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一日一善を繰り返していたら人生が変わった件 〜現代日本に赤ちゃんとして生まれ変わったら、善い行いをするとスキルが獲得できるようになった〜  作者: 黒飛清兎
中学生編

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79話 校舎裏



 俺は俺の胸ぐらを掴んできた手を強引に振りほどき、軽く突き飛ばす。

 体格差もあるように見えるため、油断していたのだろう、ヤンキー男君は胸ぐらを掴む手にあまり力を入れていなかったようで、簡単に振りほどくことができた。

 それに、実際には俺のステータスは平均的な大人のそれを少し超える程度には高いため、いくらヤンキーといえど中学生程度の力で抑え込まれることもない。


 俺に突き飛ばされたヤンキー男君は一瞬何が起こったのか分からず、目を丸くしていたが、しばらくして状況が飲み込めたのか、怒りに顔を歪ませる。


「てめぇ……! ふざけんじゃねぇぞ!」

 

 そう怒鳴りながら、ヤンキー男君はこちらに向かって大股で歩み寄ってくる。

 そもそも、先に胸ぐらを掴んできたのはそっちなのだから、反撃されたからといって怒るのは筋違いというものだ。

 

「先に手を出してきたのはそっちでしょう? 僕は別に喧嘩をするつもりはありませんよ」

「あぁ!? うるせぇ、調子乗ってんじゃねぇぞ!」


 その調子のまま殴りかかってこようとするが、ここはコンピュー室だ。

 精密機械が沢山置いてある場所だし、こんな場所で暴れられると少々困る。

 そのため、俺は素早い身のこなしでヤンキー集団を掻い潜り、コンピュータ室の外に出る。


「やるなら外でやりません? 校舎裏なら人目にもつきませんし」

「上等だコラァ! 後で泣いて謝っても許さねぇからな!」

「はぁ、そうですか……」


 俺がそう呆れたような返事をすると、ヤンキー達はさらに激昂した様子で、今にも殴りかかってきそうな様子を見せるが、流石に廊下にはほかの先生の目もあると考えたのか、一旦は舌打ちしながら外へと向かった。


「は、はじめ……大丈夫なの?」


 後ろから悠莉が心配そうに声をかけてくるが、俺は軽く手を振ってそのまま校舎裏へと向かった。


 校舎裏に到着すると、俺は周囲を軽く見渡した。

 幸いなことに人影はなく、近くに壊れそうなものも見当たらない。

 うん、ここなら多少暴れても問題はないだろう。

 

「おい、てめぇ! 逃げずについてきたことだけは褒めてやるよ!」

 

 そんなことを考えていると、ヤンキー男君のうちの初めにコンピュータ室へ来たオールバック君が威勢よく声を上げた。

 残念ながら俺には逃げる理由がないので、飄々とした態度を崩さずに俺は話し始める。


「それはどうも……で、本気でやる気なんですね?」

「そうに決まってんだろ? まさか怖気付いたのか?」

「……まさか、確認しただけですよ」


 最終確認を行った俺は覚悟を決め、学ランのボタンを一つ一つ丁寧に外し、そしてそれを脱ぎ捨てた。

 そんな姿を見て、ヤンキー達は笑い始める。


「ははっ! なんだよ、随分とやる気じゃねぇか!」

「おいおい、まさか本気で勝てると思ってんのかよ!」

「その細っこい腕で何ができるってんだ?」

 

 どうやら俺が学ランを脱いだことが面白かったらしい。

 ヤンキー達は俺の身体を見ながら、口々に馬鹿にするような言葉を投げかけてくる。

 確かに俺の腕はあまり太いとは言えない。

 これまで筋トレなどもして無かったし、見た目は細く綺麗な腕に見える。

 しかも、俺の《魅力》は俺の魅力を美少年としての美しさにするように舵を切っているらしく、肌はすべすべとして白魚のように透き通っており、全体を見ればスラッとした体型に見えるようになっている。

 …………だが、見た目と実際の能力が一致するとは限らないのである。


「……それじゃあ、そろそろ始めましょうか」

「へっ、余裕ぶってられんのも今のうちだぜ!」

 

 そう言うと、オールバック君はニヤリと笑いながらこちらに向かって歩み寄ってくる。

 その足取りには一切の迷いがなく、どうやら俺に負ける可能性など微塵も考えていないらしい。

 だが、その油断が命取りとなる。


「おらぁっ!」

 

 オールバック君が拳を振り上げ、そのまま俺の顔面目掛けて勢いよく殴りかかってくる。

 その動きはある程度の場馴れを感じさせるもので、これまでに何回も喧嘩をしてきたのだろうということを伺わせる。

 だが…………。


「……遅い」

「っ!?」


 俺はその動きを見てから避けた。

 ただ、その動きが単純すぎるという訳ではない。

 俺の《反射神経》が良すぎるのだ。


「さて、次はこっちの番ですね……!」

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