↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/17

第14話「黒き騎士」

第14話を読んでいただき、ありがとうございます。


前回、黒紋教団による王都襲撃が始まり、平和だった王都アストリアは一瞬にして戦場へと変わりました。レインは大切な人々を守るため、自らの意思で剣を握り、眠っていた力の一端を初めて解放しました。


今回は、そんなレインの前に、黒紋教団の中でも特に強大な力を持つ「黒き騎士」が姿を現します。レインはこれまで経験したことのないほどの強敵を前に、再び自分自身の力と向き合うことになります。


そして、レインの力に反応する銀色の首飾り、再び動き始める魔剣グラディウス、そして黒き騎士が口にした「あのお方」という言葉。


王都を襲った黒紋教団の本当の目的も、少しずつ見え始めてきます。


それでは、第14話「黒き騎士」をお楽しみください。



王都アストリアの空を、黒い雲が覆っていた。


無数の魔法が空を飛び交い、城壁の向こうからは爆発音が絶え間なく響いている。


「南門が突破されました!」


「西区画にも敵が侵入!」


兵士たちが慌ただしく王城内を駆け回る。


セレナは剣を握りしめ、レインへ振り返った。


「ここから先は、私から離れないでください。」


「分かりました。」


二人は王城の外へ出た。


目の前に広がっていたのは、変わり果てた王都だった。


燃える建物。


崩れた石壁。


逃げ惑う人々。


そして、黒いローブをまとった教団員たち。


「なんで……。」


レインは言葉を失った。


「こんなことをして、何になるんですか。」


セレナは険しい表情を浮かべる。


「敵には敵の目的があります。」


「ですが、今はそれを考える時間はありません。」


「まず市民を守ります。」


その瞬間、巨大な火球が二人へ向かって飛んできた。


「危ない!」


セレナがレインを突き飛ばす。


ドォォン!!


火球が地面へ落ち、爆風が二人を襲った。


「セレナ!」


レインが叫ぶ。


セレナは立ち上がろうとするが、左腕を押さえている。


「大丈夫です。」


「少し擦っただけです。」


しかし、その顔には明らかな苦痛が浮かんでいた。


その時。


遠くから、ゆっくりと足音が聞こえてきた。


カツ。


カツ。


カツ。


黒い鎧。


長い外套。


顔を隠す兜。


その男が歩くたび、周囲の教団員たちが道を開ける。


「来たか。」


セレナの表情が変わった。


「黒騎士……。」


男はレインを見つめる。


「アルディスの血を継ぐ者。」


「お前を迎えに来た。」


レインは剣を握る。


「誰があなたなんかについていくか!」


黒騎士は笑った。


「ならば、力ずくで連れていく。」


次の瞬間、黒騎士の姿が消えた。


「速い!」


レインが気づいた時には、目の前に剣が迫っていた。


ガキィン!


セレナが間一髪で受け止める。


「レイン、下がって!」


黒騎士の一撃は重かった。


セレナの足が地面へ沈む。


「くっ……!」


「これほどの力を……。」


黒騎士はさらに剣を振る。


セレナは何度も攻撃を防ぐが、少しずつ押されていく。


レインはただ見ていることしかできない。


「セレナ!」


「来てはいけません!」


しかし黒騎士がセレナを吹き飛ばした。


「セレナ!」


レインは反射的に走り出す。


黒騎士が剣を振り上げる。


「終わりだ。」


その瞬間。


レインの胸元が輝いた。


銀色の首飾りから、白い光が溢れ出す。


黒騎士の剣が止まった。


「なに……?」


レインの足元に、見たことのない魔法陣が浮かび上がる。


頭の中へ、再び声が響いた。


「恐れるな。」


「お前は、守る者だ。」


レインの瞳が銀色に輝く。


そして、握っていた剣が淡い光をまとった。


「僕は……。」


レインは剣を構える。


「誰も失いたくない。」


黒騎士が初めて動揺した。


「その力……まさか。」


レインが地面を蹴る。


一瞬で距離を詰め、黒騎士へ剣を振り下ろす。


ガァン!


黒騎士の剣が弾き飛ばされた。


「ぐっ……!」


黒騎士は数メートル後退する。


周囲の教団員たちも驚いている。


「アルディスの力が……。」


「目覚めたのか……?」


レイン自身も驚いていた。


「これが……僕の力。」


しかし、次の瞬間。


黒騎士は剣を拾い上げる。


そして、兜の奥で笑った。


「面白い。」


「その力があれば、あのお方も喜ばれる。」


「お前は必ず、こちら側へ来る。」


黒騎士の足元に黒い魔法陣が浮かぶ。


「待て!」


レインが叫ぶ。


しかし黒騎士は魔法陣の中へ消えていった。


残された教団員たちも撤退を始める。


やがて王都に、ほんの一瞬の静けさが戻った。


セレナはレインを見る。


「今の力……。」


「僕にも分かりません。」


レインは震える手を見つめる。


その時、王城の地下から巨大な轟音が響いた。


ドォォォン!!


二人が振り返る。


王城の上空に、巨大な黒い魔法陣が浮かび上がっていた。


そしてその中心から、一本の黒い光が空へ伸びていく。


セレナが息をのむ。


「まさか……。」


王都の地下深く。


封印されていた魔剣グラディウスが、ゆっくりと祭壇から浮かび上がった。


「封印解除まで、あと一段階。」


誰もいない地下神殿で、謎の声が響く。


「もうすぐだ。」


王都襲撃は、まだ始まったばかりだった。


第14話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、黒紋教団の強敵「黒き騎士」が登場し、レインとの初めての本格的な対決が描かれました。


これまでのレインは、戦いの中で誰かに守られることが多く、自分自身の力で敵と戦うことはほとんどありませんでした。しかし今回は、セレナを守るために自ら前へ進み、眠っていた力を一時的に解放しました。


この力が一体何なのか。そして、なぜアルディス家の血にこの力が宿っているのか。まだ多くの謎が残されています。


また、黒き騎士がレインを「こちら側へ来る」と言ったことも、今後の物語に関わる重要な伏線です。黒紋教団がレインを狙う理由は、単純に英雄の血を引いているからだけではないのかもしれません。


さらに、魔剣グラディウスの封印も再び崩れ始めています。


王都襲撃の裏で、一体何が起ころうとしているのか。


次回、第15話では王都の戦いがさらに激しくなり、レインたちは黒紋教団の本当の目的へ近づいていきます。そして、王国を揺るがす新たな存在が姿を現します。


ここから物語は、第一章最大の戦いへ向けて大きく動き始めます。


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。


それでは、第15話でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。