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抱え込みすぎて壊れる前に消えた私が、別の世界でやり直したら  作者: 絵宮 芳緒
第三章|回り始めたもの

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第六話|繋ぎ直す場所

「……順番、違う」


静かに、声が落ちる。

だが、はっきりと。


「……」


若い方の手が、完全に止まる。


「……」


机の上。

紙の並び。

さっき、自分で整えたはずの順番。


「……」


視線が揺れる。


「……ここから動かすと」


続く。


「全部、戻る」


「……」


言葉が、どこかで聞いたままの形で重なる。


「……」


若い方は、何も言えない。

言い返さない。

言い返せない。


「……」


「一回、止める」


今度は迷いなく、年上の女性が言う。


「順番、決め直す」


「……はい」


素直に返す。


「……」


ゆっくりと、手を動かす。

一枚ずつ。


「……」


遅い。

だが、止まらない。


「……」


電話が鳴る。


「……」


若い方の手が、一瞬だけ止まる。

視線が揺れる。


「……取るね」


年上の女性が短く言う。


「……」


受話器を取る。


「……はい」


声が落ちる。

整っている。


「……はい、現在整理中です」


「……」


向こうの声が続く。

強い。

だが——


「……」


「順番を整えてから流します」


はっきりと。


「少しお時間をください」


「……」


一瞬、向こうが止まる。


「……はい」


それだけで通じる。


「……」


電話を静かに切る。


「……」


若い方は、動けずにそれを見ている。


「……」


あの人と、同じだと気づく。

言い方も、間も。


「……」


違うのは、一人ではないこと。


「……」


「続けて」


年上の女性が言う。

視線は紙の上。


「……はい」


今度は、迷いなく返す。


「……」


手を動かす。

順番を追う。

止まる。

考える。


「……」


「……ここ」


小さく言う。


「こっち、先ですか?」


「……そう」


短く返る。


「そのあとで流す」


「……」


頷く。


一つずつ。

繋いでいく。


「……」


遅い。


だが——

崩れない。


「……」


「……これでいいですか?」


差し出す。


「……」


見る。


「……いい」


短く。


「……」


息が、少しだけ抜ける。


「……」


電話が、また鳴る。


「……」


今度は、手が止まらない。


「……はい」


取る。


「……現在、順番を整えています」


はっきりと言う。


「……」


向こうの声が続く。

だが、さっきとは違う。


「……はい」


頷く。


「少しお時間ください」


それだけ。


「……」


切る。


「……」


受話器を置く。

手が、震えていない。


「……」


小さく、息を吐く。


「……」


ほんの少しだけ、繋がった。


「……」


視線を落とす。

紙の上。


「……」


まだ足りない。

わかっている。


「……」


それでも、止まらない。


「……」


年上の女性が、隣にいる。

同じ机で、同じ流れを見ている。


「……」


一人ではない。


「……」


それだけで、少しだけ違う。


「……」


あの人のことを、思い出す。


「……」


ずっと一人で、やっていた。

馬鹿にしていた。


「……」


胸の奥が、重くなる。


「……」


それでも、手は止めない。


「……」


繋ぐ。

整える。

流す。


「……」


今は、それだけでいい。


「……」


回り始めたものは、まだ不安定だ。


「……」


だが——

繋ぎ直すことは、できる。

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