第13話 パーティーから外された者
ザラールの街で滞在して3日目。
僕の今日のバイトは薬屋。
仕事の内容は、様々な薬草を調合して薬やポーションを作っていくという仕事だ。
「ほほほ、じゃあ頼むぞ。」
「はい!」
早速仕事に取りかかる、
まずは薬草をすり潰してエキスを出しやすくする。
これを何度も繰り返し、すり潰した薬草を特殊なフラスコに入ってる水の中にいれて、入れた方に火をかけて温めて茹でる。
実はこのフラスコ、蒸留する為の特殊なフラスコだけど…
僕は、その蒸留された水をまた薬草を茹でる為の水として再利用する考えだ。
蒸留と蒸発で濃縮しておいた薬草入りの水は、濾しと絞りを行い、
さらに濃縮をさせてようやく…
「1つ目完成しました。」
「おおっ、ありがとう!」
1つ目を完成させた。
これがポーションと呼ばれる薬だ。
僕は、蒸留された水を再利用して水を継ぎ足して再びポーションを作り、それを何度も繰り返した。
繰り返す度に蒸留された水にも薬草の成分がある為、1つ目よりも2つ目の方が高濃度で良質なポーションとなる。
そして最後の10個目を完成させ…
「10個完成させました。」
「おおっ、すまないね、兄ちゃん。」
ポーション作りは一旦終わらせた。
そして次に薬作りだ。
先程と同じ様に薬草をすり潰していくが…ポーションと違うのは、ポーションとは違いさらにさらに細かくすり潰して、粉状に近くする為だ。
それを特殊な容器に入れた霧吹きで少し湿らせて成形する。
これで薬は完成だ。
ポーションよりも簡単で尚且つ時間は掛からない。
この薬は、飲み込んで使う事も出来るし、傷口に直接使う事も出来る。
ポーションも同じタイプで使えるが、効能には差が大きくある。
これを繰り返してノルマを達成…と思いきや店主さんから思いがけない言葉が。
「おお、兄ちゃん。 仕事ならもう構わんよ。」
「えっ? まだ薬作りが…。」
「いやいや、こんな高濃度のポーションを作ってくれたんだ。 これだけの濃度ならば相場の倍ほどの値段でも文句言えないくらいの質だからのぅ。」
「は…はぁ…そうですか…。」
どうやら、僕の作ったポーションが余程質が良いのか、ノルマは既にポーションだけで達成した模様。
結果的に仕事は予定よりも半分の時間で終わってしまった。
そして働いた賃金を店主さんから貰うが…それもまた別格…。
「あれ? ロドが多いんですけど? 確か…12000じゃありませんでした?」
実は今回のこのバイトは1日12000ロドの仕事では有ったが…渡されたのは倍以上の3万ロド。
理由を聞くと
「あまりにも良いポーションが出来たから、これはワシのお礼じゃ。」
という事らしい…まさかの出来事に僕はちょっと混乱する…。
思いがけない結果で僕は今日の仕事を終えてしまった。
時間も時間でまだ昼頃…。
夕方までの時間をどう過ごすか考えてた時…。
「おい…あれ見ろよ! [ガラバル]だぞ!」
「スゴい…まさか…有名なパーティーを見かけるなんて…!!」
街にどうやら有名なパーティーが来た模様。
[ガラバル]か…確かリーダーの[ファリス・ベドラー]は[勇者]と言われる称号を持っていたな…。
有名なパーティーだからそう言った情報も一応は知ってる。
まあ…僕にはあまり興味は無いけど…。
と…その場を離れようとしたら…
そのパーティーの連中を遠くで隠れながら見ている1人の少女を発見した。
「(あの子…どうしたんだ? 何で隠れて見てるんだ?)」
僕は彼女の行動に少し不可解さを感じ…
余計なお節介を覚悟して…彼女に話を…。
「あの…。」
「ひゃい! び…びっくりしました…。」
いきなり話し掛けられたのか、やはりびっくりしてしまった模様。
しかしながら…この子…耳がエルフの特徴でもある長く尖った耳…という事は彼女はエルフの血が入ってるって事なのかな?
「ごめんごめん、驚かせたかな? ちょっと、良いかな?」
「は…はい、何ですか?」
「あそこにいるパーティーを遠くから隠れながら見てる様だけど…。」
「…。」
僕は直接聞いてみたが…やはり…黙ってしまった様子…。
いやむしろ…見ず知らずの人間にこんな事言われても…困るだけだもんね。
「あ…ごめん…気になっただけだから…不快に思ったら、無理に答えなくても…。」
僕はその場を去ろうとした時…。
女の子が僕の服の裾を掴んできた。
「え…どうしたの?」
「…別の場所で…。」
どうやら女の子はその理由を別の場所で教える様だ。
僕は、ザラールの料理屋で料理を二人分頼んで話を聞くことに…。
すると、女の子の口から驚くべき内容が…。
「実は…私…あのパーティーから…先程追放されたんです…。」
「えっ…!? あの[ガラバル]に所属してたの?」
何と[ガラバル]の所属者だという。
しかも…つい先程追放されたとの事らしい…。
「A級パーティーの所属者だったんでしょ? なら、スゴい実力なのに…何で?」
「…私は…役立たずだったので…。 それで…。」
「そんな…。」
何とまさかの勇者パーティーが…彼女を役立たずと見なして…追放するなんて…。
「でも…私も追放されて良かったです…。 ヒドいイジメから解放されるので…。」
「えっ…イジメって!?」
さらに驚くべき事実、彼女は勇者パーティー内でイジメにあってたとの事。
その内容も、役に立たないからという事で雑用はおろか、作った料理も味に関係なく「食べられるか」と言って捨てられたりしてたらしい…。
その事で、周りから責められたりと酷い目に…。
「私…もう…耐えられなくて…。」
女の子は遂には泣き出してしまった…。
何だろうな…こんな事を聞いて僕は嫌な気分だわ…仲間なのに…平気で捨てたり、ヒドいイジメをするなんて…。
彼女が可哀想だと思った僕は…こんな事を…。
「じゃあ…僕のパーティーに来る?」
「えっ?」
何と彼女を自分のパーティーに誘ったのだ。
まさかの行動に彼女も…そりゃ驚くだろう。
「あ…いえ…その…君が可哀想だと思って…。 何だろう、僕達はまだ3人程のパーティーだけど、僕はパーティーを家族と思って過ごしてるしね。 何か…パーティーの人間をゴミの様に捨てる連中って…嫌なんだよね。」
焦ったのか分からないが僕は彼女に自分なりの考えを伝えた。
いや…何言ってんだ…僕は?
「まあ、その…無理だったら無理で良いよ…。 あ、そうそう。 このご飯の代金は僕が払っておくから。」
「えっ?」
「君…それだけヒドいイジメを受けてたって事は…。 無一文で追放されたんでしょ?」
「…。」
僕の「無一文で追放」を聞いた彼女は黙り込む。
黙り込むというのは…図星って事なんだろう…。
そして僕は自分の置かれた料理を先に食べ終えて、店員さんを呼ぶ。
「ごちそうさまー! あ、料金は先に支払って置きますので、後この子の分も宜しくできませんか?」
「えっ? ちょ…。」
「ゴメン、さっきの話はやっぱ無しにしてね。 こんな突然の誘い困るだろうから、じゃあね♪」
と僕は用意された二人分の料理の代金を先に支払って料理屋を先に出た…。




