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カイロスの祝福  作者: 沙雪


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14/43

二手

 カラムはやけにセシリオの問いを重く受け止めたようで、たっぷりと視線を彷徨わせた後、心を決め、こちらを真っ直ぐに見た。

「私が一人で考え込んでいても仕方のないこと。皆様はカイロス神の使命を請け負って、いらっしゃっているのですものね。今から話すことが何かの解決策につながるかもしれませんし――私が知りうる限りのことをお伝えいたします。少し込み入った事情がありまして……」

 カラムが話を切り出したところで、忙しく廊下からこちらへ向かってくる足音があって、皆一斉にそちらを向くと、ザハラーン商会の従業員と思われる男が血相を変えて走ってくる。

「お取り込み中に大変申し訳ございません。王家の使いと申される方々がいらっしゃいまして、今か今かと待っておられます。とりあえず、応接室にご案内いたしましたが……」

 カラムはだんだんと忌々しそうに表情を歪め、頭に手をやった。

「その件、私の方で引き受けましょう」

 レジナルドが一歩前に歩みよる。

「しかし……」

「私たちの目的は、元の世界、自分たちの時間軸に戻ることです。お話を伺い、状況を整理してみると、その第七王子の一件、今回の鍵となるのではないかと思われます。第七王子が誘拐された今、この時に我々が来たのも何か意味があるのではないかと」

 レジナルドの発言にテリオスも頷き、

「ある意味、神殿の情報がわかっている我々が、先手で動いた方が状況を動かしやすくなるかもしれない。私も一緒に行こう」

 そう言って、手を挙げる。

 セシリオも挙手しようとしていたので、レジナルドはそれを制した。

「ここからは二手に分かれた方がいいと思うんだ」

「二手に?」

 セシリオは少々納得の行かない表情を見せる。

「王家の使者たちに同行して誘拐事件に直接関わっていく方と、そして、今この世界での情報を正確に収集し、解決策を導く方と」

 レジナルドは上手いこと言ってみるが、本音は誘拐犯や一癖ありそうな王家と直接対峙しなければならないかもしれない場にセシリオを連れて行きたくないと言う気持ちが強かった。もちろん、そんなことは胸に仕舞って、セシリオに伝えることはしないが。

「確かに侯爵の言うことは一理ある。今、この時点で事態がすでに進行しているとわかった。渦中に放り出されたとしたならば、時間との勝負になる。何事もなるべく早く手を打つべきだろう」

 レジナルドに賛同するように、テリオスは頷いてそう言った。

「そう言うことで、カラム殿。私とテリオス卿とで、ザハラーン家の使いとして、王家に向かいたいと思う。宜しいだろうか?」

 カラムは二つ返事で了承する。

「それは問題ありません。全てはカイロス様のお導きだと思いますので」

「じゃあ、僕は神殿と第七王子について調べてみるよ」

 レジナルドとセシリオは顔を見合わせて頷き合う。セシリオに何か言葉をかけてやりたい気持ちだったが、先ほどからカラムの隣でヤキモキとしている商会の従業員の男が横目に入り、そうも言っていられないのだと思い、

「もう、行った方いいでしょうか?」

 王家からの使者を蔑ろにするのもよろしくないと思われたし、何よりテリオスが先程言ったように、先手で動けるなら動いた方がいいとも思う。カラムは隣の従業員の男の方を見て頷いた。息を切らせて入って来たにも関わらず、従業員は冷静にカラムをみて、同じように頷いた。

「では、お二人は彼について行って下さい。そのままの格好では怪しまれる可能性があります。商会で支給している衣服がありますので、そちらに着替えていただいて、その後は彼の指示で向かってください」

「お二人はこちらへ」

 その従業員は戸惑うでもなく、レジナルドとテリオスの二人に対して、手慣れた様子で案内を始める。

「じゃあ」

 レジナルドが歩き出そうとしたところ、後ろからセシリオに強く引き留められ、

「くれぐれも気をつけて」

「うん。お互いに」

 離れた手を名残惜しく思う暇もなく足早に駆け出す。

 


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