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ステレス令嬢の華麗なる事情 〜婚約者と兄が恋人同士らしいので、全力で成立させます〜  作者: つるぎまる
始まりは一冊の本から

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8/25

■番外編「気づかないままでいいなら」

番外編です。


第三者から見た、

少しだけおかしな関係です。


 

 最初に違和感を覚えたのは。 いつだったか。 正確には覚えていない。


 気づけば、増えていた。


「また呼び出しか?」

 アルセリアの言葉に、軽く返す。


「合理的判断よ」

 即答。


(……合理的、ね)

 昔からそうだ。

 正しいことを言う。 正しいことをやる。

 だから。

(間違えない)

 ……はずだった。


 ***


 訓練場。

 殿下が、妹を引き寄せた時。

 一瞬だけ。 空気が、変わった。


(……あれ)


 違和感。

 ほんのわずか。


 だが。

 見慣れているはずの光景の中に、 “違うもの”が混ざっていた。

 言葉にするには、足りない。

 けれど。


(……なんか、違う)


 そう思った、その直後。

「ヴァルク、殿下にお礼を」

 その一言で、すべて流された。


(……違うだろ)


 思ったが。 言わなかった。


 理由は、簡単だ。

(説明できねえ)


 そして。

(確信が、持てねえ)


 ***


 応接室。

 アルセリアの提案を聞いた時。

「関係性の安定」

 その言葉で。

(……ああ)

 理解した。


(こいつ、分かってねえ)

 何をかは。 分からない。


 けど。

(何かがズレてる)


 しかも。

(たぶん、結構ヤバい方向に)

 それだけは分かる。


 ***


 そして。 今日。

 廊下で待っていた妹の顔を見て。

(……楽しそうだな)

 そう思った。


 ほんの少しだけ。 口元が緩んでいた。

 見たことのない顔。


 それを見て。

(……まあいいか)

 そう思った。


 本人が納得しているなら。 それでいい。

 はずだった。


 ***


「……無理すんなよ」


 言葉が出た。

 理由は分からない。

 ただ。

 このまま進ませていいのか。

 ほんの少しだけ。 引っかかった。


 ***


 去り際。

 一度だけ振り返る。


 殿下は。 そこに立っていた。


 何も言わずに。 動かずに。

 ただ。

 視線だけが。

 まっすぐに、アルセリアへ向けられていた。


(……あーあ)

 小さく息を吐く。


(面倒なことになってるな)


 分かっている。

 踏み込めば、何かは変わる。

 だが。

 踏み込まない。

 それは。


(俺の役目じゃねえ)

 そう思ったからだ。


 そして。

 その判断が。

 後になって。

 取り返しのつかない“見過ごし”だったと知ることを。


 まだ、知らない。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


この時点では、

まだ誰も“正しく理解していません”。

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