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一日一善を繰り返していたら人生が変わった件 〜現代日本に赤ちゃんとして生まれ変わったら、善い行いをするとスキルが獲得できるようになった〜  作者: 黒飛清兎
乳幼児編

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20/33

20話 小学校でも一緒だよ?



「ひめ、今泣いたら写真、凄い顔になるよ?」

「……ぅ、でも…………」


 ふむ、この感じ、ただ不快とかで嫌がっている訳じゃないな、何か理由があって嫌がっている感じだ。

 まぁ、大体が勘違いだったりするからちゃんと説明したらすんっと落ち着いたりするんだけどな。

 今回もそうならしっかりと話を聞けば割と簡単に落ち着かせられるかもしれない。


「それで、何が嫌なの?」

「はじめくんと……もう会えないって……」


 ふむ、やはり勘違いだったな。

 そもそも、俺達が同じ小学校に通える事になっていることは話を聞いているうちに分かっているし、その事についてはひめも分かっているものだと思っていたのだが…………。

 

「ひめ、僕たち小学校も一緒だよ?」

「…………うそ」

「嘘じゃないって」

「うそだもん……」


 くっ、なんだ、今日はしぶといな。

 いつもならちゃんと説明すれば割と直ぐに理解して勘違いしていたとわかってくれるものだが、今日に限って聞き分けが悪い。

 …………だが、分からなくもない。俺だってひめと離れるってなるとかなり寂しい。今生の別れではないとしても3年間仲良くしていた相手といきなり離れるとなると俺だってきついのだ。

 それがまだ精神年齢も肉体年齢と比例しているであろうひめならばもっと辛いはずだ。

 俺は簡単にひめを宥められるという考えを捨て、真剣に話しかける。


「ひめ、ちゃんと聞いて」

「……うん」

「幼稚園は今日で終わりだけど、僕たちが会えなくなる訳じゃないよ」

「……ほんと?」

「ほんと、家だって別に遠くないし、会おうと思えばいつでも会える」

「…………」


 ひめは少し考える様子を見せる。

 少しは落ち着いてくれたかと思ったが、やはりまだ安心できてないようだ。しかし、それでも俺の言葉に希望を感じたのか少し泣きながらも俺に質問を投げかける。


「け、けど、パパが……」

「パパが?」


 …………なにか、嫌な予感がする。

 

「パパが……小学校別かもしれないって言ってたから……」

「……え?」


 まて、いきなりなんでそんな話になった?

 確かにひめの家は学校からは遠い位置にある。もう一方の方にも学校があるため、そっちの方に知り合いが多かったりすればそっちの学校に行くことになる可能性もある。

 だが、どう考えても俺が行く小学校の方が俺達の通っている幼稚園の園児が多く通うことになるはずだし、そもそもこの俺が居る小学校にひめが行きたいというはずだから、何か特別な理由が無い限りそれが覆ることは無いはずだ。


 …………いや、よく考えろ、そんな事をひめが知ったらすぐに俺に泣きついてくるだろうし、そう考えればひめがこの事を知ったのは最近……つまりそれまでは俺と同じ小学校に行くと聞かされていたはずだ。

 とりあえず確証を得るためにひめに質問をしよう。


「え、えっと、それいつ言われたの?」

「……ぐすっ……昨日」

「昨日……昨日か……」


 あのお父さんはなんでまたこんなタイミングでそんな事を告げるんだ……普通に考えれば別に言わないで小学校に行くタイミングまで隠していても別にいいだろう。

 ちゃんと誠実に話したいと思うのであってもどう考えても今じゃない。

 だとすれば…………。


「……ちっ、あのイケメンパパめ、冗談を子供が分かると思ってるのか?」


恐らく昨日、何かの流れでもしかしたら、別の小学校になるかもな程度の軽口を叩いたのだろう。

 大人からすればただの冗談でも、ひめからすれば一大事だ。

 しかも、俺と離れるかもしれないなんて話なら尚更である。

 

「はぁ……ひめ、大丈夫、僕達はは絶対同じ小学校に行くから、心配しないで」

「……ほんと?」

「うん。だって本当に小学校が変わるなら、もっと前から話してるはずでしょ?」

「…………」

「昨日いきなり言われたんだよね?」

「うん……」

「じゃあ大丈夫だよ。卒園式が終わったら、僕も一緒にお父さんに聞いてあげるから」

「……いっしょに?」

「いっしょに」

 

 そう言って頭を撫でると、ひめはしばらく俺の顔を見つめた後、ようやく小さく頷いた。

 

「……わかった」

 

 よし、まだ完全に安心した訳ではなさそうだが、少なくとも大泣きは回避できた。

 ……しかし、もし本当にただの冗談だったら…………卒園式が終わった後、あのお父さんには六歳児二人からしっかり問い詰めさせてもらおう。


 そして迎えた卒園式。


 園長先生の話を聞き、一人ずつ名前を呼ばれ、卒園証書を受け取っていく。


「紅月一くん」

「はい!」

 

 返事をして前へ出ると、後ろから小さなすすり泣きが聞こえた。

 ……お母さんだな、振り返らなくても分かる。

 三年前、あれだけ騒がしく始まった幼稚園生活も、これで本当に終わり。

 そう考えると、俺も少しだけ胸の奥が熱くなった。



 ちなみにあとから聞いたけど、やっぱりひめと小学校が違くなるっていうのはひめのお父さんの冗談でした!

 ムカついたので、《身体》のスキルとステータスを全開ですねを思い切り蹴ってやりましたよ。ふはは。



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