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帝都にある谷の町の住人  作者: うしねことその身内
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18.朝顔ときゅうり

18.朝顔ときゅうり


佳代子は学校から、朝顔の種をもらってきていた。


学校から、この朝顔の種を植え、

毎日観察日記をつけることが宿題となっていた。


佳代子は家の軒下にあった、素焼きの植木鉢を引っ張り出してきて、

小さい裏庭の土をその植木鉢に入れ、朝顔の種を植えた。

そして水をあげる。


その植木鉢を、家で最も日当たりの良い、玄関の脇に置いた。


しばらくその植木鉢を眺めていると、兄の亮一がやって来た。

そして、何かを植えた植木鉢を、佳代子の朝顔の植木鉢の隣に並べる。


「佳代子は朝顔か。

俺は、きゅうりの種だ。」


どうやら、高学年の兄の宿題は、きゅうりの観察日記をつけることらしい。


その日から、隣に並べられた朝顔ときゅうりの鉢の観察日記を、

それぞれつけることになった。


2人で観察日記をつけるはずが、やがて競争になる。


「佳代子、こっちの方がもう目が出てきたぞ。」


「私だって、目が出ているわよ。」


「俺の方はツルが伸びだした。」


「私の方がツルが長いわよ。」


佳代子は学校で、腐葉土を与えた方が良いと聞き、

庭で枯葉が腐葉土になったところを集め、

植木鉢の土を、根が傷つかない程度に掘り起こし、交換した。


すると、翌日、兄も同じことをしていた。


朝顔ときゅうりのツルは伸び、それぞれ棒を立てるが、

それぞれ絡み合う。


「あっ、佳代子、何するんだよ。

俺のきゅうりに朝顔のツルが絡みついている。」


「それはこっちのセリフよ。」


2人は喧嘩になるが、そこに父の鉄二がやってきて、丁寧にそれぞれのツルをほどく。


「ほら、2人とも喧嘩するな。

そんなにツルが絡むのが嫌なら、それぞれの植木鉢を話せばいいだろ。」


「いやよ、ここが日当たりが良いんだから。」


「それはこっちのセリフだ。」


父の鉄二はさじを投げて、どこかに行ってしまった。


それから夏になり、

佳代子の朝顔は大輪の花をたくさん咲かせ、種が鳴り、

兄のきゅうりも、実がなり、家の食卓にぬか漬けとして出る。


「この漬物は俺のきゅうりだからな。佳代子は食べるな。」


「当たり前よ。」


「もう2人共いい加減にしなさい!」


母、ちよの雷が落ちる。


夏の長い休みが終わり、2人の観察日記は、良く書かれているということで、

学校でそれぞれ発表することになった。

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