↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マリアの願い【長編版】  作者: 井上笑子
第二章 心を閉ざした子ども

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/16

十一 大嫌い!

 天暦773年 冬

 マリア8歳


 年が変わって、マリアは8歳になった。

 でも、大事な年明けのパーティーは、リリアがまたお熱だったから、無くなった。

 皆楽しみにしてたのに、皆「仕方ありませんよ」って、困ったように笑って、リリアを許すの。

 どうして、リリアのことは皆許すの?

 どうして、私の羨ましいは許してくれないの?

 私、いっぱい我慢してきたのに!

 マリアは、年明けから、ずっとイライラしていた。

 胸にこびりついたように、「どうして」「なんで」「私ばっかり」がずっと残って、それが時々溢れてしまう。


 その日もそうだった。

 年明けのパーティーの代わりに、お母様は、前に、マリアとリリアの成長パーティを開くって言ってた。

 本当は年明けのパーティーで、皆一歳成長しておめでとうを、屋敷中でやるのに、できなかったから。

 なのに!

「ごめんなさい、マリア。本当に楽しみにしていたのに。やっぱりあの子、冬は熱が中々下がらなくて。春になって暖かくなってからでもいいかしら?」

 お母様は、成長パーティーの時期をずらそうって言ってくる。

 嫌。どうして?

 私ずっと色々我慢したのに。

 マリアは目に涙を堪えた。

「……どうして」

「マリア?」

「どうしてリリアばっかり。リリアなんて大嫌い!」


 マリアが、そう叫んでしまった瞬間、

「いい加減にしなさい!」

 お母様も叫び返してきた。


「え?」

「あ……」

 見上げれば、お母様が顔を青ざめさせる。

 マリアの目から涙が溢れる。

「マリア……これは違うの。聞いて」

「もう嫌!みんな大嫌い!」

 お母様が何か言ってるけど、そんなの知らない!

 マリアは部屋に駆け出した。

 お母様が追いかけてくる。

 もう知らない!1人にして!

 自分の部屋に駆け込むと、マリアだけの侍女も追い出して、鍵をかける。

 カチャンと、軽い音が響いた。


 お母様が、扉を叩いて、いっぱい何か言ってくる。

 マリアは耳を塞いで、扉に寄りかかった。


 どうしてリリアばっかり。

 どうして私ばっかり。

 私も私を見てくれる家族が欲しい。

 私の話を聞いてくれて、泣きたい時は一緒にいてくれて、嬉しい時は一緒に喜んで、病気の時は心配してくれる。

 ちゃんと私を大事にしてくれる家族が欲しい。


 マリアはそう強く願って、扉の前で、蹲って泣いた。

 体が熱い。

 そうして啜り泣いているうちに、マリアはそのまま寝てしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。