戦闘開始-聖遣隊(2)
ソウタ・サイオン。
聖遣隊三番隊所属の黒髪の目立たない風貌の少年だ。
まだ年若い彼だが、彼が持つ『銃』は、魔力や神力、あるいは、精霊や竜など、既存で確認されている力とは違う力で稼働する。
ソウタが使える『銃』の種類は、四種類。
リボルバー、マシンガン、ショットガン、ライフルだ。
それぞれ、弾薬はソウタがカートリッジ、と呼ぶものに、何かしらの力を込めることで弾薬とできる。
込める力は、魔力でも神力でも何でもいい。
力を込めたカートリッジを、弾倉部分に装填することで、『銃』は効果を発揮するようになる。
この『銃』は、ソウタしか使えない。
ソウタが、『この世界』で目を覚ました時から、ずっとソウタの手元にある、ソウタの命綱だ。
そして、ソウタが持っている、ソウタだけが使える力がもう一つある。
「来い! ライゴウ!!」
銀の輪を付けた左腕を上に掲げ、ソウタが叫んだ。
その瞬間、銀の輪が広がり、ソウタの左腕が銀色の篭手に包まれる。
さらに、ソウタの背後の空間が歪み、そこから巨大な影が現れる。
それは、人の形をしていた。
全身が未知の金属質な素材で構成されており、銀色の甲冑のようにも見える。
頭部は獅子をかたどっており、その頭部から生えた頭髪に似た繊維が、鬣のように後方に広がりながら伸びている。
両腕は太く、先端には鋭い爪の武装がついている。
両肩には、筒のような部品。
腰にあるベルト状の部品の中央には、宝石のように輝く赤い玉がある。
そして、胸の中央には、青い球がついており、左腕を掲げていたソウタが、その中へと吸い込まれていった。
「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」
スピーカーで増幅したような、巨大な声がライゴウからとどろいた。
それは、中に登場したソウタの気合の声だ。
ライゴウは、搭乗者であるソウタの、気合で動く。
気合の声に応え、ライゴウは、両腕を上げて、構えを取った。
「「「ベイナス! 一体は俺が抑える!!」」」
内部から聞こえるソウタの声は、やはりスピーカーで増幅したようにとどろく。
その声に、ノノは顔をしかめた。
「やっぱ、やかましいわ。あれ。封印して正解よね」
「別に、それが理由で使わせないわけではないのだが・・・・・・」
ベイナスは苦笑しつつも、聖剣を構える。
「ヴィクター流聖剣術『シャリオーン』」
上段から振り下ろされた聖剣から、光がほとばしった。
その光は、壁のように地面を割りながら進み、二体のキマイラの中間に入る。
光の斬撃をさけて、キマイラは両側へと別れて跳んだ。
「ソウタ! 右を頼む!!」
「「「了解! 任せろ!! うおおおおおお!!!」」」
ソウタが叫び、ライゴウが突貫する。
その際、鬣のような頭髪部品が発光し、ライゴウの動きが加速した。
一瞬でキマイラとの距離を詰め、
「「「くらえーーーー!!!」」」
振りぬかれた腕の爪の武装が、光を放ち、キマイラを強打した。
切り裂かれてもおかしくないが、キマイラもさるもの。
何かの障壁のようなものを張って、その攻撃を防御したらしい。
衝撃に後ろへと飛ばされる程度で済んでいる。
だが、そこからソウタは、さらに追撃を行う。
ライゴウの能力は、鬣にも似た頭髪部品にエネルギーを蓄え、それを放出することで推進力と攻撃力に変える。
その際、強く発光するため、よく目立つ。
ライゴウの攻撃を避け、キマイラは素早く距離を取る。
そこから、口を開いて、咆哮とともに炎を吐き出した。
「「「あまい!!」」」
腰の赤い球が輝き、ライゴウの前に障壁が現れ、その炎のすべてを防ぎきる。
「「「次はこっちの番だ!!!」」」
腰だめに両腕を構えたライゴウ。
その肩についていた筒状の部品から、ソウタの『銃』から発射されるような光る砲弾が放たれた。
キマイラに着弾したそれは、爆発を起こし、キマイラがその痛みに悲鳴を上げ、さらに離れようとする。
「「「逃がすか!」」」
ライゴウは、加速。
一歩の跳躍で、キマイラのそばまで移動した。
そして、両腕の爪で、キマイラの体を押さえ込み、
「「「トドメだ!!!」」」
両肩のキャノンが、近距離で炸裂する。
*****
「・・・・・・うわあ、派手」
『決戦』の外で、ルディランズは魂現の目を使って、『決戦』の中の様子をうかがっていた。
「なんだあれ?! 恰好いいな!!」
パスによって視界を共有しているベアトリスが、その様子を見て興奮していた。
「ロボットって呼ばれてる異相存在だな。あれを呼び出せるってことは、そうか、あのソウタってのは、異相界から来たのか」
「異相界?」
「本人たちは、異世界から転移してきた、って言ってるタイプ。・・・・・・実際、この世界とは全く異なる歴史とかを知っているらしいが、誰もその存在を証明できないんで、結構議論になってるやつ」
「ほう」
「まあ、異相存在なんて、大概そんなもんだが」
『力ある隣人たち』
その中で、唯一人類と共存可能であり、また自分たちの世界を持たない、『隣人』
それは、世界の外からやってきて、そしてまた世界の外へと帰っていく。
ただ、頼もしい世界の仲間であることは確実だった。
・ロボット(搭乗型)
異相存在。要は、この世界とは別の軸を持った世界の法則によって生まれた存在。
その中の極致、ともいえるもの。
本来は、呼び方がいろいろあるのだが、ロボットを使える異相存在が総じて、『ロボット』と呼ぶため、この呼び名で定着している。
世界に存在するいかなる力とも違う力を動力源とし、謎の技術で動く。
兵器としては理不尽なくらい強力で、一機あれば軍隊とも渡り合える。
もっとも、そのロボットを単独で圧倒するような化け物がいるのも、この世界だったりする。
使い手の協力を得て研究をしているところもあるが、その技術の解明は全く進んでおらず、現時点ではかなり劣化したゴーレムを作るぐらいが関の山となっている。
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別のも書いてます
『竜殺しの国の異邦人』
https://ncode.syosetu.com/n0793he/




