15話 デート?
最近、やっとお酒を飲めるようになりました!高錫裕貴です。
僕の好みは日本酒や果実酒あたりですね。友達や職場の人とお酒を飲む楽しさをようやく知ることができました!
決闘の後、案の定ザックは領主の命令によって拘束され、念入りな尋問を受けることになった。
少しは抵抗するかと思ったが、彼はショックで大人しくなっており、あっさりと連行されていった。
俺も少し話を聞かせて欲しいとのことでダンブラーと領主と共に支部長室に来ていた。
「さて、まずは勝利おめでとう。まあ当然の結果じゃが」
「ハッハッハッ!見事だったぞ若いの!俺も奴の鼻につく態度は気に入らなかったからな、見てて清々した!さすがはダンブラー殿のお気に入りなだけはある!」
「ありがとうございます」
二人の言葉に礼を述べた後、本題に移る。
「それで、俺に聞きたいことというのは?」
二人は笑っていた顔を真剣なものに変えた。
「単刀直入に聞こう。シグルよ、ザックに何かしたな?」
「・・・ええ、しました」
「正直でよろしい。では、具体的に何をしたのか教えてくれんか?」
「ダンブラーさんはもうお気付きではないんですか?」
「“破壊”、かの?」
「そうです」
「“破壊”?黒竜族の特殊能力のことか?いつ何に使ったんだ?」
竜族には炎竜族や雷竜族といったそれぞれの属性を司る種族がいる。そして例外なのが黒竜族と白竜族だ。
属性ではない名前がつけられた俺たちが司るのは概念。黒は“破壊”で、白が“再生”。これらは一般に特殊能力と呼ばれている。
「“破壊”はただ物理的な破壊をもたらすだけではありません。非物質も破壊することができます。俺はこれを一昨日の話し合いのときと試合中に彼の精神に対して使い、頭のネジを3本くらい外れている状態にしました」
「なるほど。そして自制心がきかなくなっているやつをさらに煽ることで自白するように仕向けたのか」
俺は頷いて肯定を示す。
「ま、本来ならよくもそんな危ねぇもんを人間相手に使いやがって、と怒るとこだが事情が事情だしな。何も聞かなかったことにしてやろう」
「ありがとうございます。おかげで街を潰さずにすみそうですね」
万が一これで何かケチをつけられて面倒なことになるようであれば力ずくで押し通ることも考えていた。もっともダンブラーがいればそんなことにはならないだろうとは思っていたが。
「おいおい、それは冗談きつくないか・・・?」
「いえ、俺は本気ですよ?」
「ダンブラー殿・・・?」
若干顔を青ざめさせながら助けを求めるような視線をダンブラーに向けるが、ダンブラーは肩をすくめる。
「本気じゃろうな。レクス殿だったら間違いなくそう言うじゃろうし。全く、本当に似た者親子よのう・・・」
「いやあ、お褒めにあずかり光栄です」
わざとらしくにっこりと笑って返すと、二人は揃ってため息をつくのであった。
これで試合に関しては解決として、今度はそもそもの原因についての話をしなくてはならない。エルフ姉妹の処遇だ。
「そんなことより、シェーラとノーラです。結局二人はどうなるんですか」
「む?彼女らはもちろん君のものじゃよ。そのための決闘じゃろう?同意書もあるしの」
「え?」
同意書?確かにダンブラーに渡された書類にサインしてくれと言われて書いた覚えがあるが、まさかあれか!?
「その通りじゃよ。ほれ」
ダンブラーが出した書類には文字に埋もれた真ん中あたりにさりげなく記されていた。そして俺のサインのあとにシェーラのサインも書かれていた。
「は、図りましたね・・・?」
「人聞きが悪いのう。どうせそうするつもりだったんじゃろう?」
「それはそうですが・・・」
「なら問題はなかろう。それにこれは忠告でもある」
「忠告?」
「君は敵を倒すことができるだけの度胸や非情さを持てておる。だが、その分敵ではないものに対しては少し警戒心を緩めすぎるきらいがある。気を付けなさい」
「・・・ご忠告、ありがとうございます」
確かに、誰かに裏切られた経験でもなければ敵以外を警戒するというのはなかなか難しい。しかし、中には敵意をうまく隠して近寄ってくる者もいるだろう。そういえば、シェーラですでにかかってるんだったな。
要するに、子供なのだ。本当の強者を名乗れるのはまだまだ先らしい。
「はぁ・・・ん?これは・・・」
ため息ををつきながら何となく同意書に目線をやると、ある文章が目に止まった。
ダンブラーを見ると、彼は何も言わずににっこりと頷いた。
ー ー ー ー ー ー
外に出るとまだ日は高く、お昼を少し回ったくらいだ。
「よし!帰る前になんか腹ごしらえするか!」
「ウォン!」
「ちょっと待ちなさい」
食事を前にしてテンションを上げる俺たちに待ったをかけたのはシェーラだ。ギルドを出るときにノーラと一緒に合流した。
「なんだ?」
「なんだ?じゃないわよ。先に奴隷商に行って契約を済ませておけってギルドマスターに言われたじゃない!まさか忘れてるんじゃないでしょうね?」
「はっはっは。飯より大事なものがこの世にあるとでも?いやない!行くぞフェン!」
「ウォン!」
「え、ちょっ」
俺達はシェーラの静止を振り切って屋台にダッシュしていった。
「・・・行っちゃった」
「こらぁーーっ!待ちなさーいっ!」
数分後。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。やっと見つけた・・・」
「よう、遅かったな。これ食うか?」
「ウォン?」
「いらないわよっ!」
息せき切って現れたシェーラを気遣って山盛りに買った飯をひとつ分けてやろうとしたのに怒られた。解せぬ。
ノーラはといえば、風の精霊魔法を使い追い風を利用して来たらしく、涼しい顔で付いてきて、フェンから串焼きを分けてもらっていた。そして同じことができるはずのシェーラはようやくそれに気付いたらしく、顔を真っ赤にしていた。
「と、とにかくっ!早く奴隷商に行くわよ!」
「何言ってんだ。この程度で俺とフェンの腹が満たされるとでも?甘いなっ!」
「ウォン!」
「ちょっ、また!?」
「心配すんな!今度は置いていかねぇよ!」
「そういう問題じゃなーーい!」
そんな感じで、俺は2時間ほど彼女達を連れ回した。
「いやー楽しかった!やっぱ連れは多い方が楽しいな」
「・・・それは同意」
「もう、一体何なのよ。散々私達を引っ張り回して結局何がしたかったの?」
「デートだが?」
「・・・ふぇっ!?」
さらりと俺が答えると、シェーラは一瞬間を置いてからぼふんっ、と音をたてそうな勢いで顔を赤くする。
「な、なな、一体何を!?」
「そんなことより、そろそろ肩の力は抜けたか?」
「え?」
「ノーラもそうだが、せっかく解放してやるんだからもうちょい嬉しそうにしろっての。ニオイで内心がバレバレだぞ?」
「・・・なによ。解放ったってどうせ今度はあんたの奴隷でしょ?デートとかなんとか勿体ぶってないでさっさと欲望のままにすればいいじゃない」
そうしたいのはやまやまなんだがなー。
「ま、いいさ。すぐ分かることだし」
「?」
俺はまだよく分からないという顔をしたシェーラ達を連れて、主目的である奴隷商へと向かうのだった。
作品を読んでいただき、ありがとうございます。
誤字脱字、矛盾点などございましたら遠慮なくご指摘ください。
もしよろしければ、ブックマーク登録と評価ポイントを付けていただければ幸いです。




