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裏切られた英雄、奴隷剣闘士として本物の絆を選び直す  作者: CHARA
第二部「金の影、諜報の網」
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王国への道


帝都エルアヴィスを発ち、俺たちは、アルドレア王国を目指す長い旅路についた。


「―王国までは、どれくらいかかる」


ガロの問いに、俺は、地図を確認しながら答えた。


「馬車を使っても、半月近くはかかるはずだ」


「随分と、遠いのね」


セラが、街道の向こうに広がる景色を眺めながら言った。


ゼインも、今回の旅に同行することになっていた。影楔の追及からは一時的に距離を置き、独自に情報を集めながら、俺たちと行動を共にするという形だった。


「アルドレア王国、か」


ゼインが、静かに呟いた。


「何か知っているのか」


「詳しくはない。ただ、帝国とは友好的な関係にありながら、独自の路線を貫いている国、という程度の認識だ」


俺は、静かにその言葉を聞きながら、前世の記憶を、静かに反芻していた。


騎士団の指南役として過ごした日々。共に鍛錬に励んだ、多くの弟子たち。そして、王太子エドヴァルドとの、確かな友情。


あの国に、もう一度足を踏み入れる日が来るとは、正直、想像もしていなかった。


「リド、大丈夫か?」


フィアが、心配そうに声をかけてきた。彼女だけが、俺の抱える秘密の一端を知っている。


「ああ、少し、考え事をしていただけだ」


「無理はするなよ」


フィアの言葉に、俺は、静かに頷いた。


道中、俺たちは、これまでと変わらず、依頼をこなしながら旅を進めた。冒険者としての実績は、着実に積み重なっていった。


「―そういえば、聞いたか」


ある町で、宿の主人が、興味深そうに話しかけてきた。


「帝都の一件、随分と話題になってるぞ。貴族街の屋敷で、大掛かりな陰謀が暴かれたとか」


俺たちは、顔を見合わせた。


「詳しくは、俺たちも知らないな」


俺は、あえてそう答えた。目立つことは、これまで以上に避けるべき状況だった。


「まあ、そうだろうな。でも、そんな大きな事件を解決した冒険者パーティがいるとかいないとか……いやはや、世の中、何が起こるか分からんもんだ」


宿の主人は、そう言いながら、上機嫌で仕事に戻っていった。


「―また、噂が広まってるみたいね」


セラが、苦笑しながら言った。


「そのうち、顔まで割れそうだな」


ガロも、肩をすくめながら言った。


俺は、静かに考えを巡らせた。目立たないようにと心がけていても、成果を積み重ねる限り、評判は自然と広がっていく。それは、この世界で生きていく上での、避けられない性質なのかもしれない。


夜、野営の焚き火を囲みながら、ゼインが、静かに口を開いた。


「おい、リド」


「なんだ」


「お前とフィア、地下室で何があったのか、まだ詳しく聞いていない」


俺の心臓が、僅かに跳ねた。


「……いずれ、話す」


「いずれ、か」


ゼインは、静かに、しかし探るような目でこちらを見た。


「お前たちの間に、何か、大きな秘密があることは、察している。……急かすつもりはないが、いつか必ず、聞かせてもらう」


俺は、静かに頷いた。


「約束する」


その言葉に、ゼインは、小さく頷いた。


焚き火の炎が、静かに夜の闇を照らしていた。


避けられない告白の時が、王国への旅路の中で、確実に近づいていた。


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