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第34話 ラウネの正体

調査開始から3日目…厳密に言えば4日目の深夜だけど…。

先日は先日でまたもやおかしな行動を起こしていたラウネさん。

彼女、何故か買い込んだ食材の袋を持ったまま、あの酒場の中に入り、出てきた時にはその袋が無くなってたのだから。


今日はまた双眼鏡を使う事にした。

深夜なら人が少ないし、使っても何も問題は無いだろう。


そんな彼女の家を観察する私…。

深夜の街は、人通りも少なく…妙な静けさが漂う…。


「うひょー…怖いな…。」


ガチャ…!


恐怖を感じてる間に彼女の家のドアが突然開き、彼女が出てきた。


「開いた…! 良し…ってえっ…?」


私は驚愕した…

彼女の家から、何人もの人が出てきたのだ。

しかもその人達は、1週間近く前に殺されたと思った一家の家族…2日目の時、ラウネさんが立ち寄った家のあの家族だ!!

その家族は何やら袋を持って、ラウネさんの後ろをついていく。


「(え…どういう事…彼女は一体何者!?)」


全く理解も出来ずに私は彼女達の跡をついていく…。

勿論、バレない様にしているが…昼時と夜時とは違い、深夜は人の声や物音が少ない…その為、わずかな音でもバレる危険性がある…。

その為に、ついていく直前に隠密スキルのレベル3で取得出来る特殊特技、"サイレスウォーク"を発動させて足音が無くなる様にした。


「無いよりはマシか…バレそうになったら逃げよう。」


正直、足音が無くなるだけであってバレないとは限らない。

例えるなら、道端にある石ころを蹴った音は消えない為、石が転がる音でバレるという訳だ。

当然ながら、姿は見えるから姿を見られたらバレる。

便利そうに見えて意外と穴もあるスキルだから、慎重さも要求しないといけない。


「さてと…そーっと…。 石に気をつけないと…。」


私はラウネさん達を追跡するが、最初に向かったのはあの例の現場。

あの一家の家だ。

ラウネさんは家族をあの家に入れさせ…数分後…荷物を持ってきた家族が家から出てくる。


「(荷物を…回収したという事かな?)」


すると、ラウネさんは家族に指示を送ると家族と別れて、一人別行動に。

家族は、ラウネさんの指示した方向の道へと行ってしまう。


どちらに行こうかと普通なら迷うが…

しかし本来の目的はラウネさんの調査だ、迷う必要は無い。

私は、ラウネさんの跡を追う。


「(どこに行くんだ…? あれ?)」


彼女が向かったのは、馬車売場だ。

すると、売場の関係者と見られる男性が入り口近くに立っており、その近くにはラウネさんが頼んでおいた馬車が置かれていた。


そして、ラウネさんは男性にお金らしき物を渡すと馬車を別の所へと動かす。


「(あの馬車…何に使うつもりだ?)」


そう考えてると、彼女はある場所で止まる。

その場所は私達が入った出入口とは違う、別の出入口前。


しかも近くには、先程の家族が待っていた。


「(もしかして…あの馬車は…。)」


双眼鏡で確認すると…


「(あっ、やっぱり!)」


馬車に例の一家の家族達が乗り込み、その後ラウネさんは一家の主らしき男性に何かが大量に入った袋を渡す。


「(あっ…あの袋…!!)」


私は袋から僅かに出てた薄緑色の液体が入ったビンがあった事を確認。

間違いなく、あれは魔物避けの[聖水]だ。

どうやらあの大量の[聖水]は、あの一家に使わせる為の物だという事みたいだ。


「(成る程…あっ…!)」


一方で、一家の主はラウネさんに封筒を渡している。

ラウネさんはある方向を指差して一家に伝えると、馬車は動いて街から出た。


どうやら、ラウネさんの正体が分かった。

というよりも…ラウネさんは"暗殺者"では無い事が判明した。


私はそれを確認した後、急いでベルさん達の家に帰った。

帰った後、私は直ぐに眠りについて…朝、目が覚めた後。

ベルさんにその内容を報告した。


「ラウネさんは暗殺者じゃなく…何故か対象を逃がし、その人達からお金を貰ってました。」


「んー、成る程ね。 つまり、今までの不可解な行動は全て逃がす為だったという事か。食材調達は一家の食事の為、馬車は街から離れた場所へと逃がす為の移動手段。」


「という事はこういう事だな、マーシュアちゃんの調査をまとめると、家に寄ったのは、おそらく泥棒が入り込んだかどうか。 血まみれにしたのも泥棒に入りにくくする為。 薬屋で聖水を購入したのは、移動の際に魔物を避ける為。」


「はい。 だからラウネさんは暗殺者じゃないって事がこれで分かりました。」


「ま、何はともあれ、これでようやく謎が解けて安心も出来ますね~。」


これで一安心と思いきや、ベルさんが突然こんな事を。


「でも、まだ謎が残ってる。」


「え…どういう事ですか?」


「まだ、酒場に寄ったという理由が解けてない。 マシュー、確かラウネさんは酒場に1時間くらい中にいたんだよね?」


「え…えぇ、調査2日目の時…。」


「そして昨日には、食材を入れた袋をわざわざ酒場に持っていき、店から出る際はその袋が無かった…。 これは、どうもおかしいと思うんだ。」


ベルさんはどうやらラウネさんの酒場の行動がどうも気になる様だ。

理屈も確かにそうだ、言われてみれば一番の大きな謎である事には変わらない。


「それに2日目の酒場で1時間の行動だけなら、暗殺の依頼を受け取るという事なら分かる。 だけども、食材を購入して持ったまま酒場に入って、店から出てきた時にはその食材が無かった。 単純に考えたら、酒場で料理を作ったって事になるだろうね。 その食材を使ったわけだから。」


「そうなりますね。」


「じゃあ、何の為に使ったんだろう?」


「何の為って…? そんなの…分かる訳…。」


ベルさんの言う通り、何の目的でそんな事をしたのか目的が分からない。

解決したと思ったのもつかの間、また…大きな謎が出てきた。

そう考えると、彼女の本当の正体を知るのはまだ先だ…。


ラウネの正体、彼女は暗殺者と思いきや。

実は裏で対象となった人達を逃がす仕事をしていました。


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