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帝都にある谷の町の住人  作者: うしねことその身内
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13.佳代子、初めてダイヤル式電話機を使う

13.佳代子、初めてダイヤル式電話機を使う


ある日、親友の奈々枝の家に佳代子が遊びに行くと、

見慣れない番号が書かれた黒い物が部屋に置いてあった。


「奈々枝ちゃん、これ何?」


「これね、電話機と言う物よ。」


「ああ、電話機ね…わかるわ。」


佳代子は電話機について、黒くてダイヤルがついたものは初めて見たので、

すぐには気づかなかった。


佳代子の電話のイメージは、クランクのレバーを回し、

ラッパ型の黒い物を口の所に当て、電話機の本体の所で話すものだった。

通常、電話をつなごうとすると、電話の先にいる交換士にかける先を言い、

交換士がその電話に手動でつなげるという認識だった。


「奈々枝ちゃん、電話はいいんだけれど、どこに話しかけるの?

どこから相手の声が聞こえてくるの?

そしてこの数字が書かれているのは何?」


「佳代子ちゃん、一般に言わないで。これは最新式の電話よ。」


奈々枝は受話器を取り説明をする。


「これは、耳を当てるところと、しゃべるところが一緒になっているの。

こっちをこう耳に当てて、こういう風に話して。

…佳代子ちゃん、聞こえる?」


奈々枝は、丁寧に使い方を教えてくれる。


「そして、このダイヤルと言う数字の書かれたところを回して、

指を話す。そして、相手先の電話に自動的につながるのよ。

交換士に相手のつなぐ先を言わなくていいの。」


「えっ?」


「相手先に電話番号と言うのがあって、その電話番号の数字を順番に回すの。」


奈々枝はダイヤルを回すしぐさをして教えてくれる。


「えっ、じゃあ、耕造叔父さんの家の電話にも番号があるのかな?」


「叔父さん電話を持っているの?」


奈々枝は驚く。


「叔父さん、店をやっているから、予約などに使っているみたい。」


「そうなんだ。電話番号分かる?」


「いや、わからない。交換士に言わないと。住所は…」


奈々枝は耕造叔父さんの住所を言う。


「じゃあ、かけてみましょうか?」


そう言うと、奈々枝は番号を回し、交換士につなぐ。


「へえ、交換士にもつなぐことができるんだ。」


奈々枝は交換士につながったことを確認すると、

佳代子に受話器を渡す。


「佳代子ちゃん、交換士に住所を言って。」


佳代子は交換士に叔父さんの住所を教えると、

交換士は叔父さんの家の電話につなぐ。


しばらくすると、照子おばさんが電話に出る。


「はい、大海庵です。」


「照子おばさん?」


「その声は、佳代子ちゃん?

何かあったの?」


佳代子は別に叔父さんの所に用事が無いことを思い出し、

しどろもどろになる。


「えーっと。」


「どうしたの?佳代子ちゃん。」


「こ、この間、耕造叔父さんの所に行った時、

忘れ物をしなかったか、確認をしたくて電話をしたんです。」


佳代子はとっさに、機転を利かして、その場をつくろおうとする。


「忘れ物?」


「えーっと、赤い巾着袋で、財布が入っている物なんです。」


「えっ?その様なものはなかったわ。」


「では、おばさんの所ではないのかな?他を探してみます。」


「わかったわ。じゃあね。」


佳代子は受話器を置く。


「正直焦った。」


佳代子は結局のところ、試しにおばさんの所へ電話をかけてみたとは、

最後まで言えなかった。


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