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クリュース建国記  作者: 沙々音凛
一章:旅立ち
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49・起きたら……

 目が覚めたら、辺りは暗かった。

 あれ、俺は夜明けとともに寝た筈――と寝ぼけ頭で考えたアルスは、周りを見て、傍に誰も寝ていないのに気づいてからやっと状況を理解した。


――あぁ、日が昇る頃から日が沈むまで寝てたって事かー。


 寝る時には傍にシオールは当然として、ジェアやトレック、ちょっと離れてシェノンもいた。どうやら彼等は既に起きて、自分は最後まで寝ていたらしい。さすがに起きるかと思ったアルスだったが、とりあえず寝たままま転がって明るく見える方を向いてみた。


「アルス様、目が覚めましたか」


――う、気づかれた。


 シオは有能すぎだ、と顔を引きつらせつつ仕方なく諦めて起き上がれば、シオールがこっちへ近づいてくる、ついでに。


「やっと起きたの? もう日が暮れるわよ」


 というマーナのいつも通りのトゲのある言葉に。


「まったく、鍛えてないから疲れやすいんだ」


 これもまたいつも通りのレガンの偉そうな声が飛んでくる。ジェアはただ、おはよう、と言ってきただけだが何故だかしたり顔だ。

 やってきたシオールは目の前で跪くと、小声でこっそり言ってきた。


「アルス様はかなりお疲れなようでしたので、皆で起きるまでは寝ていてもらおうという事になったのです。誰も寝坊したのを怒ってはいません」

「そっか……」


 まぁ、確かに疲れた。体よりも多分、精神的に。とはいえ、寝る前は気を張り詰めすぎててハイになっていたから疲れてる自覚がなかったし、体の疲れも感じにくかった。……寝たら疲れが一気にきて、今無性にかったるい。


「失敗した、ならまだ寝たふりしてればよかった」


 呟いたら、それまで軽く笑みまで浮かべていたシオールの持つ空気が変わる。


「アルス様……」


 アルスは急いで立ち上がった。


「いや起きる、起きるよっ」


 そして起きた途端、体のあちこちが訴えてきた痛みに背を丸めて固まった。いきなり動くんじゃなかった、という後悔は後の祭りだが、そのままよろけたらさっと立ち上がったシオールが支えてくれた。


「大丈夫ですか、アルス様」

「あーうん、寝過ぎで体が痛かったり頭がぼけてるだけだ」


 そこでお約束のため息が返ってきたから、アルスは顔を上げて銀髪の相方を睨んだ。


「それよりシオはちゃんと寝たのか? 俺よりもかなり早く起きてたんだろ」


 薄暗い中では黒っぽくさえ見える、彼の濃い青の瞳が笑みに細められる。


「俺は十分寝ました。なにせ、夜中アルス様が話している間も少し休憩させて頂きましたから」

「休憩どころか寝ててくれてよかったんだ」

「主が起きてるのに寝る訳にはいきません」

「お前の方が肉体労働分の負担が大きいんだから俺より寝ててもいいくらいだろ」

「……いえ、さすがにアルス様より寝たら、周りから怠け者と言われます」


 最後の言葉だけ真顔で言われて、アルスは苦笑いをする。ただまぁ今のやりとりで頭は完全に起きた。その場で大きく背伸びして、皆がいる方に向かう事にした。


キリの関係で短め。

次回はちらっとゼラ側のバンダーの話。

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