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素材集め(4)

 ルディランズは、自他ともに認める魔術バカである。

 魔術の研究のために、数日研究室にこもる、なんてことはざらにある。

 その実践のために、冒険者の仕事をしている、といっても過言ではない。


「・・・・・・それで、魔術師としてはきっちり実力があるんだから、やりきれないわ」


 ふん、とフィアマが吐き捨てたのを、ミリディアがまあまあ、となだめている。

 ミリディア・ジサーは、冒険者というには、品のある女性だ。

 手入れのきちんとされた銀髪や肌のおかげで、美人、という形容が綺麗に当てはまる。

 いつも穏やかに微笑み、所作も丁寧で上品なことから、貴族相手の折衝役などをつとめることもある、『虹の飛島』の古参メンバーである。


「同門、というのは聞いていますけれど、昔からああだったんですか? ルディ君」


 穏やかな調子で聞かれて、フィアマは肩をすくめる。


「ルディランズが師のところにいた時期は、もうこちらも冒険者として外で活動していたから。正直、その時期の話は知らないのよね」

「あら」

「ただ、森に帰った時に師のところに寄ったら、ルディランズの話をされてね。ちょっと興味が湧いて会いに来たら、ジェシカに捕まったわ」

「あらあら。あの子、これは、と思った人はすぐ仲間に誘いますからね。わたくしたちの時もそうでした」


 ふふふ、とミリディアは穏やかに笑う。

 実際、『虹の飛島』のメンバーは、そのほとんどがジェシカに勧誘されてメンバーに入っている。


 拠点の居間。

 そこで、ブレアはフィアマ、ミリディアの二人と茶を飲んでいた。

 ルディランズは、ちょっと待ってろ、と言い置いて、地下に消えていった。

 拠点の共有のアイテムボックスから、残りの素材を回収するつもりらしい。

 そのためには、素材を管理しているサポートチームと話をする必要があるとか。

 在庫確認のためにも、そういう手続きは必須なのだ。


 ともあれ、それでぼんやりと居間部分で待っていたら、そこにフィアマとミリディアが通りがかったのだ。

 そのままお茶に誘われたが、ブレアがルディランズについて質問したら、先ほどの回答である。


「ていうか、人間がエルフに魔術を教わるとか、意味が分からないわ!」

「そうなんですか?」

「ああ、ブレアちゃんは知らないのですね」


 んー、とミリディアは顎に手を当てて、少し言葉を選んだ。


「ええっと、種族固有の種族魔術については、分かりますか?」

「獣人の化生術、みたいなのですか?」

「ええ。わたくしやルディランズのような、ただの人間だと、なかなか発動が難しいのですが、特徴を持つ人だと、種族魔術を発動します。・・・・・・亜妖精種族の場合は、精霊魔術ですね」

「精霊は力ある隣人として、既に精霊界に行ってしまっているけれど、その一部と亜妖精種族は交信ができるの」


 ミリディアから説明を引き継いで、フィアマが口を開く。


「精霊魔術は、その精霊に魔力を渡して、代わりに魔術を使ってもらう魔術。性質上、通常の魔術より威力の大きい魔術が使えるし、亜妖精種族は、基本的に魔力の扱いが上手いから、普通の魔術でも上手にできるわ。だから、人間よりエルフの方が魔術は上手い、というか、エルフの魔術技術は、人間には真似できないから、学んでも無駄なのよ」


 普通はね、とフィアマは吐き捨てる。


「でも、ルディランズはどういうわけか、エルフの師の元で魔術師としての修行を積んで、ほんの短い時間である程度修めたっていうんだから、やりきれないわー」


 ちなみに、フィアマは師から外に出る許可を取るまでに、百年ほどかかったらしい。


「で? あいつ今なにしてんの?」

「素材を集める、とかって」

「素材?」

「私の装備を作る、と」

「・・・・・・自作する気? ヴォノンさんとかいるのに?」


 ヴォノン、というのは、『虹の飛島』のサポートチームに所属する、鍛冶師である。

 『虹の飛島』メンバーの装備の整備などを、一手に引き受けている。


「なるほど。それで、ルディ君。ヴォノンさんのところに行ったのですね」

「素材集め? 何作る気かしら?」

「魔術を使って、儀式的に一気にやるんでしょうね」

「まーた、裏技的なことやる気? あいつ、非効率極まりないわ」

「あらあら」


 け、と吐き捨てたフィアマと、苦笑を浮かべるミリディア。

 その後ろから、


「ブレアー。ちょっと来ーい」

「はい」


 ルディランズに呼ばれ、ブレアは立ち上がる。

 それから二人に目をやると、


「行ってらっしゃい」

「気をつけてね」


 ペコリ、と一礼して、ブレアはルディランズが呼ぶ方へと向かった。

・アイテムボックス

異界核から作成される道具。

作成方法によって、見た目や性能は様々。

共通しているのは、ほぼ無限の容量を持つこと。

異界が発生する原理を使って、内部空間を確保しているため、ある程度性質を付与できる、という特徴がある。

劣化を止める、以外にも、冷却したり、逆に加熱を行ったり、乾燥させたり、内部で植物を育てたり、といろいろできる。

生物も中に入れることは可能だが、人間を入れられるようにしたアイテムボックスは、原則として作ってはいけない。

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