16話 冬になんかさせない!
この王国の聖女と名のる者は壊滅的に冷酷で、一途で嫉妬深い。
(182話 byシャルル)
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私はまだ「夢の中」にいる。
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「《《いやよ》》! 《《誰が協力なんてするもんですか》》!?」
「エスタ、いいかげんになさい! 早く結界を解いて、貴方も避難を……あっ」
ローザさんの手をふりほどいたエスタ様は、野太い声で叫んだ。
「《《うるさい》》! 《《冬になんかさせない》》! これは神による最後の審判よ。アポカリプスよ。悪魔も妖精も天使も……私を馬鹿にした者たちなんて皆苦しんで死ねばいい! ……そう、終わらせるの。この世界も、私も、全部、この地上から消えて無くなればいいのよ!!!」
エスタ様は再び弓を手にし、私に矢先を向けた。
「まずはその『魔女』から始末してあげる」
私、氷の魔女ってバレてる!?
「ひぃいい」
「ヴィティ、俺の影に」
その時。
目の前を光る影が横切り、神殿の中へ飛び込んでいった。
「やめるんだ、エスターーーっ!」
「あっ」
ヒュン、カッ!
光の矢はあさっての方向へ飛び、神殿の柱に突き刺さり弾け散った。
「もうよせ、エスタ!」
力強いイケボ。
見れば、白い隊服を纏った長身金髪ロン毛の眉目秀麗な騎士が、エスタ様を抱きしめていた。
こんなキャラいたっけ?
「やめよう。もういいんだエスタ!」
「放してフィンレー! あの醜悪な者たちを地獄へ……っ……んっ
え!?
突如、その長身金髪ロン毛の眉目秀麗なキラキラ騎士がエスタ様の唇を、自らの口で塞い―――――――って、キス!?
ってかこの人、フィンレーさん!?
(※フィンレーさんとは、現在の王国の勇者。15年後、主人公ルーシーに倒される。)
「……ん……っん……」
うわぁ
エロ……ぃ……
目の前で繰り広げられる大人(自主規制)のキスに、見てる私のほうが恥ずかしくなり、すぐ傍にいるアスモデウス殿下のボロマントで顔を覆った。……が、やっぱり気になり、さっき見つけた穴からちょこっとだけ覗き見した。
カラン……
エスタ様の手から弓が滑り落ちた。
だが、それはしばらく続いた。
「帰ろう、エスタ」
「(泣)フィンレー……わ、私……うっ……うわああああああああああっ」
エスタ様の慟哭が、黄昏の森に切なく響いた。
***
私はまだ「夢の中」にいる。




