18話 出発
web授業の課題が・・・課題がぁぁぁああ!!
という感じで見た目は平静、中身は発狂寸前、どうも、高錫裕貴です。
皆さん宿題ってコツコツ進める派ですか?溜めちゃう派ですか?自分はおもいっきり後者です。何せ小6の夏休みから長期休暇の課題を全部期限内にやりきったことがないくらいなので!えっへん!(泣)
時は少し遡り、アートレア王国王城にて。
「そうか。ガルベージ伯爵が遂に尻尾を出したか」
そう言って満足げな笑みを浮かべるのは初老の男性。彼の名前はベルンハルト・フォン・アートレア。アートレア王国の国王である。
そして彼が座っている執務机の隣で報告を行っているのは宰相のクレス・フォン・ノイラート侯爵だ。
「はい。どうやらその時標的にした者の力を甘く見た結果、返り討ちにあったようです」
「しかしあの狸がそんな初歩的なミスをするのか?」
「今回標的にされていた者というのが竜人でして。強いというのは分かっていてもそれがどれ程なのかというところまでは見切れなかったようです」
「なるほど、竜人か・・・」
二人の頭の中では様々な考えが飛び交っていた。
竜族は強大な力を持つ種族。その力を引き込むことができれば自分の陣営が大幅に強化されるだろう。
そして件の竜人の存在が知れ渡れば、同じように考えた貴族達による奪い合いが起こり、場合によっては犠牲者を出す程の騒動に発展するかもしれない。
王都でそのような騒動が起きてしまうと国王としての威信に関わるばかりか諸外国に隙を見せることになってしまう。
なら、自分は今どうすべきか。
「最優先すべきは彼についてのもっと詳細な情報を集めることだな。まずは人格も含めて総合的に判断し、彼に対する扱いを決めねばならん」
彼がまともな人物であるなら王家、または王家に近い派閥に属する貴族家が囲うことが出来ればベストだが、そうでないなら国を揺るがす脅威として排除することも検討しなければならない。
囲うにせよ、排除するにせよ、もっと詳しい情報が必要だ。
「クレス、諜報部隊を派遣して彼の性格や戦闘力、趣味嗜好から交友関係に至るまで徹底的に調べさせろ」
「御意」
宰相が部屋を出た後、国王はある人物が頭を過った。
(この時期に現れた竜人・・・もしや彼の子か?)
その想像が正しければ人格的にも問題はないだろうし、戦闘力は貴族どころか世界中の権力者たちにとって喉から手が出るほど欲しくなる人材だろう。問題があるとすれば・・・
(せめて彼よりも理性的な人間であることを祈ろう)
愚かな貴族が下手に手を出して怒らせた挙げ句、国を滅ぼされてはたまったものではない。
国王は頭の中に危険な人物をリストアップし、警戒を強めつつ今後どうしていくかを考え始めるのだった。
ー ー ー ー ー ー
「さて、準備はばっちり。次の町へ気合い入れて行くぞー!」
「アオーン!」
あの修羅場(?)から3日後、エミリアを加えた俺たちは宿を引き払って馬車の集合場所へ向かっていた。
俺やフェンは旅を始めたばかりなので、次の町への期待でウキウキだ。
「おぉ、あなた方が護衛の冒険者の方たちですね。お待ちしておりました」
「ああ。道中よろしく。俺はシグル。こいつが相棒のフェンで、メンバーのシェーラ、ノーラ、エミリアだ」
「ええ、よく存じ上げておりますとも。あなた方の噂は既にこの耳にも届いております。そんな方々に護衛していただければいつも以上に安心ですな」
「もちろん。大船に乗ったつもりでいてくれ」
御者と軽く挨拶を交わしてから馬車に乗り込む。周囲の警戒はもちろんするが、俺が手を出すまでもなく並走しているフェンが近付く魔物を片っ端から吹っ飛ばしてくれているので他の冒険者よりも楽チンだ。
御者や乗客たちも安心感が違うと喜んでいた。
ただし、ここは王都に繋がる道。そこを通る者は大抵それなりに裕福な者が多いということになり・・・
「と、盗賊だーっ!」
当然こうなる可能性も高いわけで。
王都とレフィリアの間にあるいくつかの村うちの一つに向かっていたとき、森の中の道に入ったところで突然気が倒れて道が塞がれた。同時に前と後ろの両方から柄の悪い男たちがわらわらと出てきた。ついでに横にも伏兵がいる。
「俺達は盗賊団“黒牙”だ! 全員外へ出てこい!」
「やれやれ、ご大層なことだな。フェンがいれば十人も百人も変わらないってのに」
「さて、そいつはどうかな?」
「きゃああああっ!!」
後ろから聞こえた悲鳴に反応して振り返ると、男性客の一人が女性客の首にナイフを突きつけていた。
しまった、こいつさっきまで寝てた奴だ。だから悪意に気付かなかったのか。
「さあ、この女の命が惜しかったら大人しく外へ出な!」
乗客たちは恐怖で固まり、俺たちに助けを求める。
「ど、どうすれば良いんですか・・・?」
「・・・取り敢えずこの男の言う通りにしよう。皆外へ出るんだ」
「分かってるじゃねぇか。賢い判断だぜ兄ちゃん。おっと、下手なことは考えるんじゃねぇぞ。例え俺を殺したとしてもこの女を道連れにしてやる」
外へ出ると、盗賊たちの耳障りな歓声があがった。どいつもこいつも下衆な欲望にまみれた顔をしている。
「それで、要求は?」
「おい待て! あんたは護衛の冒険者だろう!? 戦わないのかよ!」
降伏したともとれる俺の言葉に抗議の声をあげたのは人質の夫。
「人質を取られてるんだ、奴らを下手に刺激するわけにはいかない」
「そんな・・・じゃあ妻は!? 私の妻はどうなる!?」
「大丈夫だ。必ず助ける」
「へっへっへ、そういうわけにはいかねぇなぁ。俺たちが欲しいのは金と女。男共は皆殺しだ!」
「へぇ、いいのか? そんなことして?」
「なんだお前、随分余裕だな? それで、どういう意味だ?」
「ここは王都に繋がる道だ。そんなところで金と女を根こそぎ奪った挙げ句に男を皆殺しなんて悪質な盗賊がいたら王宮や貴族たちが黙っちゃいない。なにがなんでも潰しにかかるぞ?」
当たり前だ。自分が直接被害を被る可能性が高いとなれば、いくら重くても貴族はその腰を上げるだろう。
「だから取引といこうじゃないか。金目のものならやる、だが人には手を出すな。女なら奪った金で買えば良いだろう? 金だけなら余計な恨みを買わずにすむ」
脅しと譲歩を混ぜて説得を試みるが、盗賊たちは鼻で笑って一蹴した。
「ヒャハハハッ! こいつは傑作だ! とんだ弱腰じゃねぇか!」
「悪徳貴族を倒した英雄が聞いて呆れるぜ!」
人質をとっている盗賊が俺を嘲笑しながら話しかけてくる。
「クックックッ。賢い兄ちゃんに免じて教えてやろう。ひとつ大事なことが抜けてるぜ」
「何だと?」
「俺たちゃずっとこの商売続けてんだ、それぐらいのことは分かってる。ならその対策をしてねぇわけがねぇだろう?」
「・・・なるほど、まーた後ろ盾かよ面倒くせぇ。貴族か? それとも大商人?」
「両方だ。金をもらうのは商人で手引きするのが貴族、しかも伯爵様だぜ? 要するにこれっぽっちの人間が消えてもなんの問題もないのさ。分かったらとっととそこの女共も渡しな。お前の代わりにしっかり可愛がってやるからよぉ。最初はお前の目の前でな!」
「ああ。よーく分かったよ」
俺の返事を手詰まり故に諦めたと取った盗賊たちは下卑た嗤い声をあげ、乗客たちは絶望の表情を浮かべる。
「そりゃなによりだ。安心しろ、お前の連れは上玉揃いだ。運が良けりゃ伯爵様の妾にしてもらえるだろうぜ。もっとも、俺たちの相手をしてぶっ壊れてなければの話だがな!ギャハハハ・・・あ゛・・・?」
ドサッ。
その音を境に、時間が止まった。
「お前たちに対して、一切の容赦はいらないってことがな」
衝撃的な光景で止まっていた時間が俺の声をきっかけに動き出すのにしたがって、その場にいる者たちは徐々に現状を理解し始めた。
つまり、人質を取っていた男が下衆な発言と共に嗤い声をあげた瞬間、顔の中心に風穴が空いて倒れたのだということを。
そして、それをやったのは先程まで男の顔があったあたりに手を向けている俺だということを。
「さて、覚悟はいいな・・・?」
「・・・イ、イヤァァァァッッ!!!」
「こ、このクソガキ!」
「殺せ!」
無惨な死体を見た女性客の悲鳴で我を取り戻した盗賊たちは、一斉に武器を抜いて襲いかかってきた。だが、時既に遅し。
「「“切り刻め”!」」
「〈ライトニングドラゴン〉!」
「〈竜王の息吹〉」
シェーラとノーラが左右に向かって器用にも草木を傷付けないように間を縫って放ったいくつもの風の刃が盗賊を切り刻み、前で俺が両手から放ったブレスと後ろにエミリアが顕現させた雷の龍は塵ひとつ残さず消し飛ばした。
「ふぅ。危ない危ない。もう少しで理性が吹っ飛んで大暴れするところだった」
「そのわりには全然手加減できてないようなんだけど?」
「・・・ん、きれいになった」
「あはは・・・私も初めてシグルさんの前での実戦でしたのでつい張り切りすぎてしまいました」
そういえばエミリアの魔術を見るのは初めてだったな。
「どうでしたか? シグルさん。私の雷の魔術は?」
「おう、中々のものだったぞ。さすがはダンブラーさんの孫娘なだけはある。『金色の魔術師』の名は伊達じゃないな」
キラキラとした期待の眼差しで所感を求めてくるエミリアにそう答えて頭を撫でると、嬉しそうに目を細めた。
「えへへ、褒められちゃいました!」
「むぅ・・・」
「拗ねるなよシェーラ。お前とノーラの魔法もちゃんと見てたぞ。複数の風の刃をあんなに正確に操作するなんて凄いじゃないか。魔力制御の器用さでは敵わないかもな」
「そ、それほどでもあるけど・・・少し恥ずかしいわね、これ」
「なんだ、嫌か?」
「い、嫌じゃ、ないわよ・・・!」
「・・・ん♪」
俺がエミリアの頭を撫でているのに不満げなシェーラと無表情の中に期待をのせてジーッ・・・と見つめてくるノーラの頭も撫でてやると二人とも嬉しそうにしていた。
なんだろう、これ。頭を撫でるのってこんな楽しいのか。彼女達の小動物的な可愛さについ抱き締めたくなる衝動に駆られる。
ただ、それをすると独り身からの嫉妬と既婚者からの生温かい視線に羞恥を感じるのでそれは我慢した。
彼女達との触れ合いを堪能したあとは後片付けだ。全滅させたと思っていた盗賊だが、奇跡的に生き残ってる奴が2、3人いたので拷問して“黒牙”のアジトを吐かせてから縛り上げ、馬車に繋いでおいた。
彼らが持っていた装備品に関しては御者に聞いたところ冒険者が変なところに売って盗賊団の手元に戻ってしまうのを防ぐために門にいる警備兵が強制的に買い上げるそうなので、“マジックバッグ”にしまっておいた。
それを見ていた商人の男に血走った目でバッグを売るようにせがまれてしまった。勿論断ったが少ししつこかったので地面を蹴り砕いて威嚇するとすんなり引いてくれた。
因みに“黒牙”のアジトは王都のスラム街にあり、悪徳貴族や商人の私兵も含めたかなり大きな組織らしい。
俺はまたしても面倒な事件が起こりそうな予感にため息を吐かずにはいられないのだった。
人間を痙攣ひとつ起こさせずに即死させるには狙うべき場所はひとつ・・・
赤○さんが○ョディさんに教えていたことを活かしてみました。




