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レッド・シティ  作者: 最上優矢
第三章 私は姉さんを憎んだ

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遺書

「遺書

 きみがこれを読んでいるということは、とうにあたしはこの世から退場していることでしょう。


 最初に伝えておきますが、何もこの退場劇はきみのせいで起きたわけではありません。

 ……起こるべくして、起こったのです。


 きみはお節介な女性刑事さんから、あたしの過去について知ったことでしょう。

 そうです。それらはすべて事実です。


 あたしは彼女を呪い殺しました。

 人を呪わば穴二つという言葉があるように、彼女を呪い殺したあたしには彼女からの呪いを回避する術はなく、遅かれ早かれ、あたしは呪いの代償を受けることになっていました。

 そう、あたしの退場劇の原因とは、そもそも自分でまいた種なのです。


 ユーモアのある優しいきみには、何にも関係がないこと。


 ただ言うと。

 きみはあたしが愛して憎んだあの子に、そっくりだった。


 ……いいえ。よくよく考えてみれば、それは違いました。

 正しくは、あたしがきみとあの子を重ね合わせていた、のでしょうね。


 覚えていますか、武蔵小杉にあるショットバー「レイン」でのこと。


 あのとき、あたしはきみが憎くてつらいこと、だから殺してやりたいことを初めて打ち明けましたよね。

 今となっては、その謎も解けたのではないでしょうか。


 きみがあの子に似ていたということは、この時点であたしはきみのことを愛し、そして憎みもしていたのです。

 殺してやりたい気持ちというのは、きみを見ていると、あの子の影を思い出すため、そのように思ったわけです。

 ショットバーできみから手を握られたときなんて、あたしはあの子から手を握られたと勘違いをし、恐怖のために悲鳴を上げもしました。


 それらを知ったきみは、なんというとばっちり、と思ったことでしょう。


 きみが受けたとばっちりと言えば、あのときのことを思い出しますね。


 あたしがきみと出会ってから翌日にした、誕生日パーティー……。

 あれもやはり、あの子絡みのこと。

 そうです、あの子の誕生日が、ちょうどあの日だったのです。


 きみの突然の登場に加え、その翌日にはあの子の誕生日。


 怯えたあたしは錯乱し、精神不安定にも陥りました。


 正直、あたしは驚きました。

 きみがあたしの十字架が何かを知っているのだなんて、まさか、と。

 それでついにあたしの精神が崩壊したのは、言うまでもないでしょう。


 病院から退院後、あたしがやたらハイだったこと、やはりきみは察していましたね。


 それもそのはず。

 あのとき、あたしはこれから自分が何をするか、すでに行動を決めていたのです。


 ですから、平常心でいられるはずがありません。

 人生最後になるきみとの会話を惜しみながらも、それでいて楽しんでいたのです、あたしは。


 ごめんなさい。

 あたしはきみの心を不安定にするばかりではなく、実際に身体をも傷つけてしまった。


 ごめんなさい、ごめんなさい。

 勝手に死んでしまって……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

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