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一日一善を繰り返していたら人生が変わった件 〜現代日本に赤ちゃんとして生まれ変わったら、善い行いをするとスキルが獲得できるようになった〜  作者: 黒飛清兎
乳幼児編

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18話 男の子じゃ結婚できない?



 結婚できない……どうして?

 俺が男だと知ってそう言うって事は……まさかこの世界では男女で結婚出来ないのか?

 いや、そんなはずはない。ひめの親はお母さんとお父さんだと言っていたし、男女で結婚できないはずはない。


「えと、なんで結婚できないの?」

「だって……はじめくん……男の子だから……ひぐっ」


 あぁあぁ、泣いちゃった、これ以上聞くのは難しそうか?

 いや、だが気になって仕方がない。何とか聞き出せ無いだろうか?

 ……こうなれば強行突破だ、保育士さんがやってくるまで出来る限り聞いてしまおう。


「男の子でも結婚できると思うんだけど……?」

「だって……ひぐっ、パパが……男の子は……ダメだって……ひぐっ」

「ふーむ……」


 あ、これあれだ、この世界の常識が違うとかじゃなくて、あのお父さんが親バカすぎて男の子を引き剥がそうとしているだけだな。

 というか、もしかしてあれか? あのお父さん、幼稚園児の交友関係を気にしているのか……中々に親バカだな。

 ただ、その情報が知れてよかった。誤解したままではしばらくの間この世界は異性で結婚することは出来ないのかどうか調べる羽目になったからな。


 俺がホッとしているとひめの泣き声を聞いた保育士さんが慌ててこちらにやってきた。

 保育士さんは俺たち二人を見て、とりあえずひめのことを抱き上げると少し揺らしながらあやし始めた。


「どうしたの、陽芽ちゃん? 何か嫌なことあった?」

「ひぐっ……はじめくんが……」

「うんうん、はじめ君が?」

 

 まずいな、このままでは俺が泣かせたみたいになる。

 別に悪い事はしていないし、ひめが勝手に泣き始めただけなのだから俺が責められる筋合いは無いのだが、如何せんこの状況では俺がひめに対して何かやったと誤解されてもおかしくはない。

 ま、別に怒られても良いが……子供の本能だろうな、怒られたくないと心が勝手に俺の脳へと司令を出し、弁明を始めた。

 

「ぼく何もしてないよ!」


 理性で何とか子供っぽい弁明をすると、保育士は「分かったよ」と言ってとりあえずはひめの話を聞こうとしていた。


「はじめ君がどうしたの?」

「うぅ……はじめくんが……けっこん、できないって……」

「…………」

「…………」

 

 保育士さんの視線がゆっくりと俺へ向く。

 やめてください、その何とも言えない微笑ましいものを見る目をやめてください。

 というか、俺は別に結婚できないなんて一言言ってないんだから、ひめも変なことは言わないでくれ。

 保育士さんは俺達が喧嘩などをして泣いたのでは無いと判明した為かホッとした表情をしながら、自体の収束を図るためにひめに話しかける。

 

「そっかぁ、陽芽ちゃんははじめ君と結婚したかったのね」

「うん……」

「でも大丈夫だよ。陽芽ちゃんがもっと大きくなったら、また考えればいいんじゃないかな?」

「……おおきくなったら?」

「そうそう、大きくなったら結婚できるようになるんだよ、だから今はまだ結婚できなくても大丈夫だよ!」

「…………うん」

 

 保育士さん、流石は子供のプロだ、よくよく聞くと別になんの問題解決になっていないのに、その言い方と抱っこして揺らすことによる安心感でひめをあっという間に泣き止ませてしまった。

 陽芽は泣き止むと、俺の方を見た。

 

「はじめくん……おおきくなったら、けっこんする?」

「…………」

 

 く、これはどう反応したら良いものか。

 別に子供の戯れに本気にならなくてもとは思うが、俺自身こんな会話した経験が無いためはぐらかすという手段が消えてしまっており、なんて言えばいいのか分からなくなってしまう。

 ええいままよ、こうなったらとりあえずYESと答えてしまおう。


「す、するよ」


 俺がそう答えると、その瞬間、ひめの顔には一瞬にして笑顔が取り戻された。

 こんなに喜んでくれるのなら、子供の間だけひめの言って欲しい事を言ってあげるのも悪くはないかもしれないな。

 どうせ成長すればその感情についてもちゃんと知ることができて、本気で考えるようになるのだろうから、今ぐらい良いだろう。

 保育士さんは俺達が仲直りしたのを見て満足そうにしながら、俺達二人を積み木のある所に連れていった。


「ほら、二人で仲良く遊ぶんだよ?」

「はーい」

「……ぎゅー」


 ひめはいつもの調子に戻り、俺とくっつきながらも積み木であそび始めた。

 3歳児の相手は精神年齢がおっさんの俺には少しハードだが、それでも楽しんでくれるんなら悪くはないのかもしれないな。

 そうして俺たちはしばらくの間積み木遊びを続けた。


「…………ふふ」

 

 少し離れた場所からその様子を眺めていた保育士は、小さく笑みを浮かべる。

 

「本当に仲良しね」

 

 そして、楽しそうに笑うはじめの顔を見つめ、ほんの少しだけ、その表情を変えた。

 

「…………それにしても」

 

 誰にも聞こえないほど小さな声で、ぽつりと呟く。

 

「やっぱり……血は争えないってことなのかしらね」

 

 その言葉が、積み木遊びに夢中になっていた俺の耳に届くことはなかった。 

 


 すいません、今日は1話だけの投稿になります!

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