次なる標的
翌朝、俺たちは、これまでの成果を整理するため、レンドルと共に、改めて情報を突き合わせた。
「導師の正体、影楔の目的、ゼインの妹の件、そしてフィアの故郷」
セラが、羊皮紙に整理した情報を、順に読み上げていく。
「バラバラに見えるけど……全部、無属戦役という一つの出来事に、繋がっているのかもしれない」
レンドルが、静かに頷いた。
「私の研究も、突き詰めれば、無属戦役の理論に行き着きます。……この符合、偶然とは思えません」
俺は、静かに考えを巡らせた。前世の記憶、そしてこの世界で積み上げてきた真実―それらが、少しずつ、一つの大きな絵図を描き始めている。
「次の標的は」
ガロの問いに、俺は、静かに答えた。
「導師の正体を、突き止める必要がある。そのためには、影楔の、より深い部分に迫らなければならない」
「危険は、これまで以上だろうな」
「ああ。だが、避けては通れない」
セラが、真剣な表情で言った。
「ゼインとの協力関係も、活かせるはずよ。彼も、導師について、独自に調べると言っていたし」
俺は、静かに頷いた。
「まずは、帝都そのものへ向かう必要があるかもしれない。影楔の中枢は、恐らく、帝都に近い場所にある」
フィアが、腕を組みながら言った。
「帝都、か。……いよいよ、本丸に近づくわけだな」
「気を引き締めていく必要がある」
俺は、仲間たちの顔を、順に見つめた。
「これまで、多くのものを積み上げてきた。だが、この先に待つ戦いは、これまで以上に困難なものになるはずだ」
セラが、静かに、しかし力強く頷いた。
「大丈夫。……ここまで来られたのは、みんながいたからよ。これからも、きっと」
ガロも、拳を握りしめながら頷いた。
「どこまでもついてってやるよ、前にも言ったろ」
フィアも、静かに微笑んだ。
「私も、覚悟はできてる」
レンドルが、深く頭を下げた。
「私も、微力ながら、皆さんの力になります」
俺は、仲間たちの温かい言葉に、静かな感謝を覚えた。
前世で失った、対等な信頼関係。それを、この世界で、再び手にすることができた。それは、何ものにも代えがたい、確かな財産だった。
「行こう、帝都へ」
俺の言葉に、皆が、揃って頷いた。
その日の午後、俺たちは、荷物をまとめ、ラウレンの街を後にした。
街道の向こうに、帝都エルアヴィスの威容が、次第にその姿を現し始めていた。
導師の正体、影楔の全容、そして、ゼインの妹の行方。数多くの謎と、避けられない対峙が、俺たちを待ち受けている。
だが、俺たちは、もう一人ではなかった。
積み上げてきた絆と、確かな決意を胸に、俺たちの旅は、帝都という、新たな戦いの舞台へと進んでいく。




