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第15話「二つ目の鍵」

王都アストリアを襲った黒紋教団との戦いは、まだ終わっていない。


黒き騎士との戦いを終えたレインたちを待っていたのは、王城地下に眠る魔剣グラディウスの異変だった。


そして明らかになる「二つ目の鍵」の存在。


レインの銀色のネックレスと共鳴する、リリアのペンダント。


二つの鍵が揃ったことで、五百年前から続く封印はさらに崩れ始める。


黒紋教団が狙うものは何なのか。

そして、魔剣グラディウスが完全に目覚めたとき、一体何が起こるのか。


五百年前の因縁が、今を生きるレインたちへと再び牙を向ける。


第15話「二つ目の鍵」。

王都に隠された真実が、少しずつ姿を現し始める。

王都アストリア。


空を覆っていた黒い魔法陣は、さらに大きく広がっていた。


街のあちこちから炎が上がり、建物が崩れていく。


王国兵たちは必死に黒紋教団の兵士たちを押し返していたが、敵の数はあまりにも多かった。


そしてその中心に、レインは立っていた。


「……あいつ……」


先ほどまで戦っていた黒き騎士の姿は、もうどこにもなかった。


しかし、レインの手にはまだ白い光が残っている。


「レイン!」


セレナが駆け寄ってきた。


「大丈夫か?」


「ああ……俺は大丈夫。それより、あの黒い騎士は……」


「逃げたようだな」


セレナは周囲を警戒する。


「だが、まだ終わっていない」


その瞬間。


ドォォォォン!!


王都の中心部で、大きな爆発が起きた。


地面が大きく揺れる。


「なに!?」


レインが振り返る。


王城の地下から、黒い光が空へ向かって伸びていた。


「まさか……」


セレナの表情が変わる。


「地下神殿……」


二人はすぐに王城へ向かって走り出した。


その頃、王城地下。


国王アルベルトと老魔導士は、地下神殿へ続く階段を急いで下りていた。


「封印が……!」


老魔導士が震える声で言った。


「五百年間、一度もここまで弱まったことはない……!」


神殿の中央。


魔剣グラディウスを包んでいた光の鎖に、大きな亀裂が入っていた。


そして、その亀裂の隙間から黒い煙が漏れ出している。


「これは……まずいな」


国王が剣を握る。


すると。


「……遅い」


低い声が神殿に響いた。


老魔導士が振り返る。


「誰だ!」


暗闇の中。


黒いローブをまとった人物が立っていた。


顔は見えない。


ただ、その胸元には黒い紋章が刻まれていた。


「黒紋教団……!」


国王が叫ぶ。


「なぜここに……」


「この場所を探す必要などない」


黒い人物はゆっくりと手を上げた。


「我々は最初から、ここにいたのだから」


その言葉と同時に、神殿の壁に無数の黒い紋章が浮かび上がった。


「結界を!」


老魔導士が魔法を放つ。


しかし。


パリンッ!


結界は一瞬で砕け散った。


「五百年前と同じだ」


黒い人物が呟く。


「歴史は繰り返される」


そのとき。


「させるか!」


階段の上から声が響いた。


レインだった。


セレナとともに神殿へ飛び込んでくる。


「レイン……!」


老魔導士が驚く。


レインは黒い人物を睨んだ。


「お前も黒紋教団か」


「……」


黒い人物は答えない。


その視線が、レインの胸元へ向けられる。


銀色のネックレス。


「やはり……」


黒い人物が初めて反応した。


「鍵を持っている」


レインはネックレスを握った。


「鍵?」


「その首飾りは、ただの首飾りではない」


黒い人物が一歩近づく。


「それは封印を開くための鍵だ」


「……違う」


レインが答える。


「エリオスは、俺を守るためのものだと言っていた」


「賢者エリオス……」


黒い人物の声が少し低くなる。


「ならば、もう一つの鍵も目覚めたということか」


その瞬間。


神殿の奥から、淡い光が現れた。


「え……?」


レインが振り向く。


そこにいたのは、リリアだった。


「リリア!?」


セレナが驚く。


リリアは自分の胸元にあるペンダントを握っていた。


レインの銀色のネックレスと同じように、ペンダントが光っている。


「レイン……」


リリアが呟く。


「この場所に来てから、ずっとこれが光ってるの」


二つの光が共鳴する。


白い光と淡い青い光。


そして。


魔剣グラディウスを縛っていた鎖が、さらに大きく揺れた。


「二つ目の鍵……」


黒い人物が笑う。


「ついに揃ったか」


「どういうことだ!」


レインが叫ぶ。


しかし、黒い人物は答えなかった。


その代わりに、神殿の床へ黒い魔法陣を展開する。


「我々の役目は果たした」


「待て!」


レインが走り出す。


だが、その瞬間。


魔法陣から黒い炎が噴き出した。


セレナがレインの前へ飛び出す。


「下がれ!」


剣で炎を弾く。


しかし、衝撃でセレナの身体が吹き飛ばされた。


「セレナ!」


レインが駆け寄る。


「大丈夫だ……」


セレナは立ち上がろうとする。


だが、膝をついてしまった。


レインの目が変わる。


銀色に輝く。


「……許さない」


レインの周囲に白い光が集まっていく。


「レイン!」


老魔導士が叫ぶ。


「その力を使いすぎるな!」


しかし、レインには聞こえていなかった。


目の前の敵だけを見つめている。


「俺の仲間を傷つけた……」


白い光が爆発する。


ズドォォォン!!


神殿全体が揺れた。


黒い人物は攻撃を受け止めながら、初めて驚いたような声を出す。


「この力……」


レインが一歩踏み出す。


「絶対に……逃がさない!」


白い光をまとった剣が振り下ろされる。


黒い人物は寸前で魔法陣を展開し、その攻撃を避けた。


「今日はここまでだ」


「待て!」


黒い人物の身体が黒い霧へ変わっていく。


「レイン・アルディス」


最後にその声だけが残った。


「お前が自分の血に隠された真実を知ったとき……お前は必ず選ぶことになる」


「何を……?」


「英雄の道か」


一瞬、声が途切れる。


「それとも……魔剣の主か」


黒い霧が消える。


静寂が戻った。


しかし。


「……レイン」


リリアが震える声で呼んだ。


レインが振り返る。


リリアのペンダントは、まだ光っていた。


そしてグラディウスの鎖も。


そのとき。


魔剣から声が響いた。


「我が主よ……」


レインが振り向く。


「二つ目の鍵が揃った」


グラディウスの刀身に、一本の亀裂が走る。


「封印解除まで……あと一段階」


レインの顔から血の気が引いた。


「そんな……」


老魔導士が呟く。


「まずい……」


国王が問う。


「何が起きる?」


老魔導士は魔剣を見つめた。


「封印が完全に解かれれば……」


一度、言葉を止める。


「五百年前に止まった戦争が、再び始まる」


その瞬間。


王都の空に巨大な黒い紋章が浮かび上がった。


そして、遠く離れた場所から。


誰かが笑った。


「ようやく……舞台が整った」


王都アストリアを覆う闇は、さらに深くなっていった。

第15話を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、これまで謎に包まれていた「二つ目の鍵」の正体が、少しずつ明らかになった回でした。


レインの銀色のネックレスと、リリアが持っていたペンダント。


この二つが共鳴したことで、魔剣グラディウスの封印はさらに弱まりました。


そして、黒紋教団がレインだけではなく、リリアにも目をつけていることが判明しました。


さらにレインは、セレナを傷つけられたことで再び謎の力を発動。


その力が一体何なのか、なぜレインが使えるのかも、まだ明らかになっていません。


そして最後に語られた「五百年前に終わった戦争が、再び始まる」という言葉。


レインの先祖であるレオン・アルディスと、五百年前の戦争には、一体どんな秘密が隠されているのでしょうか。


次の第16話では、いよいよ五百年前の出来事にも大きく関わっていくことになります。


王都を覆う闇は、まだ始まったばかりです。

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