14話 決闘(2)
相変わらず更新が遅くて申し訳ありません。高錫裕貴です。
最近ゲームにハマって寝不足な上に虫歯ができてしまいまして…。これがなんやかんや放置していたせいかかなり深くまでいってしまったらしく、大分削られてしまいました(泣)
最近は感染症のニュースもよく聞きますし、皆さんくれぐれもお身体に気をつけてくださいね!
「ハハハハハッ!なんとも無様だな新米君!たかがDランク風情が調子に乗るから・・・ッ!?」
「ああ、そうだな。まったくもって情けない」
煙の中から飛び出した俺の〈風刃〉に不意をつかれたザックは慌てて横に飛んで回避したものの、先程まで勝ち誇っていた顔は鳴りを潜め、代わりに驚愕に染まっている。
それもそのはず、姿を現した俺は傷一つないばかりか、衣服もノーダメージで汚れてすらいない。攻撃が当たる寸前に纏った濃い魔力が障壁の役目を果たしたからだ。
「なっ、お前・・・」
「格下の敵を過小評価した挙げ句に不覚を取るとは、本当に情けない。父さんに知られたら殺されるな・・・」
相手の力量を見誤るのは戦闘において致命的となるミスのひとつだ。現にリングの端で観戦しているフェンは何してるんだと言わんばかりのジト目になっているように見える。
「こ、このボクを格下だと・・・言わせておけば調子に乗りやがって・・・」
「言わせておけば?ただ事実を述べただけだが?」
「黙れ黙れ黙れぇええっ!」
こちらの目論みどおりに気が短くなっているザックは少し煽っただけで簡単に激昂した。突っ込んで来るなり猛攻を仕掛けてくるが、元々魔道具頼りの力押しな剣術だった上に怒りで冷静さを欠いている攻撃が通じるはずもなく、俺は少しの動きだけでスルリスルリといなしていく。
そうして余裕な様子を見せつけることでさらに挑発し、ザックに精神的ダメージを蓄積させる。
さて、そろそろ仕上げにかかろう。
「いい加減に諦めろ。お前が俺に勝つなんて百万年早い」
「うるさいっ!黙れ偽善者!」
「偽善者? お前にだけは言われたくないんだが」
「ハッ、惚けやがって。お前だってあいつらが欲しいだけのくせに。なにせエルフだからな、あんな良い女は滅多に手に入らない」
まあ、シェーラが欲しいというのはあながち間違いじゃないな。ザックの言葉を肯定するのは癪だが。
そんなことを考えている間にもザックはひとりで勝手にヒートアップしていく。
「ああそうだ、あいつらはボクのモノなんだ。何のためにあれだけ手間をかけたと思っているんだい?それをポッと出の新米が横取りしようなんて、許されることじゃないんだよ!!」
「・・・ほう?具体的にはどんな手間をかけたんだ?」
「段取り自体は単純なことさ。ボクの実家はガルベージ伯爵と懇意にしていてね。昔から色々と融通してもらっていたのさ。例えば、どこからか拐われてきた女とかね。ボクの魅力にメロメロな女を可愛がるのも良いけど、抵抗されればそれはそれでいじめ甲斐があるだろう?」
「・・・」
想像以上に下衆な発言にドン引きしている俺をおいてザックは得意気に語り続ける。
「ある日彼女らを見つけてね。貰おうと思ったんだけどさすがにダメだって言われてしまったんだ。だからせめて保険を掛けておいたのさ」
「シェーラに自分のクランメンバーを暗殺させることで所有権を主張するための口実にしたのか」
「その通り。まあだめで元々のつもりだったんだけど」
「俺がガルベージを潰したことでチャンス到来、と」
「そういうわけだよ」
本来なら絶対に話さないような内容であるのに、ペラペラと喋るザック。よく見ると目の焦点が微妙に合ってない。
「ああ・・・楽しみだなぁ。彼女たちはどんな鳴き声を聞かせてくれ、ぐほぉっ!?」
「・・・もういい、そこまでだ。自白として十分なものは聞かせてもらったし、なによりこれ以上聞いてたら俺の耳が腐る」
不快な言葉を吐き続ける口をボディブローをかまして黙らせる。
「ガ・・・ハッ、ぐ、き、貴様ぁ・・・!」
「今ので仕掛けを解除した。さ、周りをよーく見てみるんだな」
「一体何を言って・・・!」
そこでザックはようやく自分がおかれている状況に気づいた。
ここは観客が集まっている訓練場のど真ん中。そんな衆人環視の中であんな下衆な発言を繰り返してれば彼らの反応は言わずもがな、最初に俺に向けられていた侮蔑の視線はザックに向けられている。
さらに言えば、この場にはギルドマスターと領主もいるのだ。後でたっぷりと尋問されることは確定である。
「な・・・そんな・・・なんで・・・?」
ザックは理解が頭に浸透していくに従ってみるみる顔を青ざめさせていく。
「終わりだ、ザック」
「・・・ふ」
「ふ?」
「ふざけるなぁぁぁああ!!!このボクを!ボクに!こんな!どうして!ああああぁぁァァッ!!」
彼は腐ってもAランク。人から尊敬されることはあっても軽蔑されたことがないのだろう。自分に対して向けられる負の感情、感じたことのない屈辱、自分の人生が崩壊することへの恐怖。様々なものが重なって軽く発狂していた。もはや彼が発してある言葉も支離滅裂である。
「哀れだとは思うが、同情はしないぞ。全部お前の行いが招いた結果なんだからな」
「うるさいうるさいうるさいッ!雑魚は、雑魚らしくやられてればいいんだよぉぉッ!」
「ああ、お前がな」
「ぐはぁっ!」
ザックが叫びながら突撃してきたところをカウンターで空高く吹き飛ばした。
「雑魚は雑魚らしく、そこで無様に這いつくばっていろ」
「そこまで。勝者、シグル!」
ワアアアアァァァッッ!!
ダンブラーの宣言と観客の歓声を背に俺はその場をあとにした。
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