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抱え込みすぎて壊れる前に消えた私が、別の世界でやり直したら  作者: 絵宮 芳緒
第四章|動き出した歯車

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第六話|当然の位置

ざわめきが、広がる。


抑えられている。

だが、消えない。


「……」


視線が、ひとつの方向に自然に集まる。


「……来た」


誰かが、小さく言う。


「……」


ゆっくりと、音を立てずに扉が開く。


「……」


最初に入るのは、護衛でも側近でもない。


ただ、一人。


「……」


ルシアン第二王子。

その名を、誰も口にしない。


だが——

全員が理解している。


「……」


足音は、一定だ。

迷いがない。


「……」


視線が、揺れる。

一歩ごとに、空気が変わる。


「……」


中央で、止まる。

それだけ。


「……」


言葉はない。


だが——

それだけで、場が整う。


「……」


少し遅れてもう一人、入る。


「……」


アリシア公爵令嬢。

静かに、同じように。


「……」


自然に、迷いなく隣に立つ。


「……」


距離は、近い。

だが、触れない。


「……」


それで十分だった。


「……」


ざわめきが、変わる。

さっきとは違う形で。


「……」


誰も、口に出さない。

だが、全員が理解する。


「……」


そこが、“本来の位置”だと。


「……」


バルドは動けないまま、

少し離れた場所にいる。


「……」


視線だけが、向く。

逸らせない。


「……」


何かが違う。

そう思う。


「……」


だが、言葉にならない。


「……」


ルシアンは、何も言わない。

ただ、立っている。

それだけだ。


「……」


それで、十分すぎるほどに

示される。


「……」


格が、違う。


「……」


アリシアは、隣にいる。

揺れない。


「……」


迷いもない。


「……」


それが、すべてだった。


「……」


誰も、異を唱えない。

唱えられない。


「……」


場が、自然に静まる。


「……」


最初から、決まっていたかのように。


「……」


バルドの喉が、何か言おうとして動く。


「……」


出ない。


「……」


その時、視線が一瞬だけ合う。


「……」


ルシアンのものではない。

アリシアのものだ。


「……」


静かだ。


だが——

揺れない。


「……」


それだけで、十分だった。


「……」


もう、言葉はいらない。


「……」


すべては、見えている。


「……」


誰が、どこに立つべきか。


「……」


そして、誰がそこにいないのかも。

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