老害の強制執行と奪還の聖女の隠しきれない本音
俺にとっての最高のホワイト職場に、ついに外部からの経営介入(老害)が入った。
この神殿のシステムでは、俺のようなゴミ箱は消耗品だ。
普通は三ヶ月も持たずに使い物にならなくなる。
どれほど肉体をヒールで癒やしたところで、「また汚される」「また尊厳を奪われる」という恐怖が心を焼き切ってしまうからだ。
他にも理由はあるようだが。
だが、俺は元社畜。
明日もまた理不尽な修正依頼が来るという地獄に比べれば、美女たちの熱い汚れを受け止める作業なんて、むしろボーナスステージでしかない。
しかし、それを理解できない連中がいた。
「おい、ゴミ箱!ついて来い!この部屋での業務は本日をもって終了だ!」
突然部屋に踏み込んできたのは、カビの生えた規約を振りかざす老司祭たちだった。
「え?なんでですか!?ここ、めちゃくちゃアットホームで良い職場ですよ?転職の希望なんて出してませんけど!」
「やかましい!聖女様を一人占めし、あろうことか騎士や癒やし手まで私物化するなど、前代未聞のコンプライアンス違反だ!貴様のような『壊れない不良品』は、もっと過酷な『再処理施設(処刑場)』へ送ってくれる!」
「待ってください!有給もまだ残ってるし、引き継ぎも終わってないんです!」
俺の必死の抵抗も虚しく、俺は屈強な神殿兵たちに羽交い締めにされ、連れ出された。
連れてこられたのは、神殿の最下層。
光も届かない、本当のゴミ捨て場だった。
その時だ!
「誰の許可を得て、私の『私物』に手を触れているのかしら?」
暗い地下室の扉が、凄まじい衝撃波と共に吹き飛んだ。
爆煙の中から現れたのは、怒りで髪を逆立て、瞳に神罰の光を宿したエルフレイデ様だった。
その後ろには、殺気全開のヒルダと、冷笑を浮かべたフィオナが控えている。
「せ、聖女様!?これは神殿の規定に基づいた適正な配置転換でして…」
「黙りなさい、この老害ども!!」
エルフレイデ様の怒声が地下室を震わせる。
「私の…私の、世界で唯一の『旦那様(ゴミ箱)』を、こんな薄汚い場所に放置するなんて!万死に値するわ!」
「えっ、今『旦那様』って言いました?」
俺のツッコミに、エルフレイデ様は一瞬顔を赤くしたが、すぐに鞭を振るって神殿兵をなぎ倒した。
「言ってないわ!とにかく!この男は、私の運命の…じゃなくて、私の汚れをすべて受け止めるために産まれた、私だけの特別な『運命の人』なのよ!誰にも一滴だって渡さないわ!」
「聖女様、落ち着いてください。でも、確かに。カイル様をこんな所に閉じ込めるなんて、私の『ヒール』に対する冒涜ですわね♡」
フィオナの魔力が周囲の温度を氷点下まで下げ、ヒルダが剣を引き抜く。
「貴公ら。カイルは、私が唯一『素顔』を見せられる、大切な戦友…いや、生涯を共にするお気に入り(騎士)だ!奪い返した後は、職権乱用で私の部屋に監禁したい!」
「ちょ、みんな、助けに来てくれたのは嬉しいけど、所々に独占欲が漏れてるよ!」
エルフレイデ様は俺の元へ駆け寄ると、乱暴に俺を抱き寄せた。
「バカね、カイル。貴方は私に搾り取られて、ボロボロになって、私の足元で泣いていればいいのよ。それなのに、勝手にいなくなったりして…心配したじゃない、私の大切な…『愛しい雑巾』」
「最後、めちゃくちゃ矛盾してませんか?」
「うるさいわね!帰るわよ!今日の分の『残業』、まだ終わってないんだから!」
こうして、俺の不当解雇は、トップ経営陣(聖女たち)の強引な現場介入によって白紙撤回された。
ホワイト職場どころか、もはや辞めることすら許されない終身雇用へと格上げされてしまったが、俺を抱きしめる彼女たちの腕の震えが、何よりも確かな特別手当に感じられた。




