表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/197

魔王の軍勢(2)

 魔王の軍勢の攻撃を続く。

 地上を走る巨獣の第一陣。

 そのあとに続く、小動物の第二陣。


 そして、次だ。

 鳥や虫のモンスターによる、上下の挟み撃ち。


「こっちにもくるかね」


 ルディランズがぽつりとつぶやく。

 敵の中でも、鳥は前線を飛び越え、直接本陣を狙っている。

 本陣を守るメンバーから、矢や魔術が飛び、迎撃していく。


「迎撃開始、と。・・・・・・ウィシア」


 ルディランズが声をかけると、身の丈より大きい杖を持ったウィシアが近づいてきた。


「はい。先生」

「迎撃。俺はもうちょい戦況を見る」

「こちらは?」


 横にいたフィアマが聞いてくるが、そちらにはジェシカが指示を飛ばす。


「フィアマは待機。ウィシアのサポートしてやって」

「了解」

「お願いします」


 ウィシアは、亜妖精種族のエルフとしては珍しく、精霊術より魔術をよく使う。

 ルディランズに教えを受けていることもあるが、本人が魔術を好むからだ。


「他メンバーは待機。力を温存しとけ」


 『虹の飛島』の役目は、魔王が出てきた後、聖遣隊が攻め込むときの露払いだ。

 それまでに力を使い果たしてもいけない。


「・・・・・・」


 ルディランズは、森の奥をにらみつけている。

 まだ、何かがいる。

 その気配はあるのに、見通せない。


「この感じは、アレだなあ」


 いやな予感しかしない、とルディランズがぼやいている間にも、戦況は動いている。

 鳥や虫など、それほど大型にはならないものだ。

 それらのモンスターは、次々と迎撃されていく。


「さすがに、討伐専門の『紅炎遊撃隊』。軍勢規模でも強いわねー」


 ジェシカの感嘆が示す通り、戦況は冒険者優位で進んでいる。

 魔王の軍勢より、冒険者の方が明らかに数が少ないが、損耗は冒険者の方が軽微だ。

 軽微、というか、ほとんどない。

 岩壁と大楯による簡易の壁と壕を作ってからは、戦闘する部隊と休憩する部隊とに分けて、ローテーションで戦闘する余裕まで見せている。


「うーん。安定感すごいなあ・・・・・・」

「ノウハウがあるってのは強いね。さすがに」


 危なげなく魔王の軍勢は減っている。

 後方の拠点を作った準備も、これならいらなかったのではないか、とすら思えるほどだ。


「油断するな。まだまだ続く」


 本陣で言い合っている『虹の飛島』の面々だが、ジェイソンはそんな雑談をたしなめる。


「油断はしてないとも」

「とはいえ、このまま待機しているのも、暇ではあるけどねー」


 アガットは、真面目にうなづくものの、ジェシカはくすくすと笑っている。

 もっとも、気を抜いているように見えても、ジェシカは本陣の迎撃を抜けてきた鳥型のモンスターを、足元から拾った石を視線もやらずに投げつけて迎撃している。


「ルディランズ。どう? 何か変わった?」

「・・・・・・変わっていない。たぶん、まだ一割も吐き出していないな」


 戦闘が始まったのは、朝。

 すでに日は中天を越えているが、魔王の軍勢が出現する勢いは衰えない。


「場合によっては、一回俺たちが当たって敵の勢いをそいで、前線を下げる必要もあるかもな」

「どうかしら。『遊撃隊』なら、三日か四日は、この戦線維持できるでしょ」

「できるから、といって、やらせていいものか。『紅炎遊撃隊』は、軍勢に対する主力だぞ。まだ敵の全戦力が見えていない段階で、消耗するのはきついかも、だ」

「そういう判断は、ジェイソンさんに任せておけばいい。それより、ルディランズは戦況の把握を優先。俺たちは、本陣の守りをしつつ、後方拠点と連絡役だ。ビアンは、物資の運搬を受け持て」

「了解ッス」


 ともあれ、まだまだ戦闘は続くのだ。



*****



 ふん、と剣を振るい、襲い掛かってくるモンスターを両断する。

 魔獣とモンスターの混合軍である魔王の軍勢。

 前線で戦う『紅炎遊撃隊』の一人は、モンスターを切り捨てて、次と構える。

 周囲では、仲間が背中をカバーしており、目の前の敵に集中して戦えている。


 モンスターたちは、連携というものをあまり考えない。

 魔王の軍勢は、指揮をされているから簡単な連携を取ってくる、というが、魔王が前線に出てきていないからか、その攻撃は散発的、と言ってよかった。

 ただ、近くにいる冒険者に向かってくるだけ、と簡単な相手である。


「ふ!」


 また一体。

 鋭く振りぬかれた剣は、たやすくモンスターを両断する。


 冒険者は、ライセンスカードからバフを受ける。

 そのバフは、レベルが高くなればなるほどに強くなる。

 また、アーツやスキルを得ることも可能だ。


「は!」


 剣が燐光をまとい、威力を増した斬撃で、一回転。

 周囲をかこっていたモンスターが、次々と切り伏せられる。


「スイッチ!!」


 声を聴いて、後ろへと下がる。

 すると、今度は槍を構えた仲間が、今までいた位置に入り込み、


「やあ!!」


 掛け声とともに放たれた突きは、槍先が分裂でもしたかのような乱れ突きとなり、モンスターの群れを押し返した。


 戦場のあちこちで、似たような光景が繰り返されている。

 ライセンスから手に入れられるアーツやスキルは、発動に体力や魔力を消耗するものもあるが、その分だけ強力だ。

 非力な人間が、強大な敵と戦うために編み出した技術である。


 まだ、戦闘は続いている。

・アーツとスキル

ライセンスによるバフで得ることができる技能。

アーツは技、スキルは能力という分類。

試練迷宮をどう攻略しているかや、持っている技能、努力の種類などによって、取得できるものは変わる。

なお、どちらもライセンスのバフに頼らずとも、訓練などで得ることもでき、ライセンスで得るよりもそうした努力で得た方が、能力の質は高い場合が多い。

アーツなどは、ライセンスで取得した後、それを元に訓練して自分のものとして習得する、というのが、冒険者としては一般的な流れ。



------------------------------------------------------------------

評価などいただけると励みになります。

よろしくお願いします。


別のも書いてます

『竜殺しの国の異邦人』

https://ncode.syosetu.com/n0793he/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ