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人間ってめんどくさい  作者: 季波


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12/18

第11話「社食へ急げ」

「おい!」

楽が三郎を抱き上げた。

「お前のせいで昼休みなくなるじゃねぇか!」



『僕は悪くないでちゅ』



「どこがだよ!」



千紘が苦笑する。

「確かに、三郎のポーズ見てたら結構時間たっちゃったね」



理人は腕時計を見た。

「あと二十五分だ」

「急ぐぞ」

「社食、混む前に行かないと」



三人は足早に社員食堂へ向かった。

到着すると、昼休みの社員たちで賑わっていた。

その時だった。

三郎が再び両前足をぐっと持ち上げ、

力こぶを見せフロント・ダブル・バイセップスポーズを決め込む。



「おい、何してんだ!」

「やめろ!分析はしなくていい」



女性社員たちが思わず足を止めた。

「あっ、見て!」 「かわいい〜!」



『当然よ♥』

イチゴは片目をつぶってウインクした。



『俺は?』 『かっこいいだろ』

二郎が前足を上げる。



『僕も男前でちゅ!』

三郎も胸を張った。



「お前ら、いいから大人しくしてろ!」 楽は額に手を当てる。



「俺たちは昼飯買ってくるから、ここで待ってろよ」



『了解でちゅ!』

三匹は元気よく返事をした。



三人が食券売り場へ向かう。

待っている間。

周囲から社員たちの話し声が聞こえてきた。

「昨日のドラマ見た?」


「その映画、面白かったよ」


「えっ、そのインフルエンサー知ってる!」


「課長、今日も機嫌悪かったなぁ」


「あの人機嫌いい時あるか?」


「週末どこ行く?」



三郎は耳をぴくぴく動かした。

『人間は不思議でちゅ』


『仕事の話をしていたと思えば』


『急にドラマの話になって』


「私ね、朝、勢いよく起きたら、ぎっくり腰になっちゃって」

「一人だったから、大変だったのよ」


「だから朝起きる時は、気をつけないとダメよ」



「今日は残業しないで帰らないとなぁ」


『また仕事の話に戻るでちゅ』



二郎が腕を組む。

『人間は話題がよく変わるな』

『でも帰る頃には「今日の夕飯どうする」が始まる』



『生活のことばかり考えてるんだ』

イチゴはくすっと笑った。

『それが人間らしいじゃない♥』



三匹は顔を見合わせ、小さく笑った。

『人間って』

『見てて飽きないでちゅ』



社員たちの話し声が聞こえてくる。



「そういえば、駅前にペット同伴OKの居酒屋できたんだって」



「今度の休みに行ってみよう」


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