表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一章完結】乙女ゲーのチュートリアルのサポートキャラに転生したら攻略キャラが集まってきた。いや、俺は男なんですが!?  作者: 松平 ちこ
一章 学園入学編。 攻略対象キャラたちに、俺、囲われ始めたんだけど!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/56

第2話 かつては神童。今はただの平凡を目指してます

「新入生諸君、入学おめでとう。これからの学校生活を――」


 講堂に集まり、入学式の祝辞を述べる兄の低音ボイスに聞き入っていた。

 どちらの性も経験した今となっては、美男美女は恋愛対象というよりは、ただただ目の保養である。


 ――ああ、俺の兄がかっこいい。


 喜びを噛み締めて、アディは小さく握りこぶしを作った。


「なぁなぁ。もしかして生徒会長、お前の兄貴?」


 アディの肩に手を置き、ヒソヒソと声をかけてきたのは、ケレル・ウォレンティア侯爵令息。


 柔らかなマロンの髪に、くりっとしたブラウンの瞳。

 ジャケットのボタンは全て留めているが、襟のボタンは少し開け、制服をやや着崩した男子生徒。攻略対象キャラの一人。

 その見た目は、犬に例えるならトイプードルだと思う。


 アディはざっと、ゲーム設定と本人を照らし合わせていた。


「そうだけど?」


「やっぱり?似てるなーと思って」


「え。セレ兄さんの方が何倍もかっこいいだろ?」


 アディは思わず、じと目になって答えた。ケレルの目は曇っているのではないか、大丈夫か。

 わりと本気で、アディはそう思っていた。


 ――冴えない俺と同列にしては、セレ兄さんに失礼ではないか。


「えー、似てると思うけどなぁ。あ、俺。ケレル、よろしくなぁ」


「アディだよ。よろしく、ケレル」


 学園では実力重視のクラス分けということもあり、身分問わずの交流を推奨されている。

 お互いに、ファミリーネーム抜きで自己紹介をした。


 ――まぁケレルの場合は、校風より性格からだろうけど。


「アディってもしかして、アディウートル?神童の?」


「それ、いつの話だよ」


 ぼんやりとした前世の記憶。それを前世として特別だと思わず、当たり前だと受け取って暮らしていた幼少期。


 そのためうっかり勉学の方で、力を発揮し始めたのが二歳。周りと違う前世持ちだと自覚したのは、三歳頃からだった。


 ――あれは字が英語に似てるのが、悪い。


 家庭教師から習う前に読めてしまったため、神童ともてはやされたのは、言うまでもない。

 そして今となっては、それに喜んでた自分もちょっと恨めしい。

 探求心を抑えられず、いろいろ話を聞いたり喋っていたりした気がする。


 七歳で眼鏡をかけて、乙女ゲームの世界では? と気づいてからは、目立たず生きるために手を抜くことをアディは覚えた。


 ――デフォルメのキャラデザインと、七歳の幼い容姿が見事にマッチしたんだよなぁ……。


「ちょっと字が好きで、飲みこみが早かっただけ。今はただの凡人だからな。期待するなよ?」


 これからの座学、期待されないよう念のため、ケレルに釘を刺した。

 前世、宿題をサボるヤツにたかられたことがあるからだ。課題は自分でやれ、盗作などもってのほかだ。


 入学前の魔法実技だって、ノーマルレアリティ設定が忠実に再現され、凡人レベルなのだ。

 座学で成績が良かったから、総合的にAクラスになっただけである。


「アディ。それBクラスとかの前で言うなよー。泣いちゃうぞ、皆。むしろそれで済んだらいいな?」


「そんなことないだろ?」


 二年から追加のSクラスには、ヒロインと攻略対象がメインで、アディが入ることは、まずない。

 なぜなら、チュートリアルのキャラだから。初期強化で消えてなくなるのだ。


 きっと成長限界を迎えて、どんどんノーマルレアリティとして、アディの成績は下がってクラスが落ちていくのだろう。

 なぜなら今でさえ、アディの魔力量はあり得ないほどに低いから。


 アディは侯爵家の三男なのだ。平凡でも何も問題ない。卒業後は、そこそこのハッピーライフを送るのが夢だった。


 せっかくの貴族の末子。立身出世など兄たちに任せ、楽しむことを重視したいと思う。

 ここでやり過ぎて、後継者争いとかになったら、バイオレンス過ぎる。


 そう思うのはきっと、前世で社畜とか何かを頑張り過ぎていたからかもしれない。


 ――俺の前世、何してたんだろう。


 十四年も前だ。前世の記憶は、どんどん薄れていくようにアディは思う。適応力が涙ぐましいくらい図太い。


「おー。アディの自己評価が低いのは、なんとなく分かったぞ。お前、ヤバイな」


 ぼんやりとしたアディに何を思ったのか、ケレルはそういった。

 自己評価は低くない、常識の範囲だろう。


 ――俺は、チュートリアルキャラだぞ。


「どういう意味だよ」


「いや、まぁ座学なぁ……。俺は得意じゃないけど、他人任せにはしないから、そこは安心しろってこと」


 なにやらケレルのツボに入ったらしく、俺の肩に手を回してきて、にやにやとされた。


 アディにはよく分からないが、学園での友人、一人目ゲットの瞬間である。

 攻略対象とは距離を置きたいと思っていたけれど、気さくなヤツみたいなので大丈夫だろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ