第22話 用心棒の仕事
ライベリットの街に住んで早くも1週間が経つ。
あれからも暗殺事件、さらに窃盗事件まで発生した。
出る度に恐怖に感じたが、ようやく慣れて、今では日常の一部となってる。
そんな今日のバイトの担当は僕とミュラのコンビ、家に残るのは女性コンビ2人。
少し心配になるけども…くじで決めた以上は仕方無し。
今日のバイトを見つける為、求人の貼り紙を2人で見てるが…1つ気になるのがあった。
「ミュラ、用心棒の仕事だって。」
「用心棒?」
僕が見つけたのは、[用心棒]の求人。
依頼主は、この街の資産家[タイラー・リュブオン]という人で、この人の依頼は暗殺者から自分を守って欲しいとの事らしい。
報酬は資産家らしく何と破格の3万ロド!
これはスゴいと思い、僕はこの求人を選ぶ事にした。
しかも人数に関しても別に問題ないとの事、1人3万ロドの報酬なら僕とミュラで2人で6万になる!
「それなら、この仕事をしようよ。 僕達も別に二人いるんだから何も問題はないはずだ。」
「そうだな。」
「それにこれだけ報酬が高かったら、目標の金額も達成しやすくなるし。」
「まあ、暗殺者を返り討ちにしておけば、後から困らなくて済むだろう。 簡単に口にしたけども…。」
「上手く行けばね。」
僕達はその資産家の元へと向かった。
暫くして街でも結構目立つ屋敷のドアの前に立つ僕達、正にお金を沢山持って一番狙われやすいという感じがある。
僕はドアにつけられた金具でドアをノックする。
コンコン
ガチャ…
ドアが開くと、中から出てきたのは背が高めの綺麗なメイドさんだった。
「あの…何の御用ですか?」
メイドさんは突然現れた僕達に対して、少し警戒気味のようだ。
まあ無理もないだろう、見知らぬ人間が突然屋敷の前に現れたら誰だって警戒するし怪しむ。
ましてや、この街の状況なら…疑われても文句言えないよ。
「あの、僕達は[用心棒]の求人を見て応募してきた二人です。」
「まあ、そうでしたか。 では、少々お待ち下さい。」
バタン
メイドさんに来た理由を説明したミュラ、メイドさんは分かってくれたのか屋敷の中へと戻ってしまう。
多分、この屋敷の主人に説明でもしてるのだろうな。
少しばかり待ってると再びドアが開き、またあのメイドさんが姿を見せる。
ガチャ…
「お待たせしました、どうぞ中へ。 旦那様の所へご案内します。」
どうやら会ってくれるみたいだ。
メイドさんに促されて、僕達は屋敷の中へ…果たして採用されるのかどうか…。
コンコン
メイドさんがあるドアの前に止まり、ノックをし始めた。
「ご主人様、用心棒の希望者が参りました。」
「おぉ、入りたまえ。」
中にいる男の人が言うままに僕達は中に入ることにした。
「失礼します…。」
「失礼します。」
「おぉ、君達が用心棒の希望者か。 まあ、座りたまえ。」
「はぁ…では、お言葉に甘えて…。」
僕達はその男の人に言われるがまま、ソファーに座った。
「ようこそ、わが屋敷へ。 私は、[タイラー・リュブオン]、この街の資産家だ、君達かな? 私の[用心棒]を希望してる者は?」
どうやらこの人が[タイラー・リュブオン]さんらしい。
「はい…。」
「突然だが、私がどうしてこの様に用心棒を雇いたいと思ったか…話を聞いて貰えないかな…?」
「は…はぁ…別に構いませんが…。」
僕は、この依頼に少し違和感を感じた。
普通なら自分が依頼を頼む理由なんて明らかに不自然だ。
こういった感じなら、私を早速守ってほしいとか…偉そうにふんぞり返るものかと思ったが…。
「実は、用心棒と言っても…私を守ってほしいという訳では無いんだ。」
「え、求人では貴方を守る事ですよね?」
何とこの人から言われたのは、思いにもよらない言葉だった。
守るのは自分では無く他の人だと。
何故なのかと理由を聞く、理由無しに仕事をしても混乱するだけだからね。
「実はうちは結構複雑な環境でね…。 私は過去に1度結婚をしており、その前妻との間に産まれた子供達と…今の妻との間に産まれた子供達がいてね…。 子供同士は…問題ないが…いかんせん…今の妻と前妻との子供達でいざこざが有ってね…。」
「もしかして、身内が暗殺者を雇って…?」
「…考えたくは無いが…そうなりかねない。 だから、君達にはそういった事で用心棒を…。」
つまりこの人の言いたい事はこうだろう。
狙われてるのはどっちなのか分からないから、とにかく暗殺者を見つけ次第返り討ちにして追い返せと。
そういう事なんだろう。
ま、面倒な事に巻き込まれるのは酷だけど…別にやらないという訳じゃない。
「分かりました、じゃあ、やりましょう。」
「本当かね! ありがたい!!」
ご主人は喜びのあまり僕達に握手してきた。
ま…どんな事になるのか…やってみないと分からないな…。




