第40話 元王宮兵士、ザン・カッハリー
「元王宮兵士…?」
「ええ、彼は…10代の若さで王宮に使えていた兵士です。 その実力はその王宮内でトップでした。」
何と、彼女が欲しいあの最高額の奴隷は、元トップの王宮兵士だと…。
しかも…ラウネさんが言うには、彼の斧のスキルは上級冒険者と互角だという…。
おそらく、その斧のスキルが最高のレベル8なのだろう。
15歳で…斧のスキルレベル8…。
そりゃ、高額をつけるだろうな…。
将来性もあって、強力なスキルレベル持ち…。
「そんなにすごいのに…何で奴隷に…?」
疑問を持つミュラだが、その理由は大方予想がつく。
「おそらく、その若さで強いからという理由でしょうね。 多分、その同僚に妬まれた売られたのかも、もしくは…お金欲しさに売られたのかもしれません。 高値で売れる条件が沢山そろってますから。」
「そうですね、前者なら邪魔なライバルを消せる。 後者なら大量のお金が手に入りますから、買い取られた際に手元に沢山…。」
リオさんは、僕の予想に補足を付け足す。
「正にその通りです。」
僕の予想は当たってた様だ。
売られた理由をラウネさんが真剣な表情で語りだす…。
「彼は、両方の理由で売られました、先程申したその理由で…。」
現実とは…非情な物だ…。
そんな信じられない理由で人を売るのか…!?
僕達は王宮の内部に関するドロドロを知ったな…。
しかも、ラウネさんが本人から聞いた話によれば…王宮の財政困難からというクソみたいな理由で売られたと…。
「そんな事を聞いて、私はせめて彼に普通の生活をさせる為…あそこから出す為に、彼を買い取ろうと頑張ってきたんです。」
厳しい表情を浮かべて話すラウネさん。
そんな事情があって…あの仕事をしたのか…。
周りもそれを聞いて複雑な表情を浮かべたりしてる。
だが…よく考えると、ラウネさんはザンって子と親しい模様だな…?
「ラウネさん、もしかしてですけどザンって子に食事とかを作ったりしました?」
そんな最中で思い切って話してみる事に。
「え…何で分かったんですか?」
彼女の答えは正にその通りだったみたいだ。
彼女は意表を突かれたのか、驚いた表情になって言い出す。
「実は、調査してた彼女が食材を持ってバジーニに入る姿を目撃したんです。 店から出た時にはその食材は無くなってたみたいですけど…。」
知ってる理由を話す僕。
ラウネさんは冷や汗を出し、驚いた表情になる。
そして僕は、一つの結論をラウネさんに伝える。
「あの食材は、ザンさんに食べさせる為の物ですよね?」
「…!!」
「その反応からして…ベルの言ってた事が図星で間違いないな。」
「ただ、アルベールさん。 どうして、彼女が彼に食事を作ってるって事が分かったんでしょうか?」
タイラーさんからそう聞かれた。
「彼を見た時ですよ。」
「彼を見た時…?」
「ええ、普通ならばあんなひどい環境で成長期の子が入れられてたら、身体なんてそんなに育たないし、しかも腕をよく見たらあんなに程よく筋肉がつくとは思えません。 多分、貴女がちゃんと栄養のつく料理を食べさせて来たんじゃないでしょうか?」
「…。」
僕なりの推理を話すと、彼女の表情は目が点となって、口が僅かに開いたポカンとした表情になる。
不思議そうに聞いてたタイラーさんも、僕の推理に納得してるみたいで。
「成る程、確かに貴方の言う事は一理ある。 ただ…問題は何故、彼女がそんな事をするのか?」
今度は、彼女がそれをする理由を問われた。
彼女の表情は先程とは一転、真剣な表情へと変わる。
まあ、これに関しても予想がついてる。
「おそらく、貴女は相当の実力者。 そして、ザンさんも同様。」
「つまり…どういう事ですか?」
「おそらく…。」
「それに関しては。」
僕が話そうとすると、ラウネさんが手を前に出して止めてしまう。
どうやら、僕の考えてる事を察したのだろう、それに…もしかすれば彼女はその計画を潰されて欲しくないのかも知れない。
「まあ、何れにしろ開放する事に関しては僕達も協力はします。」
僕はそれだけを伝えると彼女は、何も言わず「分かりました」の一言だけ。
僕達は、ラウネさんに別れを告げると家を出た。
ラウネさんの家を出てタイラーさんと別れる前に、僕はタイラーさんにこのお願いをする事に。
「あの、3000万ロド程用意してくれませんか?」
それを聞いたタイラーさんは疑問を持った表情になるが、僕はその理由を話すと理解してくれた模様。
その後はタイラーさんと別れ、歩いて貸家に向かう最中で僕は皆に計画を話していく事に。
「成程…だから、彼を救う…。」
「ただ情だけじゃない、もっと大きな事の為に彼と一緒に…。」
その計画を聞いて、リオさんとマシューも真剣な表情に。
もう、これで協力する事は間違いないだろう。
「ただ、その計画が分かったら危険は免れないだろう。 だからミュラ、お願いするよ。」
「分かった、バレない様に上手く話しておくから。」
「多分、決行は明日になると思う。 だからそれまでには、準備をしておこう。」
僕はそれまでの準備の為に、リオさんとマシューにある指示を伝える。
「わかりました、早速行ってきます。」
「そうでもしないと、救えないですもんね。」
「お願いします。」
僕の指示を聞いた2人は、早速動き出す。
残る僕は…貸家に戻り、武器の手入れをし始める。
全ては明日の為に…!!
「何としてでも…!!」
第2章も最終局面です。
あと少しで第2章が終わります。
楽しみにしてください!!




