十一 大嫌い!
天暦773年 冬
マリア8歳
年が変わって、マリアは8歳になった。
でも、大事な年明けのパーティーは、リリアがまたお熱だったから、無くなった。
皆楽しみにしてたのに、皆「仕方ありませんよ」って、困ったように笑って、リリアを許すの。
どうして、リリアのことは皆許すの?
どうして、私の羨ましいは許してくれないの?
私、いっぱい我慢してきたのに!
マリアは、年明けから、ずっとイライラしていた。
胸にこびりついたように、「どうして」「なんで」「私ばっかり」がずっと残って、それが時々溢れてしまう。
その日もそうだった。
年明けのパーティーの代わりに、お母様は、前に、マリアとリリアの成長パーティを開くって言ってた。
本当は年明けのパーティーで、皆一歳成長しておめでとうを、屋敷中でやるのに、できなかったから。
なのに!
「ごめんなさい、マリア。本当に楽しみにしていたのに。やっぱりあの子、冬は熱が中々下がらなくて。春になって暖かくなってからでもいいかしら?」
お母様は、成長パーティーの時期をずらそうって言ってくる。
嫌。どうして?
私ずっと色々我慢したのに。
マリアは目に涙を堪えた。
「……どうして」
「マリア?」
「どうしてリリアばっかり。リリアなんて大嫌い!」
マリアが、そう叫んでしまった瞬間、
「いい加減にしなさい!」
お母様も叫び返してきた。
「え?」
「あ……」
見上げれば、お母様が顔を青ざめさせる。
マリアの目から涙が溢れる。
「マリア……これは違うの。聞いて」
「もう嫌!みんな大嫌い!」
お母様が何か言ってるけど、そんなの知らない!
マリアは部屋に駆け出した。
お母様が追いかけてくる。
もう知らない!1人にして!
自分の部屋に駆け込むと、マリアだけの侍女も追い出して、鍵をかける。
カチャンと、軽い音が響いた。
お母様が、扉を叩いて、いっぱい何か言ってくる。
マリアは耳を塞いで、扉に寄りかかった。
どうしてリリアばっかり。
どうして私ばっかり。
私も私を見てくれる家族が欲しい。
私の話を聞いてくれて、泣きたい時は一緒にいてくれて、嬉しい時は一緒に喜んで、病気の時は心配してくれる。
ちゃんと私を大事にしてくれる家族が欲しい。
マリアはそう強く願って、扉の前で、蹲って泣いた。
体が熱い。
そうして啜り泣いているうちに、マリアはそのまま寝てしまった。




