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戦闘-聖遣隊(4)

 うらああああ、と叫びが響いている。

 それは、キマイラと取っ組み合いを行う、ライゴウという巨大ロボットから放たれる音だ。

 音、というか、声だ。

 中に乗っている、ソウタの声である。



*****



 ライゴウの操作は、自分の肉体の操作と同期している。

 搭乗したソウタの動きが、そのままライゴウの動きになる。

 それだけに、


「どりゃあ!」


 まっすぐな蹴りが、キマイラを蹴り上げる。

 まるで、サッカーボールを蹴り上げるようだ。


「とおお!!」


 クローが装着された腕が、振り下ろされる。

 まるでもぐらたたきをするような振り下ろし方だ。


「てい!」


 肩から、キャノンが放たれる。

 その間、ライゴウは直立している。


「・・・・・・あいつ、戦い方下手だよなあ・・・・・・」


 宝の持ち腐れだ、とゼットは思う。

 ソウタは、ある時不意にこの世界に現れた異相存在だ。

 大体は、異世界転移者、と自分たちで名乗る。

 そういう存在で、昔からよく確認されている。

 大概の場合、周りの人に迷惑をかけつつ、この世界の常識を学ぶか、好き勝手やって討伐される。


 ソウタは、その中で、ライゴウと一緒に発見された。

 発見されたのは、ライゴウのみである。

 ある日、唐突に、朝日が昇った時、平原のど真ん中にクレーターとともにライゴウがあったのだ。

 最初に発見したのは、ベイナスのパーティーだった。

 当時、五人パーティーだったベイナスだが、ライゴウを発見した後、教会にライゴウが回収されるのを見届けた。


 その後、突然ライゴウが起動。

 運び込まれた教会を半壊させる。

 止めるため、聖遣隊は戦ったのだが、途中でライゴウからソウタが排出され、ライゴウは消失。

 ソウタは、異相存在として保護され、ベイナスが監督者となった。


「仕方がない。彼は格闘については素人だからね」


 ベイナスが苦笑とともに語る。

 ソウタは、自分がライゴウを使って立派に戦っているように思っているかもしれないが、はたから見ていると、巨大であること以外では、その動きは素人同然だ。

 ライゴウ、というロボットの能力に助けられている。


 ぶっちゃけて言ってしまうと、ソウタは聖遣三番隊の中では、最も足手まといである。

 後衛で一番力がないノノでさえ、ソウタに格闘で勝つことができる。

 銃の威力や、ライゴウの戦力がずば抜けているが、それ以外が平凡以下だ。


 ベイナスがソウタにライゴウの使用を禁じているのは、最初にライゴウが暴走して教会を半壊させたこともあるが、それ以上にライゴウを使っているとソウタがいつまでも強くならないからだ。

 ライゴウの性能は、ソウタ自身の格闘の能力によって引き出される。

 そうである以上、ソウタ自身を鍛える必要がある。

 ソウタもそれはわかっているから、ベイナスの言葉にはよく従う。

 ただ、やっぱりちょっと調子に乗っているところはあるが。


「ゼット。あちらは大丈夫だから、こっちを片付けよう」

「そうな」


 ヴォーがキマイラに殴られているから、ゼットとベイナスで両側から攻撃することで、気を逸らす。

 そこに、落雷。

 しびれたキマイラが動きを止めた。

 その間に、ユリアの回復術がヴォーの体を癒す。


 その繰り返しは、確実にキマイラを削っていた。

 キマイラには、自己再生能力がある。

 だが、落雷はキマイラに帯電する。

 さらに、ゼットが打ち込む投擲具はキマイラの自己再生でも取れず、その肉に食い込み、動きを悪くしていく。


 徐々に、キマイラの動きが鈍くなっていく。

 そして、ベイナスは握る聖剣の柄をちらり、と一瞥した。


「決めよう。力が溜まった」


 タイミングを見極め、ベイナスは、聖剣を構えなおした。


「第二聖鍵『バラリス』」


 聖剣が輝く。


「ルクセル流聖剣術『神慮一刀』」


 その輝く聖剣が、振り回された。


 斬撃は一閃。


 だが、そこから発生した光の斬撃が、キマイラの残った獣の部位をそれぞれに切り裂いた。


「封鍵」


 聖剣がまとっていた輝きが、す、と消失した。


「・・・・・・ふう」


 ベイナスを構えを解いたとき、ずずん、と地響きを立て、キマイラが崩れ落ちた。

 その体は、ぴくりとも動かない。


「どうだい? 調子は?」

「問題ない。だが、やはり呪いがあるな」


 ベイナスの握る聖剣。

 そこに、黒いもやのようなものがまとわりついている。


「聖剣がなくとも耐えられるだろうし、ユリアならば解呪もできそうだが、まあ、念のためだ」


 ふい、と聖剣を軽くふるうと、そのもやは払われた。


「よし、終わりだ」

「じゃ、ソウタの援護にいくかい?」

「もちろん・・・・・・」


 ライゴウとキマイラは暴れている。

 そちらに向かって、ベイナスは走り出した。

・聖剣術

勇者が聖剣を振るうための剣術。

過去に剣が得意だった勇者ごとに流派があり、勇者たちはそれぞれに学んで相応の剣術を身に着けている。

素の聖剣は、特殊な力は特にない、性能がいいだけの剣である。

だが、その性能の良さを活かすための剣術が、聖剣術である。

その多くは、勇者としての力を聖剣に込め、それによって剣術自体の性能を上げるもの。

大体は、剣が光って輝く、派手な技である。



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よろしくお願いします。


別のも書いてます

『竜殺しの国の異邦人』

https://ncode.syosetu.com/n0793he/

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