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【二章完結】乙女ゲーのチュートリアルで消える強化素材のはずが、攻略対象に執着されて退場できません。いや、俺、男なんですが!?  作者: 松平 ちこ
二章 夏休み突入編。 執着と過保護に追われるダンジョンソロって!?

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第19話 学園ものといえばお約束のプール回!

「そうだよなー。夏と言えば、プールだよなあ」


 プールの更衣室。皆が着替える中、アディはふてくされた声を出して、シャツのボタンに手を掛けた。

 不穏な出来事から一転、平和な日々が続いていた。


「アディ、なに言ってんの?」


「お前、プール未経験? もしかして泳げない?」


 そこにケレルとユニタスが、ツッコミを入れる。


 言われてアディははたと気づく。今世では、泳いだことはない。けれど、おそらく泳ぎも問題ないはず。


 なぜならアディの模擬戦だってそうだからだ。

 アディの戦術は、ゲーマーの経験を参考に、理想の動きを身体強化で可能にしていた。


「泳いだことはないけど、泳げると思う」


 ロッカーの前、ドヤっとキメ顔をしてみたアディに、二人は笑った。


「なんだそれ」


「今日はBクラスも一緒だから、自信過剰で情けない姿見せたら、カッコ悪いぞ」


 聞き流したのはケレルで、からかってきたのはユニタスだ。


 ちなみに、ケレル以外の攻略キャラはここにはいない。

 彼らにはそれぞれ、個室が用意されていた。身分とは恐ろしいと、アディは思う。


『アディも、僕たちと一緒に着替えようよー』


 ルナがアディを引き留めたが、プールなんて剣も持たない。Bクラスも混じるとあって、アディは遠慮した。


 ――波風立たせたくねぇ。面倒そう。


 長袖のラッシュガードを着て、アディが後ろを振り返れば、ケレルもユニタスもラッシュガードは着ていなかった。

 引き締まった身体に、ケレルは腹筋が割れている。

 アディの貧弱さは、ラッシュガードで隠していて正解だった。


「もう見慣れたぞ、コイツらのは」


 比較されてはたまったもんじゃない、アディはそう愚痴を溢した。

 その一人言を拾ったのはケレルだ。彼は度々、アディにサークル勧誘を持ちかけていた。


「アディもサークル入ればいいのに。身体を動かしたら筋肉なんて、すぐつくよ」


「アディ、入ってないんだ。意外」


「悪いかよ。サークルはまだ、保留なの」


 入ったところで、筋肉なんてつかないと思うし、今さら途中で入るのも、追いつくのが大変そうだ。


 ――歓迎されるとも限らねぇじゃん。


 着替え終わった三人が外へ出ると、夏の日差しが照りつけた。

 その眩しさに目を細めて、アディは感嘆の声をあげる。


「野外プール! ひろ!」


 前世の二十五mプールが四個分あるのではないかという、その広さに予想以上に驚いた。


 ――まぁ温暖化で、野外プール文化自体が、前世はなくなってきてたから懐かしい!


「アディ、ホントにプール未経験だったね」


「ここのプールは水中戦も想定してて、かなり深いから、アディ、気をつけろよ」


 はしゃぐアディに、ケレルは驚き、ユニタスは忠告をしてきた。


 確かにエリアによって、プールの深さが違うのだろう。パッと見でも透き通った水面に、奥行きの色合いが違った。

 一番奥は水面が暗く、かなり深そうだ。


「子ども扱いするなよな!」


「こらそこ。そろそろ始めるぞ。集まれー」


 ワッと吠えたアディの声に被さって、教師が声をかけた。

 いつの間にか他の皆の着替えは終わっていたらしい。

 集まる生徒たちのその奥で、ルナは手を振り、ウェルムとフィデスは何かを話していた。

 アディと目の合ったカリスが、ニッと笑ったのを見て、アディは羞恥で顔が赤くなる。

 子どもっぽくはしゃいだのを、カリスに見られていた。


 ――だから、子ども扱いするなよ!


「合同だけど初回だから、二手に分かれるわよー。Aクラスは前期組と後期組で分かれて。後期組の二人はプールが初めてだから、Bクラスと一緒にするわよー」


 女性教師が、全体にそう指示を出す。


「お、分かれるのか。んじゃ、アディ。溺れるなよ」


「だから、泳げるって!」


 ユニタスは最後までアディをからかって、カリスたちの方へと歩いていった。

 Aクラスの後期組は、アディとケレルの二人だ。一人ではなくて、アディはホッとする。


「一人じゃなくて良かったね」


「本当にそれな。ケレルがいて良かったよ」




 ◇◆◇◆◇◆◇



 床にギリギリ足がつく深さのエリア、そこでアディとケレル、Bクラスは一緒になって、順番に基礎的な泳ぎを流していった。


 ザバッと水面からアディが顔を出すと、ケレルは、遠い目をして感想を述べた。


「わー。ホントに泳げてる……」


「はっ。だから、泳げるって言っただろっ」


 プールの端から端まで、立つことなく前世のクロールを披露したアディに、ケレルはドン引きしていた。


「アディ。初めてでそれは、反則じゃない?」


「ケレルも泳げてるのに、何言ってんの?」


「いや、俺は初めてなんて言ってないだろ。領地の湖で泳いでるよ」


 身体強化無しで泳ぎきったから、アディはやや誇らしげだ。

 だからこそ、ケレルに話を振ったのだが、なんとケレルの領地には湖があるらしい。すでに水泳経験者だという。


 ――なにそのポテンシャル。ゲーム設定にもないぞ。


「……裏切り者」


「なんでだよ。むしろ、泳いだことがないやつが泳いでて、いう台詞じゃないよな!?」


 ボソッと呟いたアディに、ケレルはめざとくツッコミをいれた。

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