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決着(帰還)

 異界の終わりは、あっさりとしたものとなることが多い。

 一瞬、景色が歪んだ、と思えば、元に戻る、という感じだ。

 基本的に、異界の中の状況は、異界が発生した場所に近いものとなるため、異界の中と外で、それほど景色には変化は出ないのだ。


「全員いる?」


 ジェシカの声が聞こえて、ルディランズは目を開ける。

 ブレアとベアトリスに挟まれている状態だが、目の前にはジェシカとアガットがいる。


「む。・・・・・・俺たちはいるが、他は、ちょっと遠いな」

「あら。異界の範囲が広かったのかしら?」

「森の外に出れば、ジェイソンに見つかるだろうさ。冒険者連中は、わかっているだろう」

「勇者サマたちは?」

「問題ない。冒険者が近くにいる。むしろ、俺らだけ離れてるな」

「ありゃ」


 それはしまったな、とジェシカは頭をかいた。

 だが、そこはルディランズに責任がある。


「解除をやるのは、もう少し後にしてもよかったな」

「オーバーフローを起こしかけておいて何を言うか」


 だが、そのルディランズの反論も、ベアトリスがぴしゃりと否定した。


「オーバーフローって?」

「我の魔眼に邪眼の制御。影魔術の操作。バフとデバフの管理に、領域制御。その間での援護魔術。・・・・・・要は、魔術の使い過ぎで、制御しきれなくなった魔力が逆流しかけてていたのだ」

「大丈夫なの?」

「問題ない。発生したら、魔術が失敗して何も起こらない上に、魔力を無駄遣いするだけだ」

「ふ。我に感謝せよ!」


 ばーん、とベアトリスが胸を張る。


「・・・・・・まあ、そうな」


 ベアトリスが、あふれた分の魔術制御を引き受けてくれたからこそ、最後の魔術『界重破潰』は成功した。

 その分を否定するつもりはない。

 なんだか腹立つが。


「『破魔』の影響が、自覚のない範囲で響いたな。もうちょい低下率を強く見積もるべきだった」


 ふん、とルディランズは息を吐く。


 ともあれ、


「こっちも、解除は済んだ。森を出ようか」

「そうね。そうしましょうか」



*****



 森の外で待っていたジェイソンは、森から流れてくる魔獣やモンスターがにわかに増えたことを見て取った。

 森の外に残った冒険者を指揮して、それらがアビロア方面へと流れないように防衛をしつつ、森の様子を見る。


「・・・・・・終わったか」


 森の中から感じていた、奇妙な気配が消えている。

 異界が消えたのだろう。

 となれば、推測はできる。


「さあ皆。もう少しだ。この波を超えれば、終わる! 気張れ!!」

「応!!」


 そして、いくらか出てきた魔獣やモンスターを倒すと、


「出て来たか」


 ふう、とジェイソンは息を吐く。

 聖遣隊を戦闘に、森の中から、異界へと突入した面々が出てくる。


「・・・・・・足りんな」


 森から出てくる一団に、『虹の飛島』のメンバーがいない。

 森から出てきた冒険者に聞けば、少し離れたところにいたという。


「なるほど」


 ならば、いずれ出てくるだろう、と思えば、確かに出てくる。

 ただ、その傍らに、巨大な犬の親子を連れていた。


「・・・・・・神犬、か?」

「お、ジェイソンさん。全員無事ですか?」


 ジェイソンを見つけたジェシカが、手をあげて声をかけてきた。

 ジェイソンは、それにうなづきつつも、犬の神獣へと目を向ける。


「負傷者はいくらかいるが、死者はいない。・・・・・・それより、そちらの犬は?」

「あー、帰る途中でね・・・・・・」


 ジェシカが、頬をかいている。


「帰りに、見つけてさ。ルディランズとベアトリスで治癒魔術かけたら、ついてくるって」


 ジェシカが言うには、魔王にやられて怪我をしていた親犬だが、魔王を倒したことで治癒魔術が効くようになったという。

 それで、帰りに見つけたルディランズとベアトリスで、治癒魔術を使いながら、ここまで歩いてきたらしい。

 とはいえ、


「ルディとベアトリスちゃんも、治癒魔術は得意じゃないから、治癒師呼んでもらっていいかしら?」

「わかった。とりあえず、だ」

「うん?」

「討伐ご苦労。今回は、大戦果だぞ」

「ふふ。いいわね」


 ジェシカは、にこりと笑った。


 ここに、魔王討伐は完了した。


 負傷者多数。されど、死者はなし。

 魔王討伐としては、最上と言っていい結果であった。

・魔術の安全装置

魔術は、失敗しても暴発はしない。

ただ、何も起こらず、魔力の消費のみ発生する。

これは、魔術を使う詠唱の中に、魔術が失敗した場合に暴発などを起こさないようにするためのものが含まれているため。

そのため、魔術の失敗は、魔術師が余計な魔力を多量に消費するだけで、暴発などは起こらない。

技量のある魔術師なら、詠唱の中からこの失敗帽子の部分を排除して、消費魔力を少なくすることもできるが、そうすると魔術を失敗したときに、周囲に膨大な被害をもたらす場合がある。

そのため、暗黙の了解として、魔術の安全装置の存在は、自分で気づくまでは教えてはいけないことになっている。



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よろしくお願いします。


別のも書いてます

『竜殺しの国の異邦人』

https://ncode.syosetu.com/n0793he/

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