12.最新鋭のプールに行こう
12.最新鋭のプールに行こう
佳代子は先日アパートに遊びに行った奈々枝に誘われ、
神宮の外苑にできたプールに行くことになった。
佳代子の他に誘われたメンバーは、祥子ちゃんのみで、
みんな用事があるということで、結局3人で行くことになった。
ある暑い日の平日、学校が終わると、近くの電停から路面電車に乗る。
車掌にお金を払うと、開いている席に3人は腰かける。
「奈々枝ちゃん、本当に良かったの?電車賃おごってもらって。」
「大した額じゃないもの。」
「私だったら、電停3つ分は歩くわね。」
祥子ちゃんはなぜか誇らしげにそう言う。
3人が席に座ってから10分ほどすると、目的のプールがある電停に到着する。
3人は慌てており、通りに車が来ない合間を見計らって、道路を渡り、
外苑の公園に入っていく。
公園の遊歩道をしばらく歩くと、四角い屋外スタジアムの様な建物が見える。
3人が近づくと、入り口には入場券を買う列ができていた。
「子供3人。」
奈々枝ちゃんはそう言うと、3人分の入場券、3円を受付に払う。
「奈々枝ちゃん、悪いわよ。」
祥子ちゃんが、奈々枝に言う。
「いいのよ。友達だから。」
奈々枝は切符を受け取ると、2人に配る。
3人は、入場券の切符をもぎってもらい、中に入る。
「更衣室はこっちね。」
奈々枝に先導されて、祥子ちゃんと佳代子は、更衣室に入る。
更衣室の棚はほぼ90%埋まっていて、3人は開いている所を探し、
学校の水着に着替える。
「祥子ちゃん、佳代子ちゃん、着替えた?
行くわよ。」
3人はシャワーで体を軽く流し、
屋外のプールに出る。
プールは観客席の付いたところで、佳代子は、自分がまるで水泳選手のように思えた。
「早速泳ぎましょう。」
奈々枝はプールに飛び込み、泳ぎ始める。
「それにしても結構人がいるわね。」
祥子ちゃんは周りを見渡し、人の少ないところでプールに入る。
佳代子は思い思いの2人を見て、近くのプールサイドから中に入る。
(結構あったかいわね。)
佳代子はプール内で、軽く跳ねながらそう思った。
それからは、3人で泳ぐスピードを競ったり、
誰が長く潜っていられるか競ったりして過ごした。
「あっ、飛び込み台、私も試してみる。」
奈々枝は、そう言うと、プールから上がり、飛び込み台に向かう。
奈々枝はあろうことか、3段ある内の一番高い飛び込み台から、
男子に交じって飛び込んだ。
着水間際に大きな音がして、奈々枝は水面に吸い込まれる。
しばらくして、奈々枝がゆっくりと、浮いてきて、プールサイドにゆっくりとしがみつく。
2人はそんな奈々枝の所に、プールから出ると、かけていく。
「奈々枝、大丈夫?」
「ちょっと痛かったけれど大丈夫。ちょっと休むわ。」
そう言うと、奈々枝は何とかプールから上がり、
近くのベンチに座る。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫よ。」
それからしばらくベンチで奈々枝は休み、
結局プールで泳ぐことはなかった。
日が沈み始めるころ、3人はプールを出て、
路面電車に乗り、それぞれの自宅へ帰っていった。




