から向かう中庭?と思わしき「お庭」に思いを馳せる。まずどのくらいの広さだろうか。噴水とか謎の像とかアーチとかあるのかな?できれば俺的には小川がちょろちょろ流れたりして、そこに小さい橋がかかってる、って言うのが理想だ。流石に和風すぎるかもしれないが、そんな希望を抱くくらいはいいだろうと思い込むことにする。


廊下を何回か曲がって、階段を1階分だけ降りると、大きな扉が見えたがその扉は開かずに反対方向へと進む。そして、先ほどの扉とは違う、これまた大きな扉の前に来ると、今度はその扉を開いた。


目の前に広がるのは、想像よりかは遥かに大きい中庭。いや、中庭ではないか。全面が囲われているわけではなく、2方向に壁があるだけだ。少し高めの木がたまにあるので、見間違えてしまう。うーん、なんとも西洋感あふれる庭だ。

昼下がりの穏やかな陽の光に、色鮮やかな花々が映える。


(ここで昼寝したい)


『確かに、この庭でしたらリラックス効果が期待できるかと』


シェルも同意してくれる。


母が進んでいくと、今度は小さな川が。うれしい、期待通りだ。少し涼しく感じられたのも、この小川のおかげだったようである。お、よくみたら魚もいるみたいだな。しっかり探したらもっとたくさんの生き物を見つけることができそうだ。

川に沿って進んでいくと、川は大きな池に繋がっていた。いや本当にでかい池だ、金閣寺の池くらいあるかもしれない。恐るべし辺境伯家……!!

池の真ん中には小さな島が浮かんでいて、そこに橋がつながっている。


「後ちょっとで着くからね、フィル」


「あう!」


「ふふっ、綺麗でしょう。あの島でお茶をしましょうね」


おお、母さんが珍しく淑女って感じだ。珍しい母の雰囲気に驚きながらも、橋や島を観察する。

橋は木製で、白色の漆喰?が塗られている。いや、ここは異世界だから、もしかしたら違う素材を違う素材でコーティングしているだけかもしれないが。もしかするとコーティングすらもされていないかもしれない。

島には東屋のような、こぢんまりとした建物が立っている。中にはテーブルが一つ置かれていて、よくよくみてみるとメイドがお茶と菓子の用意をしているようだ。


橋を渡っている最中に池を見ると、こちらには鯉のような大きめの魚が泳いでいる。いろいろな種類の魚がいるが、決して大きすぎることはなく、場の雰囲気に合わせた程よい魚たちが悠々と池を泳ぎ回っているのだ。


東屋に着くと、メイドが母に対して一礼をする。ふーん、見たことないメイドだな。メイドはそのまま、ティーポットからカップへと紅茶のような、少なくとも俺が今まで嗅いだことのない香りを漂わせる黄金色の茶を注ぐ。


「うーん、いい匂いね」


「こちらはシメリアのあたりで採れた上質な茶を使用しています。今日は、その茶葉に子爵級のリルを加えております」


「確かにリルの香りがするわね。ありがとう、下がっていいわ」


「わかりました。ご用があればお呼び付けくださりませ」


そう言って、メイドがどこかへ消えていく。いろんな通路があるのだろうか。いやでも、それだと万が一襲撃者が来たときに困るだろうし…まあいいや。気にしてもどうせわかんねぇし。自分の手の届く範囲で気軽に生きよーぜ。


母が俺を抱き抱えたまま腰を下ろす。母の腕の中から東家のような建物を観察する。んー、何というか、和風感が滲み出てきてるんだよなぁ。上手く西洋風な雰囲気とマッチさせているあたりセンスの良さを感じるが、少し不思議な気分になる。

もしもこの和風感がこの世界独自で発展したものだとするなら、かなりの違和感が残る。いや、和風と西洋風が両立できないとは言わないが、方向性で言えば90度以上は違うだろう(自社調べ)。というか、今まであった異世界テンプレの「西洋風」に、徐々に「和風」も混ぜられていった感じだ。もしかしたら他にも転生者とか召喚者とかいたのかもな。もし会えたら夢がある。


そう思いながらお茶や菓子をじーっと見つめていると、母が俺に声をかける。


「フェルにはまだちょっと早いかなぁ」


「あう、あうあう」


ちなみに出した声には大して意味などない。適当に出しといて返事だけしといたらいいのだ。


その後も穏やかなティータイムが続く。


(うーん、癒されるねぇ。眠たくなってきた)


『それはいつものことでは?』


(社交辞令って知ってる?)


『さあ?異世界の常識を持ち出されましても……』


ぐぬぬ、こやつやりおる。


(悔しい)


そう心の中で地団駄を踏みながらも、母には依然として平然を装っている。


「あうあ」


「どうしたの、フェル」


「あう?」


そうやって、特に意味のない会話(会話ではないが)を続ける。うーん、やっぱり、こういうのは、いい、なぁ……


「すぴー、すぴー、すぴー」


「あら、寝ちゃったわ」


『あーあ、寝てしまいましたか』





そうして、今日もまた穏やかな日々は過ぎていく。やはり、赤子というものはいいものである。

〜本をベッドに置いて行ってもらえるようになる手順〜

⒈普段から、親がやってくるとすっごい喜ぶようにして、親への興味が絶えないような感じにする

⒉親が本を持っている時がたまにあるので、その時は本をチラッチラッと見るようにする

⒊親の目の前で、自分の部屋に本があることに気づいたふりをする

⒋親が来ても、親に興味を示さず本に興味津々と言った目を向ける

⒌親が本を持っている時には、その本を目で追いかけ続ける

⒍親が本を俺の目の前に持ってくるまで待ち、そうなったら興味津々で本をパラパラとする

⒎メイドが俺のベッドに本を置いてくれるようになる


第一回 異世界食べ物解説 リル編

・リル

カナノス王国の存在する大陸全域に生息する。果物。少しの酸味と強い甘味が特徴で、周囲の魔力量によってその味の質が変動することが研究によって報告されている。

見た目としてはさくらんぼに近く、鮮やかな赤が特徴。

煮ても干しても焼いても美味しく食べることができ、その用途は多岐にわたる。

また周囲の魔力量によって質が変動するため、質によって階級分けがされており、カナノス王国やその近辺の王国では、最下級は平民級、最上級は王族級と、身分がそのまま階級に反映されている。

織物が有名な地域では染色にも使われ、その香りが布に染み込んでいるため大変人気である。



第一回 地方・地域・国解説 シメリア地方/王国

・シメリア

シメリア王国とその近辺の地域を指す言葉。大陸の地方区分の一つ「シメリア地方」のこと。

「シメリア」のみで言った場合には、主にシメリア王国を指す。シメリア王国では茶の栽培が盛んで、様々なブランドが見られる。

主に作られる茶は紅茶であるが、茶の販売初期はその大半を緑茶類が占める。これは、紅茶は茶葉を発酵させるプロセスが必要なのに対し、緑茶は茶葉を加熱するだけで早期に完成できるからである。



ちなみにこの設定思いついたの執筆中です

茶葉とかの情報が間違っている可能性があります、いやジェミニに聞いたんだから間違いなどないだろう……!!

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