↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/79

第58話 旅芸人の正体

フィオナさんが自分の泊まっている宿へ戻った後。


僕達四人は、ミュラとマシューの前に並んで座っていた。


「まず言っておくけど、僕はグランさん達を助けに行った事を怒ってる訳じゃない。」


ミュラは声を荒げる事なく、静かにそう言った。


「困ってる人を放っておけないのはベルらしいし、僕だってあの場にいたら捜しに行くって言ったと思う。」


「……うん。」


「でも、3日間も何の連絡も無しで帰って来ないのは別問題だ。」


その言葉に、僕達は何も返せなかった。


「僕とマシューがどれだけ心配したと思う? 最悪の場合、僕達まで捜しに出てたかもしれないんだぞ。」


「そうですよ……。」


マシューも怒鳴る事は無かったが、いつになく真剣な表情をしていた。


「ベルさん達が心配なのはもちろんです。でも、もし私達まで捜しに行って入れ違いになったり、何かに巻き込まれたりしたら……もっと大変な事になってました。」


「…………。」


まったくその通りだ。


グランさん達を助けたいという気持ちばかりが先に立って、待っている2人の事まで考えられていなかった。


「……すみませんでした。」


僕は深く頭を下げた。


「私もです。ベルさんだけの責任ではありません。」


リオさんも続く。


「ボクも……ちゃんと考えるべきだったよ……。」


「私も反省しています。」


ラウちゃんとザン君も頭を下げた。


「次からは必ず誰かに伝えてから行動するよ。」


「あぁ。それならいい。」


ミュラはようやく少しだけ表情を緩めた。


翌日。


僕達6人は町を歩いている途中で、グランさん達と再会した。


「ベルさん!」


「あ、グランさん。」


「昨日は改めて、本当にありがとうございました。皆さんが来てくれなければ、どうなっていたか……。」


「無事だったんですから、それで十分ですよ。」


そんな話をしていた時、僕は昨日から気になっていた事を思い出した。


「そうだ、グランさん。一つ聞いても良いですか?」


「はい?」


「昨日、フィオナさんを見た時……何か知っているような反応をしてましたよね?」


その瞬間、グランさん達の表情が変わった。


「……やっぱり気付きましたか。」


「フィオナさんって、一体何者なんですか?」


グランさんは少し迷った後、静かに口を開いた。


「皆さん……彼女からは、フィオナ・ブラムスと聞いているんですよね?」


「はい。」


「……それは本名ではありません。」


「えっ?」


僕だけでなく、皆から声が漏れる。


「彼女の本当の名前は――フィオ・ベックハート。」


グランさんはさらに続けた。


「かつて、ハイトランダ教大教会で司祭を務めていた人です。」


「司祭……!?」


旅芸人だと思っていたフィオナさん。


いや――フィオ・ベックハートさん。


〖快癒〗を使えた理由。


呪いについて異常なほど詳しかった理由。


今まで感じていた違和感が、一つに繋がった気がした。


けれど…。


「どうして元司祭の人が……旅芸人を?」


その疑問だけは、まだ残ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。