第57話 ようやくの帰還
リュートグランのパーティーと再会し、そして帰りの帰路も何も問題無く帰る事になった僕達。
勿論、リュートグランのメンバーも一緒に帰っている。
「グランさん、目的は達成したんですか?」
僕はさりげなく、グランさん達にクエスト達成したのかを聞いた。
「…残念ですが…」
「そうですか…」
表情が暗くなった事を考えると、クエストは達成出来なかった様だ。
「無理もありません…。実際、難易度が高かったので…」
「でも、皆さんが無事だっただけでも良かったですよ。」
「そうだね。クエストならまた受けられるけど、命は一つしかないしさ。」
ラウちゃんの言葉に、グランさん達は静かに頷いた。
「本当に…皆さんには何とお礼を言えば…。」
「気にしないで下さい。それより今は町まで戻る事を考えましょう。」
僕がそう言うと、手綱を握っていたザン君も前を向く。
「殿、もう少しでマーラ・ドシタルが見えてくる頃かと思います。」
「やっとかぁ~。」
町を出てから三日。グランさん達を見つけられた安心感もあるが、僕には別の心配があった。
ミュラとマシューだ。
僕達はまともに事情も伝えないまま町を出てしまった。
「……怒ってるでしょうね。」
「多分ね。」
リオさんの一言に背筋が寒くなる。
「だ、大丈夫だよ! ボクも一緒に謝るから!」
「ラウちゃん、それ前にも言ってたけど、多分余計怒られると思うよ…。」
「えぇ~!?」
そんなやり取りをしていると、遠くに町の門が見えてきた。
「見えました、殿!」
「本当だ!」
ようやく帰って来られた。
町へ入った僕達は、まずグランさん達をギルドへ送り届ける事にした。
フィオナさんの回復魔法のお陰で怪我はほとんど治っている。
「それじゃあ、本当にありがとうございました。」
「また何かあったら声を掛けて下さい。」
グランさん達と別れ、僕達は宿へと向かった。
そして扉を開けた瞬間。
「……ベル。」
聞き慣れた声がした。
「ミ、ミュラ……。」
そこには腕を組んだミュラと、その隣で困ったように笑うマシューの姿があった。
「お、お帰りなさいベルさん達…。無事で良かったです。」
「マシュー……!」
しかし、その横の幼馴染は笑っていない。
「三日間、何の連絡も無し。」
「……はい。」
「しかも勝手に町の外へ。」
「……はい。」
「言いたい事は分かるよな?」
「本当にすみませんでした!!」
僕が頭を下げると、リオさんとザン君も続き、ラウちゃんも慌てて頭を下げた。
「あたしの案内で長引いた部分もあるし、あんまり責めないであげてよ。」
フィオナさんが助け舟を出してくれる。
するとミュラは、初めて見る彼女へ視線を向けた。
「……ところで、そちらの人は?」
「あっ、紹介してなかったね。」
僕はフィオナさんの方を見る。
「この人は、グランさん達を探すのを手伝ってくれた旅芸人のフィオナ・ブラムスさん。」
「よろしく~。あたし、フィオナ。」
明るく手を振るフィオナさん。
だが僕の頭には、帰り道でも消えなかった疑問が再び浮かんでいた。
この人は、本当にただの旅芸人なのだろうか?




