19. テレビジョン
19. テレビジョン
自宅から北側にある、練兵場と神宮の森は、兄と佳代子の遊び場で、
友人を連れ、よく遊びに行っていたが、
その遊び場の一角で大きな工事が始まった。
その場所は大きな策で囲われ、土が掘り返され始めていた。
その話は学校でも話題で、なにができるのか?
が、大きな関心毎となっていた。
授業の合間の休みに、祥子と奈々枝と話している時も、
話題となる。
「あそこ、結構大きな建物ができそうね。」
「そうね、アパートでも建てるのかしら?」
「わからないわ。」
その何が建てられるのか、について、
意外なところから回答が出てきた。
家で、佳代子が学校の宿題をしていると、
後ろから兄がやってきて、
「あそこに何が建つのか、俺はわかったぞ。」
話を聞くとどうも、情報元は兄の友人の長治らしい。
「長治の親のつてで、あの工事を受け持っている関係者がいるらしい。
それで俺も教えてもらったんだ。」
兄はその後、一息ついて、
「佳代子、テレビジョンって知っているか?」
「テレビジョン?」
佳代子は、それが分からず、何かおいしい洋菓子の名前か、と予測をした。
「わからない様だな。お菓子じゃないぞ。」
佳代子は兄が、自分の考えていたことを見透かされた様で、少し恥ずかしかった。
「それは置いておいて、テレビジョンとは、
音と映像が同時に流れてくる映画のことだ。」
「?」
佳代子はよくわからない、という顔をする。
「いいか、家で映画を見られる時代がこれから来るんだ。」
「そう、それはすごいわね。」
佳代子は、いまいちテレビジョンというものが分からなかったので、
明日、最先端のアパートに住む、奈々枝に聞いてみることにした。
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「奈々枝ちゃん、テレビジョンって何?」
「テレビジョン?佳代子、唐突にどうしたの?」
「兄が、あそこの工事現場、
テレビジョンに関係するものが建つと言っているんだけれど、
そのテレビジョンが分からなくって。」
「ああ、テレビジョンというのは、家で見れる映画のことね。」
「それは兄から聞いた。」
「私の知っている範囲で言うと、みかん箱くらいの装置があって、
そこに、色々な動く映像と、音を出す装置がついていて、
その時の映像や劇が流れてくるものらしいわ。」
「そうなの。」
「その装置に流す映像を撮る場所が、あの場所に建つんじゃないかな?」
佳代子はまだイマイチ、テレビジョンというのが良くわかっていなかった。
「ちなみにそのテレビジョンという装置、50万円するらしいわよ。」
「50万円!!」
佳代子は大きな声を出してしまった。
それは、大きな家が建てられる金額だったからだ。
「わ、私には、一生用の無いものね。駅近くの映画館に映画を見に行った方が良いわ。」
結局佳代子は、テレビジョンというものが何か、よくわからず、
ものすごく高価なものということだけわかった。




