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一日一善を繰り返していたら人生が変わった件 〜現代日本に赤ちゃんとして生まれ変わったら、善い行いをするとスキルが獲得できるようになった〜  作者: 黒飛清兎
中学生編

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63話 調査



 孤児院へその日のうちに申請を出すと、その申請は思ったよりもあっさりと通り、悠莉は割と直ぐにうちのお母さんの養子という形でうちに来ることになった。

 ここまで流れが早かったのにはどうやら様々な理由があるようで、その中でも大きなものが、孤児院の現状とうちの資産状況だ。


 まず、大前提として、今の孤児院はかなり危機的な状況に置かれている。

 生命保護法などによって生まれた大量の孤児は昔でこそ孤児院の整備や養子縁組のシステムなどで何とかなっていたが、バブル崩壊以降はそもそもの孤児の数の増加や資金難などにより飽和状態になっている。

 そのため、出来ることなら孤児を一人でも多く、しっかりとした家庭へ送り出したいというのが孤児院側の本音だったようだ。

 

 もちろん、だからと言って誰でも良いというわけではない。

 子供を引き取る以上、最低限の収入や生活環境、人柄などについては調べられる。

 ただ、その辺りに関してうちはかなり条件が良かったらしい。

 まずはうちのお母さんの収入だ。

 うちのお母さんはどこからのお金かは分からないが、俺を複数の習い事に通わせることが出来る程度には裕福であるため、その時点で収入に関しては問題が無いみたいだ。

 そして、その上で俺がある程度収入を得ていることもあり、悠莉1人を向かい入れる程度であれば大丈夫だ。


 そして、他にも大きいのが俺の存在だ。

 この家庭の生活環境や人柄などは俺という人物が居る為、その時点で大部分がクリアされるらしい。

 そういった事情もあって、お母さんについてはかなり高い評価を受けたようだ。

 更に、悠莉自身が俺達の家に行くことを強く希望していたことも大きかった。

 こういった養子縁組の話をする時は本来であれば面会の時間を設けたり、お試し期間のような感じで家と孤児院を行き来したりする時間が必要らしいが、元々俺と悠莉知り合いということもあり、そういったものもスキップできた。

 そういう理由があり、申請はあっさりと通ったのである。

 悠莉をできる限り件の孤児院から遠ざけたかった俺からすれば好都合だ。


 さて、ここまで来れば問題はあと一つ……悠莉に手を出した職員だ。

 そいつの犯行は恐らく計画的なものだったと判断できる。

 その判断材料は、悠莉の性知識の少なさだ。

 普通、中学生にもなれば異性に体を触られることが良くないことだと言うのは分かるはずだ。

 しかし、その程度の事すらわかっていない以上、そこにはなにか意図が含まれていると考えるのが自然だろう。


 それから一緒の家に暮らすことになり、話す時間も増えたため、色々聞いてみて発覚したのだが、悠莉が居た孤児院にはテレビが無かったらしい。

 しかも、本なども絵本のようなものばかりで、娯楽は基本的に体を動かして遊ぶタイプの玩具やスポーツだったらしい。

 つまり、意図的にそう言った知識から遠ざけられて育っているのだ。


 そうなれば、言ってしまえば悠莉が居た孤児院に暮らす子供の全員がその毒牙にかかっている可能性まで出てくる。

 流石に孤児院にいる全員をうちに迎え入れることはできないのでその方向で救うことはできない。

 だから、今回は、その悪事の原因である、職員を潰すしかない。


 とは言っても、俺は今回の件を大人に丸投げするつもりはなかった。

 警察などに頼る方法もあるが、それでは時間がかかってしまうし、決定的な証拠が見つかるまでになにかされてしまっては遅い。

 なので、俺自身が何とかすることにした。

 

 それから数日、俺は学校帰りや休日を使って孤児院を調べ始めた。

 俺には高い《隠密》のスキルがあるため、こういう時にバレないように忍び込んだりするのはかなり得意なため、成果はどんどん上がった。

 職員の出勤時間、帰宅時間、普段どの子供とよく話しているのか。

 悠莉にも無理のない範囲で過去のことを聞き、怪しい部分を一つずつ整理していく。

 そして、調べれば調べるほど、俺の疑いは強くなっていった。

 

「……やっぱり、悠莉だけじゃないな」

 

 決定的な場面を見たわけではない。

 しかし、妙に特定の女子ばかりを個室に呼び出していたり、人目の少ない場所で話していたりと、不自然な行動があまりにも多い。

 様々な情報を考慮すると、やはり奴の毒牙にかかっているのは悠莉だけでは内容だった。

 

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