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31話 『アレキサンドライト王国』誕生

 私はまだ「夢の中」にいる。


 ***

 王歴1066年12月。


 ―――――私が書いた小説の筋書き通り、フロライト王国は滅亡し、『アレキサンドライト王国』が誕生した。―――――


 紆余曲折混沌を極めた協議の結果、初代国王に悪魔『べリアス』が()()即位。

 新国王となったべリアスは、妖精族の元執事見習の二十歳の青年スチュワート・ロズブレイドを宰相に抜擢し、「悪魔、天使、妖精、人間、人魚……すべての種族が平和に暮らせる国づくりを目指す」と高らかに宣言。


 貴族制度を廃止し、教育・医療体制の強化、インフラ整備……などなど。これでもかというくらい、前政権と真逆の政策を掲げた。


 加えて、急襲してきたノール帝国を牽制するため、ジェダイド帝国との同盟を提案。


「んじゃ、今うちの城(バンディ城)にジェダイドの”ゲオルグ・キース”つぅー高貴な感じの奴がいっから聞いてみっか?」(by.アスモデウス)


「はい? ゲオルグ・キース……キース……ゲオルグ……現ジェダイド皇帝の異母兄殿下ではありませんか!?」(宰相スチュワート)


 さっそく、新宰相に就任したスチュワート・ロズブレイドが「謁見を賜りたい」とバンディ城に来城してきた。


 アスモデウス殿下は何もかもすっ飛ばし、ゲオルグたちが滞在している部屋へ直行していくのであった。―――――


 コンコン、ガチャ


「おうゲオルグ。こいつが、ちぃーっと相談があるって。ほれ」(スチュワートの肩をポンと押す)


「え、あの、こ、この方が!?」(焦るスチュワート)

「クス……どのようなご相談でしょう?」(外交スマイルのゲオルグ)

「あ、いえ、その、大変失礼したしました!(小声)アスモデウス殿、謁見はキース殿下の了承を取ってからと申し上げた筈ですが?」 

「クスクス……構いませんよ。それで、どのようなご相談でしょうか? こちらにどうぞ(隣の席を進める)」

「ああっ、そっ、そのような……」

「クス……さあ」

(ゲオルグが立ち上がってスチュワートの手を取る)

「っ……、で、では、恐縮ながら失礼します!」


 宰相なりたてほやほやのスチュワート様は顔を赤く染め、懸命に説明を始めた。だが、七三に分けていたであろう髪は、(アスモデウス殿下にやられたのか)わしゃっと乱れ、説明する声も緊張でところどころ裏返っている。今のスチュワート様は、まだ20歳。初々しいにも程がある。

 しかも、ラッキーなことに、スチュワート様は説明に必死すぎて私(氷の魔女ヴィティ)の存在に気づいていないご様子。ゲオルグにワタワタするスチュワート様を、じっくりと観察…………温かい目で見守る私であった。


 これが15年には、立派な冷徹無表情イケメン宰相になっているのかと思うと……


(※ちなみにヴィティは、ゲオルグの部屋にお茶しに来ていた。)


 ***


 「……同盟締結がなされましたら、貴国の鉱物資源と交換に、直ちに食糧支援と、農業技術者の派遣をお約束いたします」


 ジェダイド帝国は、前政権時代から慢性的な食糧不足に悩まされていた。


(ジェダイド帝国は、元より農作物が育ちにくい土地であったため、古代より森に住まう妖精族と協力し合うことで、農業は徐々に発展していった。だが、前皇帝が行った民族浄化政策で妖精族を排除したため、深刻な食料不足に陥っていた。)


 ジェダイドで腐るほど採掘される宝石や魔鉱石と交換に、食糧支援と農業技術者の派遣。ジェダイド側にとって願ってもない好条件―――――なのにゲオルグは、


「クス。いいと思いますよ(外交スマイル)。陛下に伝えておきますね」


 ガッつくと思ってたのに、ゲオルグは至極あっさりと返答した。


 若ーい宰相くんに、帝国の弱点を突かれたみたいで嫌だったのかな?

 というか、ゲオルグの外交スマイル。普段の笑顔を知ってる私から見ると、なんか怖い。


 そんなゲオルグの薄っい反応に、スチュワート様が青ざめた。


「え、ああっ、ほ……ほかに懸念材料などがございましたらなんなりとお申し付けいただけましたら(汗)」


「いえいえ滅相もない。我々にとっては感謝しきれないほど素晴らしい提案で……ああ、そうだ。懸念ではないのですが……(小声)君の右手に嵌めている指輪それ


「はい?」


 ゲオルグが悩まし気な表情で、スチュワート様の右手中指に光る移動用魔法指輪(リング)に視線を落とした。


「宜しければ、指輪それの製造工房を滞在期間中に部下たちと視察を(上目遣い)……と、考えているのですが」


 ゲオルグの目的は、移動用魔法指輪(そっち)も含んでいたか。

 アスモデウス殿下が使用していたのを、エスペンやコンラードが目を輝かせて見ていたのを思い出した。さすが部下思いのゲオルグ、涼しい顔して本当に抜け目ない。


 ゲオルグの提案にスチュワート様は一瞬固まり、言葉を濁らせた。


「えっ……あ、こ、こちらは……その…(小声)国家機密……でして」


「国家機密でしたか! 無理を言って申し訳ない。非礼を詫びよう」


 ゲオルグが恭しく頭を下げると、


「ああっ、そんな、お顔をお上げください。この件は直ちに王都へ持ち帰り検討いたしますので。なにとぞ……」


「検討して頂けるのですね! 楽しみが増えました! ああ、もちろん同盟の件は、私から陛下にちゃんと伝えておきます」

 

 ***


 早速ゲオルグは、皇帝マキシムに連絡。


【OK。同盟の件はゲオルグ兄さんに一任する。ですが、休暇中にいいのですか? 追伸:移動用魔法リング←何それ。俺も見たい。by.マキシム】


 軽い返事。

 文面から、目を輝かせ高揚しているマキシム陛下の姿が容易に思い浮かぶ。


 かくして、ゲオルグは皇帝マキシムより、同盟の件を一任された。

 それに伴いゲオルグはコンラードと、王都カルカソの『アンフェール城(旧フロライト城)』へ赴くこととなった。


 一方。

 私はというと……

 ゲオルグたちと一緒にアンフェール城へ行くつもりだったが、ほぼ毎日ルイーズに会いにバンディ城に通っていたイフリート殿下が突然。


「バンディ城近くに住もうと思う」


 と、バンディ城の隣に新たな城の建設工事を独断で開始。


「ヴィティ。カース城とその領地は、お前に任せる!」(イフリート)


「え、どういうこと?」


「これより、カース城はお前のものだ」

 

 私も私で深く考えず、


「え! カース城を!? いいの!!! イフリート太っ腹!!!」


 と、秒で了承。


 フロライト王国もとい、アレキサンドライト王国へ上陸して約2週間。

 私=氷の魔女ヴィティは、カース城城主になった。

 次回、来週水曜日更新予定です!


 ご無沙汰しております。m(__)m

 ゴールデンウィーク前に体調を崩し、しばらく療養しておりました。

 嘘じゃないですよ! 花粉症と思っていたら徐々に視界が暗くなって―――――

 目覚めたら……状態でした。


 今週からこっそり始動いたしました。(^^ゞ


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