クレアさん
よろしくお願いします!
「……そういえば、お姉ちゃん。クーちゃんは、どうしたの?」
ふと、ミルクちゃんがココアちゃんにそう問いかけた。
「クレア?同じクラスだったから、多分、私の教室にいると思うけど」
ここで、クーちゃんと呼ばれる人物の名前が判明した。クレアさんというらしい。名前からして日本人ではないのだろうか。
そういえば、モモちゃんとミルクちゃんは幼馴染と言っており、先ほどのやり取りからココアちゃんも同様であると考えられる。
そこにクレアさんという名前が出てきた。これについては幼馴染と断定はできないが、短い間で人見知りっぽいことがわかるミルクちゃんの口から出てきたことがその可能性を高めている。
私は、その人に人物像も含めて、直接聞いてみることにした。
「モモちゃん、クレアさんって人も幼馴染なの?」
「そうだよー、ココアと同じクラスみたい」
「どんな子なの?」
「どんな子って、えっとー……ココアはどう思うー?」
「どうって、そんなの簡単じゃない?天然よ。一見しっかりしてるけど、どこか抜けてるとことか」
「あぁ!そこがクーちゃんかわいいよねー。あとはなんだろ、人付き合いが苦手かも?」
「……そうだね、その辺り、さっぱりしてると、思うよ」
クレアさんについて三人がかりで教えてくれた。他にも、剣道をしていること。食べることが好きであること。そして、ハーフであることなど、容姿から趣味まで簡単にであったが、ある程度クレアさんがどういう人であるか想像することができた。
「まあ、クレアは誰が見ても美人だからすぐにわかるわよ」
とのことだ。
*
「その、四人で幼馴染なんだ?」
「え?」
「えっと、話しててそうなのかなぁって思って。もしかしてまだ他の子がいたり?」
「……」
私がそう質問をすると、一瞬であったが少し間があったような気がした。しかし、それも気のせいだったようで、すぐにモモちゃんが答えてくれた。
「違うよー、もう一人いるんだー。今度機会があったら紹介するね!」
「そうなんだ、ありがと!楽しみにしてるね!」
私たちがそうして話していると、教室の扉の方から声がかけられた。
「あれ、モモにミルク。なんで私の教室にいるの?もう先生来ちゃうんじゃない?早く戻った方がいいよ?」
……会話の内容はひとまず置いておこう。
そこにいたのは想像していた以上の美人だった。
この人物がおそらくクレアさんなのだろう。言われなくてもそうだと、どこか確信していた。
何せ、皆が、教室にいる人、全てがその美しい声に反応してその人物を見つめているのだから。それこそ、ほとんどの人が知り合いであるのにもかかわらずだ。
その注目を一身に浴びている本人はそれらをまるで気にしていないようだった。
クレアさんの視線は私たちの方にだけ向いているが、何となく私がその中に入っていない感覚があった。
さて、当の話しかけられた二人はどのような反応をしているか、気になった私はそちらの方を見る。
きょっとーん。二人の反応はまさにこれであった。クレアさんの言葉を理解していないのである。私も理解できない。
この場にいるもう一人の人物であるココアちゃんは顔を背けて必死に笑いをこらえていた。的外れなクレアさんの言葉、それを投げかけられた二人の反応、そしてその二人の反応をものともせず本気で心配そうな表情のクレアさん。教室からもようやく事態を理解したのか、段々と笑いをこらえるような反応が聞こえてきた。
モモちゃんも同じく、ようやく事態が飲み込めたのか、ハッとした。ミルクちゃんは未だきょとんとしている。
「クーちゃん!ここ、私たちの教室だよー?!」
そう言われたクレアさんは首を傾げた。
「むぅ?けどココアがいるよ」
「ミーちゃんもいるでしょー!」
モモちゃんの言葉に何かを気付いた様子を見せたクレアさんは教室全体を見渡した。
「ごめん、間違えた。ココア、帰るよ」
おそらく、モモちゃんの言葉で、ココアちゃんがいる理由も察したのだろう。しかし、恥ずかしがる様子もなく、ココアちゃんを連れて帰ろうとしていた。
「ちょっと待って、私、まだ、お手洗いに行ってない~!?」
「本当に今まで何してたの?まぁ、何となく想像はつくけど。もう時間ギリギリだからあきらめて」
「え、ちょっと待って。ほんとに行かせてくれないの!?ねぇ、嘘でしょ!」
「それじゃ、モモ、ミルク。また帰りでね」
クレアさんはそう言って騒ぐココアちゃんを連れて自分たちの教室に戻っていった。
私も抜けてるところがあると自覚はしていたが、段違いな人がいることに驚愕を隠せなかった。
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