13話 決闘(1)
大変お待たせいたしましたぁぁぁぁああああ!!高錫裕貴ですっ!
そして遅ればせながらあけましておめでとうございます。
本業と副業ともにさらに忙しくなってきておりますが、頑張って続けていきたいと思いますのでどうか温かく、そして(かなり)長い目で見守っていただけたらと思います。今年もよろしくお願いします。
「それでは決闘の日程じゃが、いつにする?何なら今からでも良いが・・・」
「いえ、また後日にしましょう。お互い準備がありますしね。君はどうだい?」
ダンブラーの問いにザックが答える。ニヤニヤとしたその顔から何かを企んでいるのは間違いないだろうが、関係ない。正面から叩き潰すまでだ。
「俺もそれで構いません」
「そうかね?では、二日後ということにしよう。場所は隣の訓練場じゃ。それまで二人の身柄についてはワシらが責任もって保証する」
「分かりました」
ザックは俺の了承を確認すると腰を上げた。
「それではボクも失礼するとしよう。またね、新米君。ボクに逆らったこと、しっかり後悔させてあげるよ」
「フン。後悔するのはそっちの方だ」
「ガッハッハッ。若いもんは元気で良いなあ!二日後、楽しみにしているぞ!」
俺とザックの捨て台詞の掛け合いを見ながら領主は楽しそうに笑いながら帰って行き、ザックは一度俺を睨み付けてから続いて退室した。
「ねえ、待って」
俺もダンブラーに挨拶をして退室しようとしたところ、シェーラに後ろから呼び止められた。
「ん?何だ?」
「何でそこまでしてくれるの?ノーラはともかく、私はあなたに危害を加えたのに」
シェーラはどことなく不安そうな目をしながら俺に訊ねてきた。ノーラもこちらを見つめている。ダンブラーはいつの間にかいなくなっていた。空気を読んで退出したらしい。
「一つにはさっき言ったとおり、仮にも仲間だったやつをを見捨てるのが忍びなかったからだ」
「なら、他の理由は?」
「それは・・・あー・・・」
他の理由は、ある。だが改めて言葉にするとなるとかなり恥ずかしい。だがせっかくダンブラーが気を遣ってくれたことだし、この機会に伝えてしまった方が良いのかもしれない。でもなぁ・・・
「なによ、どうしたの?」
「・・・」
スゥ~・・・ハァ~・・・
ものすごい緊張する。まさか俺がここまでヘタレだとは思ってなかった。すまない、俺の愛読書の主人公達よ。正直、ヒロインにはさっさと告白してしまえこのヘタレとか思ってました。マジすんません。これは・・・無理だ。
「シグルさん、顔真っ赤・・・」
「~~~~~ッ!」
ボンッ!!
ノーラの指摘で羞恥心が限界を迎え、とっさに顔を背けてしまった。今の俺を絵で描いたら間違いなく頭から煙が吹き出していることだろう。
「・・・・・・あいつに勝ったら教える」
結局俺は羞恥心に屈した。
ー ー ー ー ー ー
当日、訓練場へ行くとかなりの数の観客が集まっていた。4、50人はいるだろうか。かなりざわついている。端の方を見るとシェーラ達もいた。
(それにしても・・・何か妙だな。悪意や害意、じゃない。このニオイは、軽蔑?)
そう感じた俺は周りの声に耳を澄ませる。
『おい、来たぞ』
『あいつがそうなのか?』
『ああ、何でもあそこにいるエルフの姉妹を手に入れようとしてザックに喧嘩をふっかけたらしい』
『うわぁ、最低・・・』
『大体ザック様にたてついたってだけでムカつくわ、新人のくせに生意気なのよ!』
『あの子達もかわいそうよね・・・でもザック様がいたことが不幸中の幸いってやつね』
・・・ずいぶんな言われようだ。どうやら噂に尾ひれが付きまくった挙げ句に俺が悪者になっているらしい。半信半疑の者もいるようだが、概ね俺に対する印象は最悪になっているようだ。
しかし、少し不自然だ。いくら悪評は広まりやすいとはいえ、早すぎる気がする。
そうやって考え込んでいると、今度はどよめきと黄色い歓声が聞こえてきた。ザックの登場である。相変わらず気に入らない面だ。
「やあ、ちゃんと逃げずに来たんだ。褒めてあげるよ」
軽々しく声を掛けるなと文句を言ってやりたいところだが、少し小物くさいのでやめた。安い挑発は無視するに限る。
『何よ、あの態度。せっかくザック様がお声を掛けているのに無視するなんて』
『言ってやるなよ。あれでも精一杯強がってんのさ』
観客達の雰囲気はザック側へ完全に偏っている。俺は周りを見渡してとあることに気づき、不自然なムードの原因を理解した。
「なるほど、そういうことか。ずいぶん陰湿な嫌がらせをするんだな、お前。やっぱり俺が見込んだ通りのクソ野郎だ。反吐が出る」
「おやおや、ご挨拶だね。ボクが何をしたって言うんだい?」
「とぼけるな。観客席の所々にいる同じエンブレムをあしらった鎧を着けてる冒険者達。あれはお前が用意したサクラだな?」
ザックにも付いている、おそらく『赤龍』のものと思われるエンブレムが等間隔でまんべんなく見える。案の定、聞き耳を立ててみれば彼らが意図的に俺の悪評を広めているのが分かる。
なぜこんなことをするのか? 奴の性格を考えれば大体想像が付く。観客からの罵倒で俺のメンタルを削り、戦闘力の低下を図るのが一つ。もう一つは俺の冒険者生命に致命傷を与えることだろう。
周りからの印象や評価というのは冒険者にとっての生命線。それを失ってしまった者はろくな依頼が受けられなくなるため、かなり悲惨な結末をたどることになる。
俺の問いかけに対し、ザックはただ肩をすくめるだけだ。
「さあ? 何のことだか。ボクはただみんなに事の次第を説明しただけだけど?」
「・・・問い詰めるだけ無駄か」
「そういうこと。それじゃあ早速始めようか?」
ダンブラーと領主が来たのを見て、俺とザックが中央に距離を開けて立つと、観客が静まった。
「準備は済んでいるようじゃな。ではこれより、Aランク冒険者ザックとDランク冒険者シグルによる決闘を行う!これは冒険者ギルド・レフィリア支部長、ダンブラー・ドールが審判を務め、レフィリア領主、ルーカス・フォン・レフィリアが見届け人となる。双方、よろしいか?」
ダンブラーの問いにお互い目線を向け合ったまま黙ってうなずく。
「それでは、始め!」
開始の合図が出された瞬間、ザックは盾と剣を構えると想像以上の速度で距離を詰め、剣を振り下ろしてきた。左で受け止めるも、重さと衝撃もまた想像以上で少し押されてしまう。
だが、もちろんザックの攻撃がそれで終わるはずもなく、続けて連撃を繰り出してくる。
「ほらほら、ボクに啖呵を切ったときの威勢はどうしたんだい新米君!受け身ばかりでは勝てないよ?」
ザックの言葉は無視しつつ、剣をさばきながら状況を分析する。
支部長室で見たときには確かに彼の力量はたいしたことがなかった。だからこそ興味を失ったのだ。決して今のような剣技を扱えるようなレベルではなかったはず。
ならばなぜ? そう考えながら観察していると彼の武器や防具から魔力の流れを感じた。そこで一つの答えにたどり着く。
「支援系の魔術を付与した魔道具、か」
「正解だ。ではご褒美をあげよう。受け取りたまえっ!」
そう言うと、ザックは剣を大きく振りかぶった。俺はその行動に不審感を抱く。
こちらの体勢も崩していないのに隙が大きい大ぶりの攻撃をするのは自殺行為だ。いくら何でもそれを彼が理解していないとは思えない。
怪訝に思いながらもカウンターの構えを取ると、振り下ろされる剣身に違和感を感じた!
(・・・っ、横かっ!)
とっさに脇をガードすることでダメージは防いだものの、姿勢が不安定だったために踏ん張れず壁際まで吹き飛ばされてしまった。
ワァァアアア!
見た目にわかりやすい戦いの大きな動きに観客のボルテージが上がる。
「とどめだっ!〈ファイアーランス〉!」
さらにザックが追撃で放った三本の炎の槍が俺のいるところへ着弾すると同時に爆炎があがった。




