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祝・二周年! 異世界司令官〜【統帥】スキルで召喚されし無敵の帝国軍よ、誇り高き軍旗とともに前進せよ!〜  作者: Altemith/あるてみす
最終章

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第490話 ミサイル発射

「クレーン下ろせ! もたもたするんじゃない!」


 海底大陸の上の海域、コアレシアの艦艇上で飛び交う怒号。

すでにロキが与えた地図をもとにした調査が行われており、潜水士が実際に海中で捜索を始めていた。

それと同時に、引き上げ用の機器も投入されていた。


 彼らが採掘しているのは、これまでは着手していなかった海域であった。

海上には数々の艦船が並び、作業の進捗をかたずをのんで見守っている。

その発見に、国家の命運がかかっているからだ。


 時は一刻、また一刻と次第に過ぎ去っていく。

そして数時間が経過したのち、ついに人工的な構造物発見の報告が入った。

紛れもない、旧文明の遺跡であった。


 コアレシアの艦隊は、喜びと安堵に包まれていた。

自分たちが引き上げるものは、国家の命運を握る最重要の兵器であると聞かされているからだ。

それが、世界をも滅ぼす力を持っている冥界神の素体だとは、誰も気づきようがなかった。


 遺跡を見つけてしまってから、作業は着々と進んでいった。

そして遺跡発見からさらに2時間、目標の物体発見の報が入る。

……そして同時に、艦隊の上を静かに通過する黒い機影があった。


『ドラゴンレディより報告。コアレシアはすでに採掘行動に入っている模様』


『了解、そのまま監視を続けるように。本艦隊は当該海域に急行する』


 コアレシアの採掘船団を監視するのは、イレーネのU-2R、ドラゴンレディだ。

高高度を飛翔するこの偵察機は、かつての冷戦期に幾度も危険を冒して偵察を続けた名機だ。

精密に撮影される画像の数々は、大本営へと逐一送信されている。


 U-2Rは高高度成層圏を飛んでおり、その機影は肉眼でとらえることは不可能だ。

だが、電子の目を用いれば機影を捉えることができる。

それは、コアレシアの装備する古めかしいレーダーでもだ。


 ビーッ! ビーッ!


「レーダーに感あり! 敵機です!」


「なに? 位置は!」


「こ、高度22000、直上です!」


「流石はイレーネ帝国。だが我々にも新兵器があるからな。試すちょうどいい機会だ」


 艦隊の外周に配置された戦艦のうち、後部の主砲塔が撤去された一隻の戦艦。

その後部には、主砲の代わりに斜め向きの筒が置かれていた。

それは、陸軍が運用していた対空ミサイルを艦に搭載した姿であった。


「本艦隊の上空はを通過する当該飛行機は、規定により防空識別圏を意図的に侵犯していると判断され、自衛権の行使が認められる。ミサイルによる撃墜をせよ」


「し、しかし司令。例の物の引き上げはまだ終わっていませんが……」


「構わない。こちらもやられっぱなしという訳にはいかないのだよ」


 そう指示するのは、かつてイレーネと対峙したことがあるスタール中将だ。

彼は左遷されて南方艦隊に転属になっていたが、イレーネとの戦闘を前にして呼び戻されていた。

フリーデンにおけるイレーネとの戦闘で負けたとはいえ、唯一の実戦経験のある将軍だったからだ。


 スタール中将自身は、最前線に戻ることは望んでいなかった。

だが彼は軍人、命令に逆らうことはできない。

ならば昔の汚名を漱ごうと、そう決心したのであった。


 彼の乗艦であるニューコリントは、艦橋上部に搭載したレーダーをU-2Rに指向する。

そのレーダーの誘導をもとに、別の戦艦の艦後部に搭載された対空ミサイルが発射された。

ミサイルの飛翔する航跡を見たスタール中将は、感激し手を打った。


「素晴らしい! これこそが私が求めていた力だ!」


 スタール中将は喜ぶが、ミサイルは22000mも飛翔することはできない。

つまりU-2Rを撃墜するには性能不足で、U-2Rは回避起動すらとる必要がないのだ。

だがこの一発は、イレーネにとって正当な開戦の口実を作る餌となるのであった。


『! 敵艦から正体不明の飛行物体の発射を感知!』


『ミサイルか? コアレシアの艦艇はそんなものも積むようになったのか!』


 U-2Rの機内は、ミサイルの発射によって一時混乱する。

だがすぐに状況を把握した彼らは、ミサイルが届かないとは知らないためジャミングによってミサイルの誘導を妨害する。

その結果ミサイルは目標を見失い、母艦からのコントロールも効かなくなった。


『無事にミサイルは回避できたようだな』


『ああ。ジャミングが効いたことから考えて、性能は先のフリーデンでの戦闘の際に使用されたものと同程度の物だろう。大本営にも至急この情報は伝達した方がいいな』


『既に伝達ておいた。にしてもミサイルをちゅうちょなく撃ってくるあたり、コアレシアも戦争すると腹をくくったのだろうな。開戦の時は近いぞ』


 U-2Rは偵察した情報を大本営に送信し、基地があるウルシー環礁へと帰投していく。

去っていくその機影を、スタール中将はレーダーの画面を見つめながら追いかける。

ミサイルを用いても撃墜できなかったU-2Rの存在は彼を再び恐怖にいざなうとともに、自分が掘り出しているものへの無条件の機体を抱かせた。


「大丈夫、きっとこの遺物さえ見つかればコアレシアは戦争に勝利する。それがどんなものなのか聞いてはならないと言われたが、さぞかし素晴らしい兵器なのだろう……」


 クレーンは徐々に上がり、ロキの素体の引き上げは最終局面を迎えている。

スタール中将は水面をじっと見つめ、何が上がってくるのかを心待ちにしていた。

だが、彼が上がってくると思い描いていたのは兵器であり、実際に上がってきたものとの差に彼は動揺を隠すことができなかった。


「……これが、我々の求めていたものだというのか? 海中から引き揚げた、こんなにも醜いものが?」


 スタール中将は、後ずさりしながら目を覆う。

彼の眼前にあったのは、ところどころが腐っており、海藻が生えた巨大な人型の死体であった。

その死体はクレーンでゆっくりと輸送船の上に載せられ、その身を横たえるのであった。

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