【08】 デビュー戦3日目① ~まっすぐ行っちゃったよ~
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『ボートレース戸田』3日目 1R 予選(男女混合)
【出走表】
1号艇 高原 義久(39歳/A1)[-]5466
2号艇 柴田 明宏(47歳/B1)[✕]253
3号艇 小森 賢二(39歳/B1)[○]3 53
4号艇 小林 亨 (40歳/B1)[△]53 4
5号艇 桑田 純一(56歳/B1)[◎]66 4
6号艇 速水 爽香(20歳/B2)[-]6 6
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初客「おいおい、女子がポツンと1人交ざってるぞ?」
スタンド前列で出走表を広げた男が、隣の常連客に声をかけた。
常連「6号艇の速水爽香だな。今節がデビュー戦の新人だよ」
初客「へえ。応援がてら、その子の頭から全流しで買ってみるかな。男どもをドカンと捲くったら面白え」
常連「やめときな、オジサン。お金をドブに捨てるようなもんだ」
常連客は苦笑いしながら煙草に火をつけた。
常連「大外6コース、おまけに女子の超・新人だ。どう転んだって勝ち目はないよ」
初客「冷てえこと言うなよ。万舟券になれば万歳じゃねえか」
◇
♪〜(ファンファーレ)
水面に6艇のエンジン音が響き渡った。
(気象データ:気温21℃/晴れ/追い風1m/水温20℃/波高1cm)
実況「進入はインから、1・2・3・4・5・6!」
実況アナウンスが響き、大時計の針が刻み始める。
実況「5、4、3……スタートしました! ほぼ揃ったスリット!」
初客「行けッ、6号艇! いけえぇっ!」
初客の声援に応えるかのように、緑のカポック・爽香がわずかに覗いた。半艇身リード。
初客「よしっ、半艇身出た! そのまま一気に捲くれッ!」
だが、第1マークが目前に迫った瞬間――爽香の視界を内側の5号艇が遮った。
爽香(速い……! 入れさせてもらえない!)
ハンドルを切り込むスペースがない。艇を押され、爽香の6号艇はターンマークからはるか遠く、外側の安全地帯へと大きく膨らんだ。
初客「あーあ……まっすぐ行っちゃったよ」
常連客「5号艇に絞られて引いちゃいましたね。あそこへ突っ込む度胸は、まだないでしょう」
結果は3-2-1-4-5-6。爽香は、かなり離され最下位でゴールした。
初客「5百円玉がドブに落ちちまったなぁ……」
常連客「初勝利まで平均345日、100レース以上かかるのもザラですからね。競艇のプロと新人の壁は、プロ野球やカラオケの比じゃないですよ」
初客「へぇ……それを先に教えてくれよぉ~」




