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【二章完結】乙女ゲーのチュートリアルで消える強化素材のはずが、攻略対象に執着されて退場できません。いや、俺、男なんですが!?  作者: 松平 ちこ
二章 夏休み突入編。 執着と過保護に追われるダンジョンソロって!?

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第23話 寝ぼけてます。そりゃもう盛大に。リア充爆発してくれ

「――は初めての夏休みどうするの、決まってる?」


「まだ決まってないの。ケレル君はどうするの?」


「俺も。領地から今はモンスター狩りで忙しいから帰ってくるなって、手紙が届いて。夏休みどうしようかなってさ」


 ケレルと誰かが話している。この声は、女子生徒のものだろうか。


「え、それ大変じゃない! 帰らなくていいの!?」


「いいの、いいの。俺が帰ると、それなりに人手を割くだろー?

 それも惜しいんだと思う。モンスターは夏から秋が、一番狩るからなぁ。ま、いつものことだよ。気にしないで」


 驚く女子生徒の前、からりと笑ってケレルは答えていた。


 確かに、学園から帰るとなれば馬車か馬の手配に始まって道中の護衛もある。

 食事、部屋の整頓、滞在中のあれこれと色々と雑務が増えるだろう。


 ――それにしても、親密な仲だな。


 ケレルは誰とでも仲が良いけど、特定の誰かはいなかったように思うのだが――。


『▷「それでも心配だよ。じゃあ、旅行ってことで私と一緒に、モンスター狩りしに行こうよ。

 旅行だから、家には顔を出すくらいでいいと思うの、迷惑にはならないでしょ」

 ▷「そっか。いつものことなら、心配いらないね。じゃあ、夏休みどこかでSクラスの皆と遊びに行く?」』


 久しく見ていない、前世の馴染みあるメッセージウィンドウが、パッとアディの目の前に現れた。


 ――え、夢?


 アディはここで、今見ているものが夢だと気づく。

 手紙、領地、Sクラス、女子生徒、それは乙女ゲームのワンシーンではないか。


 ――じゃあこれ、ヒロイン?


 アディが夢だと自覚し、よくよく見れば女子生徒は映っていない。画面上にケレルがいるだけ。


 ――二年生の夏休み前、誰と過ごすかの選択ルートか。


 編入のヒロインは、一年の夏の今はいない。

 一年にSクラスもない。必然的に、これはSクラスが増える二年生以降の未来の話だ。


 選択肢は帰るか、帰らないか、らしい。

 アディが選択することもなく、自動で画面は次へと変わっていた。


 ワールドマップが表示される。ケレルの家の領地であるウォレンティア領に、Newの文字とともに隠しダンジョンが現れた。

 それは選択肢でケレルと帰ったということだ。夏休みの半分を使って、ヒロインとケレルがダンジョンを攻略している。


 ――俺、なに見せつけられてんの?


 ヒロインとケレルが仲睦まじく攻略していく様は、今のアディが見ると大変複雑である。




 ◇◆◇◆◇◆◇




「――キャッキャウフフとか見て、楽しいわけあるかー!」


「わぁ! アディ!?」


 ガバリと、ベッドから身を起こしてアディが叫ぶと、隣にいたルナが驚いている。


 ――あれ、ここどこ?


 ポトリとアディの手元、布団の上に濡れタオルが落ちて染みを作る。

 自室ではないそこに、アディは疑問符を浮かべた。


 ――友達のリア充見せられて、嬉しかねぇ。よそでやれ。


 前世、ゲーマーとしてたくさんのゲームをこなした。今世、アディとして十四年生きた。

 乙女ゲームの世界と自覚しても、詳細を思い出すことはなかったのに。なぜ今さらになって……。


 夢を思い出してげんなりする。悪夢よりはいいのかも知れないが、アディにとってケレルはもう、目の前の生きた人間だ。

 画面上で見るには、アディの居心地が良くない。


「もー。急に起きないでよ。ほら、熱があるからちゃんと寝て! 心配させないで!」


 ルナに促されて、アディはベッドに再び寝かされる。おでこにヒヤリと、新しい濡れタオルが乗せられた。冷たくて気持ちがいい。


「あれ? 俺……?」


 やや冷静になったところで改めて、今の状況が分からなくてアディは困惑する。

 ルナは頬を膨らませて、タオルを片付けるのに夢中になっていた。


「元気そうでなによりだよ」


 くつくつと笑いながら現れたのはカリスだ。その目元に、若干の疲れが見える気がする。ルナの目元も赤い気がした。

 アディは思ったことを、そのまま口にしていた。


「カリス様、寝てます? というか俺、退くので寝ます?」


「……休息は取っているよ。熱がある人間を退かすほど、私が横暴に見えるのかい?」


 一瞬、面食らった顔をしたカリスはすぐに笑みで取り繕うと、アディの額へと人差し指を当てる。

 さらにタオル越しに、グリグリと圧をかけていた。


「まだ寝ぼけているのだから、しっかり休むといい。ここは学園の私の仮眠室だ。

 Aクラスは夏休みには入った。気兼ねは要らないから寝るといい」


「は? え、夏休み? ダンジョン?」


 とっさに、先ほどの夢が思い出された。夏休みまでまだ半月以上あったはず。

 時系列がごちゃごちゃになり、アディは困惑する。


「ダンジョンとは?」


「……アディ、人の気も知らないで」


 カリスとルナが何とも言えないジト目で、アディを見つめてきた。

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