学年1の問題児論争
(あーあ.....E257早退しちゃったけどどうしようかな)
僕、街路樹は長いこと切ってない爪をガリガリ噛みながら悩んでいた。
それは高校生活初日なら誰もが悩むであろう難題、誰と帰るかだ。
今日はE257と帰る予定だったが2時間目終わりにいきなりE257が「この後の授業だるいし帰る」
といい早退してしまった。
同じ中学出身の子はE257以外いない。
この事実に僕はうーん、と頭を悩ませていた。
今までの様子を軽く振り返るに男子陣だとがどど、びっくらあたりが僕が一緒に帰りやすい人物だろう。
ゲームは全くしないためよこよとは話しが合わなさそうだし申し訳ないが暑苦しい男は苦手だからまるとも帰りづらい。絶滅はめろと随分アツアツなようだから邪魔できない。
そう考えるとあの2人が僕と一緒に帰ることに適した2人だと言えるだろう。ついでにサクッと友達作りもできる。
なかなか良いではないか。我ながら名案だ。
そんなことを考えつつがどどたちに話しかけに行こうとすると、いきなりガーン!と大きな音を出して何者かが勢い良く扉を開ける。
「おい!このクラス1の問題児は誰だ!」
「誰だ誰だ!」
1人はなぜか老けて見える髪の毛がないハゲ、もう1人は身長が150後半程度のこじんまりとした女の子。
「うわ、面倒臭い奴らがきた。」
「ん?誰だ?」
「どわーw高校入ってもそんなことしてるの、きちーw」
「おーい、街路樹くん、だっけ?そいつらめんどくさいから離れた方がいいよ〜」
めろがどこかふわふわとした声で僕に注意する。
「......誰だ。お前ら」
「人に名を聞くときはそちらから名乗るのが礼儀だろ!」
「礼儀だろ!」
なんでいきなり現れて訳のわからない質問するくせに礼儀は重んじるんだ。わけがわからない。
「僕は街路樹、問題児じゃない。君たちは何者だ?」
困惑しながらも僕はしっかりと自己紹介をし少しずつ後ろに下がりながら質問する。
「俺は田代まさし!すぅぅの兄貴分でこの学年1の問題児になる漢だ!」
「あたしはすぅぅ!田代まさしさんの弟分でこの学年2の問題児になる女だ!」
僕はどんな反応したら良いのかわからず困惑してしまう。
(何を言ってるんだこいつら.....本当に高校生か?)
「ちょっと田代さん達〜?めろ達が楽しく雑談してる時に雰囲気ぶち壊さないでくれな〜い?」
「めろ、知らないのか!真の問題児ってのは誰がいようと関係ないんだぜ!」
「関係ないんだぜ!」
「はぁ.....ほんっとあんたらと喋ってると疲れるわ。がどどとびっくら、相手お願い。絶滅くん、怖いよ〜ナデナデして〜」
めろががどどとびっくらの背中をドンっと押す。
「へ?ごめん何の話だ?」
「面倒臭いの押し付けないでもらえるかな。こいつらが納得できる答えを俺1人で出せと」
「なぜびっくらは人数としてカウントしないんだ」
「あ?呼んだかー?」
「呼んでいない.....あんたもさっきまでのこいつの様子見てたらわかるだろ。こいつが戦力になるわけがない」
なかなか酷い言われようだ。
「で、このクラス1の問題児は誰だ」
「誰だ誰だ!」
「そいつらを聞いてどうするんだ?」
僕は少しだけ歯の付け根がカチカチ震えてるのを感じながら勇気を出して質問する。
「決まってるだろ、そいつと決闘する」
「決闘するんだぞ!」
「えーっと.....問題児か」
「言っておくが、その回答が的外れだとわかったらお前のことをぶん殴るからな!」
「ぶん殴るからな!」
これはどうしたら良いのだ。僕は髪の毛を軽くいじりながらがどどの方を向き、悩んでいますの表情を見せつける。
「.....そんな顔されてもだ。そいつらの納得の行く答えを出すしかないぞ。ほら、がんばれ」
がどどに肩をポンポンと叩かれ任せたとでも言いたげな表情で笑いかけられる。お前もびっくらと同じで何もしてないじゃないかとツッコミながら考える。というかびっくらはいつの間に消えた。
「えーっと、このクラス1の問題児か.....」
「このクラス1の問題児だ!早く言え!」
「早く言え!」
「このクラス1の問題児は、僕が思うにE257だ」
「ほう!でそいつはどこにいる」
「どこにいる!」
「今はいない。さっき早退した」
ごめん、E257。心の中で謝りながらもまぁ正直仕方がないと思っている。
最初は変な奴と思われるが自己紹介を通すとE257はまともに見える。
しかし普通に関わってくるにつれE257のやばさが露呈していく。面倒臭いからで授業をさぼる、お腹が減ったからで万引きはする、当たり前のように子供料金で電車にのる、すれ違い通信をしたいとか言い出して学校にDSを持ってくるなど、とにかく色々だ。
僕頭をぽりぽりと書きながら言う。
「今はいないんだよそいつ。だからまた今度来てくれないか?」
「また今度っていつだよ!」
「いつだよ!」
「あいつは相当サボり癖あるから、1ヶ月後くらいにきてくれ」
「......信じて良いんだろうな?これで期待外れだったら、わかってるよな?」
「わかってるよな?」
とても低い声で脅され思わず肩がビクっと震える。
「あ、あぁ。わかってるよ。期待を裏切るようなやつじゃない。実際に会ってみたらわかる」
「.......ふーん、そうかい。ならまた今度来るぜ。おいすぅぅ行くぞ!」
「アイアイサー!」
そう言うと田代まさしとすぅぅは3組の方にドタドタと走って行った。
「街路樹、くん?災難だったね。初日からあんなやつらに絡まれて」
「いや、大丈夫だ。僕の身を案じてくれてありがとう。ところでがどどはどこへ行った?」
彼らと帰るのが僕の本来の目的だ。
「ん?あぁがどどならさっきびっくらを追いかけて後ろの扉から帰って行ったよ。何か要件でもあるー?私が伝えるよっ」
僕は開いた口が塞がらなかった。
「.......いや、なんでもないありがとう。じゃあまた明日」
「街路樹君気をつけてね〜」
はぁ。飛んだ災難だった。
がどどとびっくらと帰るという目的は潰れたし変な奴らにも絡まれ、万が一E257が期待に応えなかった場合僕はきっと酷いことになる。
初日から最悪なスタートダッシュを切ってしまった。
けど、推測だが言えることがただ2つある。
こんな災難はまだ序の口だってこと。
そして
飛んでもなくおかしな学園生活になりそうだということ。




